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アンデットによる恐怖

 果樹園の見張りを始めて、二時間が経過すると、複数の気配を感知する。


 『皆んな、気づいている? 果物泥棒達が果樹園にはいったわ。 全員で五人か、姿を隠して充分に引きつけたら、一気に捕獲するよ。』


 コルネは風の精霊シルフに呼びかけ、離れている仲間達とだけ、お互いにメッセージを伝えられるよう力を借りる。


 『じゃあ、私は皆んなの周りにサポートとして、アンデットを召喚するよ。 皆んな、出てきて!』


 アルトの魔力に反応して、果樹園に分散して待機している俺達の周りにアンデット達が姿を見せる。 オークゾンビが五体、スノータイガーゾンビが二体、ガントル、ウィルオーウィスプ、バンシー、ゴブリンスケルトンに加えてハウスアンデットもレヴァナントの姿になり、グールやレイスの群れを引き連れて現れる。


 『うわっ、ハウスアンデットに潜んでいたレイス達って、レギオンになった時に俺の魔法剣で全て死滅させたと思ったら、まだこんなにいっぱいいたのかよ!』


 『総勢50体はいるけど、今の私の魔力量なら前に戦ったネクロマンサーみたいに魔力不足にはならないから、全員全力で操作可能よ!』


 自分達がアンデットの群れに囲まれているとは知らない果物泥棒達は、大きな籠を背負い、ナイフを使って枝ごと強引に果物を盗み始める。


 『へへっ、今日も根こそぎ奪って転売すれば良い金になるぞ。』


 『分散して作業しているから全員は捕まる事もできないだろうしな。 ちょろい仕事だぜ。』


 上機嫌で作業している泥棒達は自分達のすぐそばまで、アンデット達が取り囲んでいる事にようやく気づく。

 

 『ひぃっ! なんだこのアンデットの群れは?』


 『やべーぞ! 逃げ道を塞がれた!!』


 パニックを起こす果物泥棒達を、ゾンビ達が捕まえるとレイスやバンシーがドレインタッチでジワジワと泥棒達の体力を奪っていく。


 『アンデット達、一人はわざと解放して! 残りの四人はロープで縛るのよ!』


 衰弱して捕縛される四人を置いて、一人だけ解放された男は死にもの狂いで果樹園から逃亡する。


 『アルト、何で一人だけ逃がしてやったんだ? アイツがまた泥棒に来たら、フォーンさんに迷惑をかけてしまうじゃないか。』


 『馬鹿ね、ラッキー。 あれだけ恐怖を植え付けてやれば二度とこの果樹園で盗みをしようと考えない筈よ。 それに、アンデットの噂を他の悪い仲間達に伝えてくれれば、この果樹園で悪さをする新たな泥棒もいなくなるってわけ。』


 翌朝、捕まえた男達は街の衛兵に引き渡すとフォーンさんから感謝として、依頼達成の報酬とは別に果物の詰め合わせをいただいた。


 『なんだか歯応えの無い依頼だったよな。』 


 『そう? 私としては南国のフルーツをいっぱい食べれて大満足だったけど。』


 『まぁ、フォーンさんの果樹園にアンデットの群れが現れるという噂が街に広がらなければいいけどね…』


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