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親孝行

 翌日になり、俺達は旅の荷物の片付けが終わると、見知った人達への土産の購入を済ませる。


 『よし、忘れ物も無いな。 それじゃあ皆んな、馬車に乗ってくれ。』


 全員が馬車に乗ると、俺はスレイプニルに希望する移動先のイメージを〈意識共有〉を発動すると、スレイプニルは力強く駆け出すと同時に目の前の空間が歪み、その先を抜けると懐かしいメロディ村に〈転移〉していた。


 『本当に一瞬で移動できちゃうなんて便利よね。 このスキルさえあれば、商人になれば貿易でいっぱい稼げるかもね。』


 『確かにそうだね。 ラッキー、お父さんの牧場が見えてきたよ。』


 『うん、どうやら家の中にいるみたいだな。 親父! 帰って来たよー!』


 親父と再会すると、新しく進化したホルンとフラット、そしてスレイプニルの紹介をする。


 『ちょっと会わないうちに、Bランクの魔物達を使役するようになるとは! 成長したな、ラッキー。』


 前回に来た時は、お酒を渡すと喜んでいたので海の街で熟成された酒と、新鮮な魚を土産として渡す。


 『今日、買ったばかりの魚を〈転移〉を使って移動してきたから傷んでないから安心してくれ。 それと親父、右足に古傷があったよね。 多分、治せるようになったから、見せてくれ。』

 

 右足の長靴を脱いでもらうと、痛々しい古傷に上級回復魔法を発動させる。


 『〈エクスヒール〉! 親父、足の具合を確かめてみてよ。』


 『まさか、一生治らないと思っていた足の怪我が完治するなんて!! ラッキー、本当にありがとう…それに、こんな山の奥で海で獲った新鮮な魚が食べれるなんて凄いな。 よーし、張り切って準備するから一緒に食べていってくれ。 ラッキー、お前は飯ができるまで牛の面倒を頼むぞ!』


 『えーっ、またかよ。 まぁ、いつもの事だからな、ちゃっちゃと済ませてくるよ。』


 『ラッキー、私達も手伝うから早く行こうよ。』


 アルトとコルネも一緒に手伝ってくれたおかげで、作業はすぐに終了する。 それにしても、コルネは毎度の事ながら、うちの牛の世話をしてくれる時は、凄くイキイキしてるよな。 昼食を皆んなで食べていると、土産の酒を満喫していた親父から話がある。


 『そういえば、お前。 ハーモニーちゃんとはたまに交流しているのか? 最近、村にあまり姿を見せてないみたいで母親のシンフォニーさんが心配していたから声をかけてやってくれ。』


 『わかった。 これからちょうど会いに行く予定だったから知らせておくよ。』


 親父に挨拶して、今度は人目につきにくいウィン近郊の平原に〈転移〉して、〈カルテット〉が拠点にしている宿に向かう。


 

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