装備とは
「うぉぉ。」
「おりゃあ。」
「くらいやがれ。」
ステージの上では対戦相手の15名が入り乱れ戦っている。
「しまった。出遅れた。」
俺は完全に出遅れてしまいステージの端で頭を抱えうずくまるしかなかった。
「おい、おっさん。俺様が相手してやるよ。」
そんな俺へと声をかけてくる一人の一人の参加者がいた。
「俺はおっさんではない。」
「なに言ってんだよ。おっさん。見た感じ30歳ぐらいだろ。どう見てもおっさんだろ。」
「まだ17歳だ。」
「嘘をつくなよ。おっさん。でどうすんだ?このまま帰るか、俺に負けるか。」
俺に声をかけてきた参加者は剣呑な雰囲気を醸し出しながら俺に近づいてくる。頭から足の爪先まで覆った重厚そうな鎧を身に纏い、身長程ある大剣を肩に担いでいた。
「あぁ。手合わせ願う。」
俺は一礼して、右手で握る木剣を相手に向け構える。
「装備もない者が参加していると聞いたがまさか、本当にいるとはな。くっくっくっ。」
俺の構えた木剣を見るや否や目の前の鎧男は、笑いだす。それにしてもこの鎧男は隙だらけに見える。
いや、そんなわけはない。これは俺から攻撃を仕掛けるように誘っているのか。
全身をガチガチに覆った鎧に対し、こちらは木剣だ。
道場では、武器を持ったことは無かったが、物は試しだ。
その誘いに載ってやろう。
俺は正拳突きをするように腰を落とし、左手は鎧男に向け、右手を腰の位置に添える。その右手には木剣逆手で握っている。手の甲を地面に向けている為、木剣は俺の腰の前で固定される。
「行くぞ。」
そういい、俺は鎧男に向かい駆け出した。鎧の上から鳩尾に向け、正拳突きを繰り出す。
鎧は俺の正拳突きをくらい拳の形を作り凹む。
正拳突きを受けた鎧男はそのまま、後方の場外まで吹き飛んでいった。
「なるほど、これが武器か。道端の石でさえ握って繰り出せば、破壊力が増す。それが木剣を握って同じことがおきたと言うことか…」
あの鎧は見せかけだけで、それほど固くは無かった。何も握らないで繰り出す正拳突きよりかは僅かに威力がある程度だろう。
「だが、空気抵抗が思ったよりもあるな。今、当てられたのはどう見てもまぐれだ。気を引き締めないとな…。」
こんな速度の正拳突きでは、あのジジイに何度、殺されるか。
俺は気を引き締めて未だ戦いが続くステージ上に目を向ける。




