ビーチの厄介者
翌日、朝食を済ませると、二人に急かされる様にビーチに出発。 早朝なので、他の利用客はまだまばらにいるだけだ。 まさか、ビーチに来るとは思っていなかった為、俺はハーパン姿で更衣室に向かった二人を待つ。
『じゃーん! ラッキー、似合っているかしら?』
二人とも水着に着替えて、ビーチボールや浮き輪を持って現れる。 アルトの水着は普段のローブで着ている黒ではなく、水玉模様でフリル付きのワンピースタイプだ。
『お店で選んだ時は気にならなかったけど、実際に着てみると少し恥ずかしいかも…』
コルネの水着はセパレートタイプで、ピンクの上下にパレオを付け、お腹が見えている。
『二人とも、とっても良く似合っているじゃないか! 可愛いよ。』
『まぁ、見せる相手がラッキーしかいないのが残念だけど、褒めてもらえると素直に嬉しいかな。』
『ごめんね、ラッキー。 昨日、ビーチを通りかかった時に、二人とも急に水着が欲しくなって、ラッキーにも用意してもらうのを忘れちゃった。』
二人とも、少しだけ頬を赤くしており、褒められた事に満更でも無い様子だ。
『準備も出来たし、遊びに行くよー!』
その後は時間が経つのも忘れて、ビーチボールで砂浜で遊んだり、浅瀬で海水を掛け合ったりして楽しい時間を過ごした。 遊び疲れて、海の家で遅めの昼食を食べていると事件が起こった。
『大変だ! 魔物が現れて人を襲っているぞ!!』
急いでビーチから海を見ると、馬の姿にした魔物が二頭、泳いでいる人を追いかけ回している。
『あれはシーホースよ! 上半身は馬の姿をしているけど、下半身は魚の尾びれを持ち、泳ぎに長けている。 早く泳いでいる人達を避難させないと!』
『フラット! 襲われてる人とシーホースの間の海を凍りつかせるんだ!』
フラットのアイスブレスによって、シーホースの進路を遮ると、凍りついた海面に二頭のシーホースはよじ登る。 すると、魚の尾びれだった下半身が上半身と同じ馬の姿に変化する。 海で泳いでいた人達は、ひとまず陸地に避難できたようだ。
『まさか、二頭とも変身能力を持った亜種? 厄介な相手ね!』
『アルト、コルネ。 アイツらを〈テイム〉出来れば、水陸両方で活躍させれるぞ! サポートしてくれるか?』
『確かに! 馬車馬に利用出来たり、フリューゲルさんの力を発動する時に重宝するかも! 私達に任せて!』
すぐさま、二人は魔法を展開する。
『風の精霊シルフよ! アイツらの動きを封じて!』
『バンシー、アイツらの力を奪って!』
シルフが生み出した強風で、動きを封じられたシーホース達をバンシーがエナジードレインを使って弱らせていく。
『『今よ、ラッキー!!』』
二人の合図に合わせて、二頭のシーホースに全力で魔力浴びせる。
『二頭とも新たな仲間となれ!〈テイム〉』
エナジードレインで衰弱していたシーホースは、抵抗する気力も無く俺の前に跪き、従魔となる。
『やったぞ! 二頭とも、後から回復させてあげるからな。 先ずは周りの混乱を鎮めないと。』
ビーチにいた人達に、魔物を使役した事を伝えて騒動はひとまず落ち着いた。 俺達はひとまず、ビーチを離れてシーホース達を人目につかない場所に移動させる事にした。
この小説を読んで「続きが気になる」「面白い」と少しでも感じましたら、ブクマと↓の☆☆☆☆☆から評価頂けると嬉しいです。 更新されたいいねも是非試してみてください!




