従魔の合成
『残ったバイソンの肉もこれで保存良し!』
ハウスアンデットで生み出した家の保存庫に、 氷雪のダンジョンで見つけた〈製氷の魔道具〉を使い、空のワイン樽の中に氷をいっぱい敷き詰めた中に残ったバイソンの肉を入れ、即席の〈冷凍魔道具〉もどきとして活用する。
『それにしても、ラッキーって新しい事を思いつくのが得意だよね。 実は発明家に向いていたりして。』
帰りの道中は、テナーの〈プレッシャー〉のスキル効果もあり、順調に行けば明日にはメロディ村に辿り着く計算だ。 途中の平原で休憩を挟んで食事を済ませる。
『ラッキー君、今回の旅で、フレイムウルフとアイスウルフが揃ったよね。 また、新たに〈テイマー〉のスキルをこれから伝授するので、しっかりと覚えてくれ!』
トラバスさんは自分の従魔である、フレイムウルフのトロンとアイスウルフのザックスに膨大な自分の魔力をそれぞれ均等に放出させる。 二匹の従魔達は、トラバスさんの魔力によってお互いの身体が重なると新たな魔物の姿に進化する。
『トラバスさん、このスキルはいったい?』
『これは〈同化〉と呼ばれるスキルだよ。 自らの莫大な魔力を従魔に放出し、その魔力を維持している間に限り特定の魔物同士を一時的に進化させる事が出来るんだ。 君の〈鑑定〉スキルで確認して見るといい。』
魔物の種類
・オルトロス B級ランクの魔物
※フレイムウルフとアイスウルフ二匹による進化系。 二つの頭を持つ狼で二種類のブレスを二つの首から同じブレスを同時、もしくは別々のブレスを同時に使用出来る。
スキル一覧
〈千里眼〉
※複数の気配感知の組み合わせによる進化系。 魔力で感知出来る範囲の生物や物質を離れていても頭の中で見る事が出来る。
〈火炎の息〉〈アイスブレス〉〈威嚇〉
『これが二匹のウルフの〈同化〉によって進化したオルトロスか…』
俺の〈鑑定〉が終わると、トラバスさんは〈同化〉のスキルを解除する。 すると、元々の姿であるフレイムウルフとアイスウルフの姿に戻っていく。
『はぁ、はぁ、今のが〈同化〉のスキルだよ。 見ての通り、膨大な魔力を維持しなければならない為、今の私では10分位が限界だろう。 ラッキー君も日々の魔力向上の特訓を繰り返す事が大事だよ。 ウルフ達の進化はもう一段階残っているから私も頑張らないと…』
滝のような汗をかきながらトラバスさんは話す。 俺も試しにホルンとフラットに魔力を全力で放つも、魔力が足りず上手くいかない。
『新しいスキルを教えていただき、ありがとうございます。 実戦でも有効に活用して行けるよう魔力を磨いて頑張ります!』
『明日にはメロディ村に着くだろうから今日の特訓はこの位にしよう。 皆んな、再び出発しよう!』
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