表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
装備枠ゼロのおっさん。ー装備が出来ないなら素手で無双してやるー  作者: かいくいきい


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/4

家出

お読みいただきましてありがとうございます。

至らない点が多々あるかと思いますが、見守るお気持ちで読んでいただけますと幸いでございます。



ーパァン


「一本。それまで」


乾いた音が道場に響き、その後には、勝負の終わりを知らせる声。


「マジか、あいつ。師範から1本取ったぞ。」

「師範が手を抜いたんだろう。」

「あの師範に関してそれはあり得ない。」

「師範って昔、勇者一行だったんだよな。」


まわりにいる者たちは目の、前に起こった事実を受けいられないでいた。


試合を行った二人は互いに一礼をし、お互いを称え合う。


「もうワシの域までたどり着いたか...」

「何言ってんだ。ジジイ。俺はいまイッポンを取ったんだ。ジジイの域は越えたんだ。」


まだ幼くもある少年は、目の前の男に対して、お世辞にも礼儀正しいとは到底言えない言葉遣いで言い放つ。


「貴様、師範に向かってその言動...」

「やめい。ワシは今、負けたのじゃ。そのワシはもう師範ではない。試合前にも言ったじゃろ。勝った方が師範になると…」

「ですが…」

「ジジイの言う通りだ。今日から俺がこの道場で一番なんだよ。」



ーわーはっはっはっ…


ーーーー


「…きろ。おい、起きろ。」


ーバシャッ。


うっすらと聞こえた声と同時に俺はバケツの水を掛けられる。


「うぉ、冷てぇ。」

「やっと、目を覚ましよったか。あれしきの投げ、受け身も取れずに情けないのぉ。」


俺の頭の上で腕を組み見下ろす人物。

顔の皺はその男の年齢を表し、頭髪は白。

もうすぐ70歳にもなるこの道場の師範ブドーだ。


「ここは…。」

「どうした?稽古中に夢でも見ていたのか?おおかた、ワシに勝つ夢でも見てたんじゃろ。」


ーぐぬぬぬ。


悔しかったが目の前の師範、もといジシイの言う通りなので何も言えない。

それにしても幼い頃からよくみた夢を17歳になっても見るとはな。



「もう、お祖父ちゃん。厳しすぎ。」


そう声をかけて来たのは《クイ》。俺と同じ17歳。俺の双子の妹だ。双子と言っても全く似ていない。

兄の俺が言うのはなんだが、きっと可愛い部類に入ると思う。

それに引き換え俺は17歳にして既に貫禄があるらしい。

月に一回の頻度で買い出しに街へクイと二人で行くが、店員からは親子と間違えられる。

もちろん俺が親でクイが娘。

因みにジジイは血が繋がっていない。何でも俺達二人がまだ赤ん坊の時に当時住んでいた家の前に捨てられていたのを今日まで一人で育ててくれた。


この道場は経営している訳ではない。

ジジイはこんな性格のため、誰かに教えるのははっきり言って不向きだろう。


それじゃあ、どうやって育ててくれたかと言うと、基本、裏の森の中で野草やら獣やらを取ってきて食わして貰った。それでも足りない物は一番近い街へ行き、獣の肉や毛皮を売った金で買ってきたりもした。



そりゃぁ、もちろん育ててくれた事には感謝をしている。飯も食わしてくれたし、辺りには何にもない場所だか、不自由なく暮らさせてくれた。


「なぁにが、厳しすぎじゃ。この程度、お遊戯じゃて。それに、こやつは夢を見ていたらしいしのぉ。」

「このジジイ。」


前言撤回。このジジイだけは許さん。


俺は、起き上がると同時に拳を握りジジイの顔面目掛けて、放つ。


ースカッ。


そこにはジジイの顔面はなかった。

ジジイは、即座にしゃがみ俺の脚を刈る。刈られた俺は体が空中へと浮かされた。


「受け身を取らねば、死ぬぞ。」


そう言ったジジイは空中に浮かんでいる俺の胸ぐらをつかむとそのまま、俺を背負い道場の床へと叩きつけた。


「ぐはっ。」

「うーん。受け身は50点じゃな。」


なんとか死ぬ事を回避した俺の受身に、ジジイは点数を付ける。


「勘違いするな。1億点中の50点じゃ。」

「くそ、ジジイが~。」


俺は即座に立ち上がりジシイの顔面に蹴りを放つ。


ースカッ。


だが、またしてもジジイに俺の蹴りは当たらなかった。

ジジイは、俺の蹴りを完全に見切り鼻先すれすれで躱す。


「なんだ?赤子の踊りか?」

「この、ジジイ…。」

「いや~、ワシとしたことが言い過ぎた。」


珍しくジジイが自分の発言を反省した。


「こりゃ、赤子に失礼じゃったな。」

「なっ…。」


にんまり笑うジジイを見ながら、俺は歯を噛み締める。


「くそが。」


それから俺は何度も拳や蹴りを放ったが、ジジイには一度も掠りもしなかった。



ーーー


「クイ。すまん。確かにジジイには育ててくれた恩はある。だが、おれはもう我慢の限界だ。俺は出ていく。」

「お兄ちゃん。それ本気で言ってるの?

本当に気付いてないの?」

「気付くって何をだよ。あれだけ修行修行の毎日、だけどジジイには一向に勝てない。あれはただのしごきだろ。」

「お兄ちゃんの馬鹿~。」

「クイ。すまんな。俺は外でいろんな事を経験してジジイを越える。」


次の日、俺は道場を出た。

たいした荷物も無いため、肩から下げた袋一つで事が足りた。

今まで育ててくれた恩はある。だが、もう我慢の限界だ。

毎日毎日、修行の日々。

その修行にしたって、一向に強くならない。ジジイに何度挑んだところで呆気なく倒される。

最早、意味の無い修行などやってられない。


俺は、辺境の道場から一番近い街を目指した。


ーーー

是非ともブックマークをいただけますと嬉しいです。

評価のポイント【☆☆☆☆☆】もお好みのポイントを押していただけますと、読んでくれたんだなと実感が湧き、何よりの励みとなります。

お手間かと思いますが、応援いただけますと幸いでございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ