英雄の能力とリネットの舞
その日の夜、野営で俺とアルトが見張りの順番で二人きりになる。
『ラッキー、昼間の話だけど、ハープさんから聞いた英雄譚の騎士なんだけど、思いを寄せていたお姫様と再会させてあげたら、私の力になってくれる事になったから紹介するね。』
アルトは俺の前にフリューゲルさんを呼び出し、紹介してくれる。 俺はフリューゲルの承諾をもらい、能力を〈鑑定〉させてもらう。
フリューゲル 男 享年25才
ジョブ 〈騎士〉
魔法一覧 〈身体強化〉
スキル一覧
〈騎乗〉※馬などに騎乗し、自分の意のまま操れる。
〈薙ぎ払い〉※飛び道具による攻撃を弾き、無効可する。
〈見切り〉※自分より弱い相手の攻撃を容易にかわせる。
〈無双連撃〉※魔力を込めた連続攻撃でドラゴンの鱗すら切り裂く攻撃を行う。
犯罪歴 無し
『凄い! 魔族を倒した英雄だけある。 きっとA級ランクの冒険者でも歯が立たない強さかもしれない!』
『そうなのよ…ただ、それを操る私の魔力消費も相当な量になるので、ラッキーの〈同化〉と同じ五分くらいが今の私の限界かな。』
『こんな力を手に入れられるなんて…俺も早く、ネクロマンサーのポイントカードの条件が見つかれば良いのに…』
翌日になり、野営の片付けをしていると、アルトは昨日の出来事をコルネにも伝えているようだ。 馬車での道中は再び、楽器の練習に励む。 しばらく進むと魔物の反応を感知した為、馬車を止めてもらい戦闘準備に入る。
『なんだ、ボブゴブリンが三体か。 ラッキー君達、今回は私の力をお披露目するね。』
ボブゴブリンは通常のゴブリンより体格が1.5倍はあり、Dランク冒険者でも苦戦する強敵だ。 リネットさんは両手に小剣を逆手に構えると、颯爽と走り出す。
『細切れになりなさい。〈剣の舞〉!』
美しい踊りとは裏腹に、ボブゴブリン達は瞬く間にバラバラに切り刻まれていく。
『まっ、こんな感じかな。 自分で言うのもなんだけど、冒険者をやっていれば、結構活躍できる気がするのよね。』
これは、絶対に覚えないといけないスキルだ!
『リネットさん、さっきのあの動き凄く感動しました! 俺にも、あの身のこなしが出来るコツがあれば是非、教えてください!』
『うふふっ、楽器といいラッキー君は向上心が高くて頑張り屋さんなのね。 いいわよ、時間のある時でよければ練習しましょう。』
俺はこの日から、馬車の休憩時間を利用して、簡単なステップの練習から学ばせてもらえる事になった。 30分の練習が終わると、ポイントカードの音声が俺にだけ聞こえてきた。
『ユニークスキル〈ポイントカード〉の〈踊り子〉のポイント獲得の条件を達成しました。 ステップの練習を30分間練習した30ポイントを獲得しました。 2000ポイントで目標達成となります。』
よし! これで、近接戦闘での回避や攻撃のバリエーションを増やす事が出来そうだ! ベネシャに到着するまでに身につけられるものは可能な限り吸収するぞ!
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