マリンバ登場
ドリアードが森にかけていた魔法が解けると、さっきまで迷っていた道が普通の道に戻り、先に進めるようになる。
『ねぇ、ドリアード。 さっき私達を迷わせていた魔法って、どんな奴なの?』
『さっきの魔法は、森の中限定で使える一種の幻覚魔法だよ。 対象者に先の道を進んでいるように思わせて、実は同じ場所に戻らせる事が出来るのよ。 アルトがしたように、バラバラの道に進む対象者が多すぎる場合は私の魔力が持たず打ち破られちゃうけどね。』
森の奥に進むと、俺の〈索敵〉が発動する。 コルネやホルン達も同時に身構えている。
『どうやら次の試練のお出ましみたいだな。 今回はバトルになりそうだ!』
目の前には木々が開けた場所になっていて、この周りだけは地面も草が生えておらず、土が剥き出しになっている。 その時、地面が大きく揺れだし土の中から二メートルくらいのゴーレムが現れ、俺達に襲いかかる。
『コルネ、魔力をお願い。 私が足止めしてあげる!』
コルネがドリアードに魔力を提供すると、土が剥き出しだった地面から草が伸びてきてゴーレムの身体に絡み付いて動きを封じる。
『よし、俺に任せてくれ! 〈ホーリーブレード〉』
俺が使えるスキルの中で、最強の威力の攻撃を受けたゴーレムは、一瞬で消滅する。
『どうやら倒せたみたいだな。 この先もまだ試練は続くのだろうか?』
『いいえ、その必要は無いわ。 充分楽しませてもらえたから。』
『 !!! 』
背後から黒装束に身を包んだ女性が、突然現れ俺に話しかけてくる。
『こんな至近距離にいるのに誰一人気づけないなんて! あなたはひょっとして…マリンバさん?』
『そうよ。 あなた達が探していた魔女は私よ、ラッキー君。』
『俺の名前まで…何かの魔法ですか?』
『実は私もラッキー君と同じ〈ユニークスキル〉を所持しているのよ。 こんな森で立ち話もなんだし、先ずは私の家に招待しようかしら。』
マリンバさんはそういうと、自分の目の前に魔法に発動する。 すると、直径二メートルくらいの空間が歪み、中を覗くと立派な家が見える。
『嘘っ!! これって、ひょっとして〈転移魔法〉? 物語にしか存在しない空想上の魔法と言われていた筈なのに、実際に使える人がいるなんて…』
『あら、驚いてくれて嬉しいわ。 せっかくだから、アルトちゃんに最初に〈転移魔法〉を体験させてあげるわ。』
マリンバさんはアルトの手を引くと歪んだ空間の先に誘導する。 恐る恐る進むアルトだったが、安全を確認すると空間の先から俺達に声をかけてくる。
『皆んな、早く来て! ここから見える景色凄いから!』
興奮して急かすアルトに呼ばれて、俺達も歪んだ空間の先に進んでいく。
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