コルネの覚醒
『わぁっ、これが海賊の財宝かぁ!!』
宝物庫の中には昔の金貨の山や宝石、アクセサリーなどが、ところ狭しと部屋一面に置いてある。
『すげーっ、海賊が活動してたのって50年くらい前の話だろう、こんなに財宝を稼いでいたなんて…』
『兄貴、あれって…今は取り潰しになって存在しないベネシャの貴族が、海の貿易の際に、海賊に奪われたとされる魔剣じゃないのか? 柄の部分に貴族の紋章が装飾されてるぞ!』
ティンバ兄弟も先程までの疲労感が嘘のように財宝に夢中になっている。
『見てみて、この辺りに並べてあるのは魔道具だよね。 ラッキー、どんな効果があるのか調べてみようよ!』
宝物庫の一角には大小、様々な形をしたアイテムが並べられている。
『そうだね。 ラッカスさんが見つけた魔剣も一緒に調べてみよう!』
魚群探知の水晶
水晶に捕まえたい魚をイメージしながら魔力を放つと、その魚の群れが海のどの辺りにいるか探知出来る。
霧の魔道具
魔石に魔力を放つと、広い範囲に霧を発生させる効果がある。 魔道具を発動している本人は、霧の影響を受けずに視界を維持できる。
『この辺の魔道具は海賊達が自分達の航海で使用していたものかもしれないね。』
アルトの感想に皆が頷く。 俺は再び鑑定を続ける。
貴族の魔剣
マジックドレインの効果を秘めており、斬りつけた相手の魔力を奪い、自分の魔力を回復させる。
『この魔剣の効果は凄いかも! ホーリーブレードなど、魔力の消費量に不安のあったスキルも、上手く戦えば連続して使えるようになりそうだ!』
俺が興奮して魔剣を手にしていると、コルネが何かを見つけて俺に見せる。
『ラッキー、さっきからこの石を持つと、私に何かを伝えようとしてくる気がするの。 調べてくれる?』
『分かった。 ちょっと貸してみてくれ。』
風の精霊石
風の精霊が封じ込められた精霊石。 魔道具と同じ扱いで、船の航海に使用された形跡がある。 精霊使いが祈りを捧げる事で、石から精霊を解放する事が出来る。
『そんな…精霊を石の中に閉じ込めていたなんて! でも、どうして私に呼びかけてくる感じがしたんだろう?』
『コンプレックスにしていたら謝るが、コルネはエルフの血が混ざっているのだろう? エルフには精霊を操る力を秘めていると話で聞いた事があるぞ。』
『ティンバさんが言ったみたいに、私にも精霊を操る力があるのなら、この石から精霊を解放してあげたい!』
コルネが精霊石に向かって祈りを捧げる。 しばらくすると、祈りに反応した精霊石は強い光を放ち、中から身体が透明に透けた女性が目の前に姿を見せる。
『助けてくれてありがとう。 私は風の精霊〈シルフ〉よ。 石から解放してくれたお礼にあなたに力を貸してあげる。 私の力が必要な時は、いつでも呼びかけてね。』
そう言うと、シルフは笑顔を見せて姿を消す。
『凄いぞ、コルネ! まさか精霊使いの才能があったなんて!』
『自分でも不思議だよ。 神託の儀でも表示されなかったのに、後からジョブが追加されるなんてね。 とりあえず、考えててもわからないし、せっかく身につけた力だから有効に活用しないとね。 ラッキー、アルト、後から魔力の操作方法を教えてね!』
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