実家にて
翌日、俺達は昼前にはメロディ村に到着した。 村長に滞在の報告を済ませると、親父のいる実家に足を運ぶ。
『親父、ただいま! ベルファスから戻って来たよ。』
『ラッキー、その顔を見ると旅の目的を無事に達成できたようだな。 おや、新しい仲間も増えたのかい? 皆さん、ちょうど昼になるので大したものは用意出来ませんが昼食の用意をしますので、どうぞ中に入ってください。』
『ドランさん、いつも良くしていただきありがとうございます。』
昼食をご馳走になると、俺は当たり前のように牛の世話に駆り出されのだが、テナーも何故か自分から参加してくれて作業が捗り助かるぜ。 親父はというと、トラバスさんにコルネの事を紹介してもらい、皆んなの旅の話を楽しそうに聞いている。
『親父、終わったよ…って、人を働かせておいて何、酒飲んでるんだよ!』
『トラバスさんにお土産で貰ったんだから、早速いただかないとバチが当たるだろう? 作業を頑張ってくれたから夕食までゆっくりしてていいぞ。』
『やれやれ、普段は酒なんて飲まないから上機嫌になっちゃって…』
『ねぇ、ラッキー。 よかったら村の中を案内してよ。 ラッキーが育った村の様子を見てみたいな。』
『あっ、それいいね。 ウィンから立ち寄った時は違う目的があったからじっくり見れなかったしね。 早速、行こうよ!』
コルネとアルトに急かされ、村の中を案内する。 一通り村を回ると日が暮れてきた為、実家に戻る。
『ただいま! おっ、凄く良い匂いがするぜ!』
『お帰り、皆んなからいただいたトライホーンバイソンの肉で料理したから席につけ。』
この日はまた、皆んなで実家に泊めてもらいトラバスさん達は気を遣ってくれて、早めに用意してもらった部屋に行く。 俺は親父と二人きりで遅くまで旅の道中の話や昔話をして楽しい時間を過ごす事が出来た。 翌朝、牛の世話で早めに起きると、既にアルト、コルネ、トラバスさんに加えてテナーも俺より先に起きて働いていた。
『おはよう、皆んな今朝は随分と早いじゃないか!』
『おはよう、ラッキー。 前回は起きられなかったから皆んなで早起き出来るよう、早めに夕べは休んでいたんだ。 ほらっ、ラッキーも早く支度をしてよ!』
作業が終わり、朝食をいただくとウィンの街に戻る為、出発の準備を済ませる。
『それじゃあ、親父。 また皆んなで来るから元気でな。』
『おうっ、それでは皆さんもまたいつでも遊びに来てください。 ラッキー、皆んなに迷惑かけないよう気をつけろよ!』
親父に見送られてメロディ村を後にする。
『ラッキーのお父さんって良い人だね。 牛の世話も体験出来たし凄く楽しかったよ。』
『コルネ、そうは言っても毎日、牛の世話をするのは大変な仕事だぜ? 間違っても親父に向かって働きたいと言った日には手放さないと必死にされて帰ってこれなくなれるぞ。』
『私はそれでも構わないけど、今は皆んなと一緒に冒険者として成長していきたいな。』
『もうっ、二人でばっかり仲良くして、私も混ぜてよ。』
『悪い悪い。 そうだ、ウィンに戻ったらアルトが前に海の見える街に行きたいって何気なく言っていただろう? あれさ、本当に計画して見るのはどうだろう?』
『それ良いね! そうと決まれば色々、準備しないと!』
『おやっ、次の目的が決まったのかい? それじゃあ、ウィンに早く戻らないとだね。 テナー、馬達のペースを少しあげようか、よろしく頼むよ。』
こうして俺達はおよそ一カ月に渡る旅を無事に終える事ができた。
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