セレナの支援
馬車の中でトラバスさんに〈従魔召喚〉のレクチャーを受けながら、しばらく進んで行くと、魔物の気配を感知する。
『ラッキー君達、よければここは私とテナー、そしてセレナに戦闘を任せてもらえるかい?』
『分かりました。 危険な魔物だった場合、危なくなったら助太刀します。』
『大丈夫だよ、ラッキー君。 それより、せっかくオルトロスを合成維持できるようになったのに〈意識共有〉と〈千里眼〉を活用していないようだね。 向かってくる魔物はゴブリンロードとゴブリンメイジ、そしてゴブリンが5体、問題無く戦える相手だよ。』
『ゴブリンロードって! Bランクに位置付けられてる魔物では?!』
『大丈夫だよ、コルネさん。 我々のパーティの戦いを安心して観ていてくれ。 じゃあ、打ち合わせ通りによろしく頼むよ、セレナ。』
『了解です。 任せてください、トラバスさん。』
前衛にトラバスさんとテナーが並び、その後ろにセレナさんが一定の距離を保ちながら後衛に着き、ゴブリンの小隊を迎え撃つ。
『大いなる神の力よ! 我が味方に守護と癒しを与えたまえ!』
セレナさんが魔法を発動すると、トラバスさんとテナーの身体がそれぞれ光に包まれる。
『『ギャギャギャーッ!』』
前衛のゴブリン達はトラバスさんに2体、テナーに3体に分かれてそれぞれ襲いかかる。
『氷の刃よ!』
トラバスさんがアイスレイピアに魔力を込めると、斬りつけられた2体のゴブリンは傷口から凍結していき絶命する。
『ギャーッ!!』
後衛で待機していたゴブリンメイジは、トラバスさんの不意を突き、火球の魔法を直撃させる。
『『『トラバスさん!』』』
『大丈夫だよ。 セレナの魔法の加護があるからね。 この程度の魔法なら軽い火傷もほら、この通りさ。』
光の加護の効果で、火球の威力をほぼ打ち消しただけでは無く、軽度の火傷もすぐに回復していく。
『続けて支援します! 神の奇跡よ、彼の力を引き出して!』
〈身体強化魔法〉とは違った力がトラバスさんを包むと常人ではあり得ない速さでゴブリンメイジに向かって一気に距離を詰める。
『先程のお返しだ!』
一瞬でゴブリンメイジを葬ると、間髪を入れずにゴブリンロードに挑む。
『グギャーッ!!』
渾身の力を込めたゴブリンロードのメイスが、トラバスさんの頭部を狙って振りおろされる。
『遅い!』
気づけば全身を氷漬けにされたゴブリンロードと同じタイミングで、テナーも危なげなく3体のゴブリンを倒す。
『これが回復職の支援か! 戦局によっては自分もアルト達を支援する場合も有り得るので、とても参考になりました。』
『私などまだまだですが、必要であればいつでもアドバイス致します。』
今回の戦い方を参考に、トラバスさんからの助言やセレナさんの支援のタイミングに注意し、俺も仲間達と上手く連携出来るように頑張るぞ!!
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