果物泥棒
『君達に依頼したい内容は、この街の郊外にある果樹園から果物が頻回に盗まれる被害が続いている事件について調査し、容疑者を捕まえて欲しいのですにゃ。 また、魔物による犯行だった場合は、倒してしまって構いませんのにゃ。 この街では、漁業と並んで大事な産業ですので、よろしくお願いしますのにゃ。』
この日は遅くなった為、依頼のあった果樹園には明日向かう事となった。 次の日になり、目的地の果樹園までは、馬の脚で30分程の郊外にある。 俺達は冒険者ギルドに紹介してもらった馬車や馬具を扱っている店に立ち寄り、念願だった自分達の馬車とシーホース達に繋ぐハーネス等の商品を購入して、現在移動中だ。
『それにしても、今回の旅で船が手に入っただけでも驚きだったのに、馬車まで手に入れてしまうなんて正直、凄すぎるよね。』
『しかもこの馬車、シーホース二頭の体格に合わせた大きさにしたから、トラバスさんの馬車よりスペースがあって贅沢な作りだぜ!』
御者の経験者がいない為、俺の〈意識共有〉で、シーホースのディオンとヴァイオに時々指示を出しながら道を進むと目的地の果樹園に到着する。
『すいません、冒険者ギルドの依頼で来ました。 依頼主のフォーンさんはいますか?』
『おおっ、君達が果物泥棒を捕まえてくれる冒険者達か。 私が依頼主のフォーンです。 立派な従魔を引き連れていて頼もしい限りだ。 先ずは移動で疲れただろうから家の中で収穫した果物を食べてくれ!』
フォーンさんの家に入ると、テーブルの上に様々な果物を並べてご馳走してくれる。
『どれもこれも甘くて美味しい!』
『うん、無限に食べられそう。 こんな贅沢、体験した事無いから幸せ!』
果物を満喫すると、フォーンさんから依頼の話が始まる。 今が丁度、収穫時期で実が熟して最高の状態で収穫する手前で、何者かに夜な夜な乱獲される被害が今年になって見られるそうだ。 被害の影響は甚大で、果物と一緒に木の枝まで切り落とされたりと悲惨な状況らしい。
『こんな美味しい果物を手間暇かけて育てているのに、乱暴な扱いで盗む奴がいるなんて絶対に許せない! 早速、今晩から見張りをさせていただきます!!』
昼間は収穫作業を手伝ったり、警備する果樹園の周りを下見して、犯人の現れそうな場所をいくつかピックアップする事にした。
『皆んな、聞いて。 索敵が出来るラッキーとコルネ、そしてホルンとフラットにそれぞれ、離れて配置してもらい犯人が見つかったら、すぐに私に知らせる事。 犯人は複数現れると思うから、皆んなは所定の場所から動かずにいてもらい、私のアンデット達をそれぞれ応援で向かわせるわ!!』
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