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海賊達の願い

 海賊キャプテンに案内され、海賊船の中に乗り込む。 船員として海賊スケルトンが50体以上いるだけあり、とても大きく気になっていた船の目立った損傷も何故か無さそうだ。


 『コノヘヤニ ミテモライタイモノガアル。』


 操舵室に入ると、中には妖精の女性と思われる幽霊が椅子に横たわっている。


 『この幽霊、私のハウスアンデットと同じように、この海賊船を守っていた家妖精の類だったのね。 おそらく、魔物に飲み込まれてからも、海賊船が大きな損傷なく維持できていたのは、この子の魔力のおかげという訳ね。 でも今は酷く弱っていて、このままだと消えてしまいそう…』


 『ネクロマンサーノムスメヨ マサニ ソノトオリダ ワレワレガ マモノニノミコマレテ イノチヲウシナッテカラモ コノフネヲマモロウト コノヨウセイハ イノチヲウシナッタ イマデモ ガンバッテクレテイタ。 ドウカ タスケテアゲテホシイ…』


 『わかったわ。 私がこの子と契約すれば、私の魔力でいつでも船を自在に出し入れ出来るはず。 皆んな、見ていて!』


 アルトはありったけの魔力を船を守る幽霊に注ぎ、契約を行うと、消えかけていた妖精の姿をした霊体が力強く輝き、笑顔を見せるとアルトの前に跪く。


 『オォ コノフネヲ マモッテクレテ アリガトウ。 フネノナカニアル ザイホウハ オマエタチノ スキニツカッテクレ ソレト ワレワレモ コノフネノクルートシテ オマエノチカラニナロウ。』


 海賊キャプテンの幽霊達はそういうと船の中に姿を消していく。 魔力を使い続けたアルトはその場に倒れそうにななった為、急いで皆んなで身体を支える。


 『フリューゲルさんを〈憑依〉した後だったから、契約で魔力が持つか心配だったけど、上手くいったみたいね…皆んな、一度魔力の維持を解除し、船をしまうから船の外まで私を運んでくれるかな。』


 『俺に任せてくれ! 弟の足も治してもらったのに大した役に立ってないから、これくらいの事はやらせてくれ!』


 海賊船から外に出るとアルトは一度、船の召喚を解除する。 しばらく休ませていると、フラットが向かった方向が、どうやら飲み込まれた魔物の口に繋がる方向だったらしい。


 『よし、皆んな。 魔力が回復するまで休んだら、魔物の中から脱出するぞ!!』


 『おーーーっ!!』

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