魔物の襲撃
馬車で道中、〈ベルファス〉での依頼で旅をしてきた話をしているとリネットさんが会話に混ざる。
『そっか、ラッキー君達も〈ベルファス〉に行った事があるんだね。 実は私とハープが出会ったのは、私がまだあの都市の酒場で踊り子をしていた時なの。 当時はあまり人気が無くて、生活するのがやっとという時期に、流しをしにハープが酒場に現れたの。 その時の歌声を聴いた途端に酒場にいた皆んなが虜になり、連日、酒場は大盛り上がり。 やがてハープが〈ベルファス〉での活動を終えて、次の街に移動する事がわかった時に、どうしても旅に連れて行って欲しいと懇願して一緒に活動させてもらえる事になったのよ。 それからはハープの足を引っ張らないよう踊りの練習を重ねて、少しずつ私も人気が出るようになったんだ。』
『ハープさんとリネットさんにそんな出会いがあったんですね。』
『とっても素敵な話、私も夢中になる人が現れないかなぁ。』
和やかムードで馬車が林の道を移動していると、俺とコルネの〈索敵〉が反応する。
『皆んな、魔物が現れたよ。 数はおそらく10体はいるはず!』
コルネの〈索敵〉はまだ覚えたばかりで、魔物の正確な数までは把握しきれておらず、俺に至っても同様だ。 すぐに馬車主のチューバさんに馬車を止めてもらい、俺達は戦闘体制に入る。 今回、俺達のジョブは俺が〈戦士〉、アルトは闇属性の〈魔法使い〉、コルネは〈斥候〉という事でハープさん達には説明している。
『見て、コボルトの群れよ。 馬車を挟み撃ちにしようと待ち構えていたようね。 私は右の連中を相手にするから、コルネは反対側をお願い。 ラッキーは私達が撃ち漏らして馬車に近づいてくる奴がいれば相手をして!』
『了解、一気に倒すよ! 〈乱れ撃ち〉発動!』
『奴らに降り注げ、〈ダークアロー〉!』
全部で11体いたコボルトの群れはアルトとコルネの攻撃によって一瞬で全滅する。
『君達、とても強いんだね。 私も歌のスキルで支援効果を付与する事が出来たんだけど、今回は必要無かったね。 次また強敵な魔物が現れた時は、微力ながらサポートするよ。』
『私も戦闘用のスキルを持っているのでハープ同様、力になるわ。』
実は、リネットさんは踊りを駆使して戦う事が出来るらしい。 支援タイプのハープさんの歌の支援効果を受ける事で、今までの旅の道中、魔物が現れても自分達で対処してきたそうだ。 この日はコボルト達の襲撃があったものの、馬車の被害なくベネシャに向けて進む事が出来た。
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