氷の上での安全対策
地下四階に着くと、石造りのダンジョン構造は変わりないのに、何故か雪が降っている。
『天井は一面、石で覆われているのに何で雪が降ってるんだろう?』
『ダンジョンによっては、階層ごとに見た目自体が変わる物もある。 日の日差しもあり、まるで外にいるかのように森になっていたり、砂漠や沼地だったりとダンジョンを生み出したダンジョンコアの力で様々な状況が作られる。 天井があっても雪が降るのも普通にある訳だ。 私が昔、探索したダンジョンは洞窟のようなつくりから、このダンジョンのような石造りに変わるのを体験した事がある。』
『そうなんですね。 しっかし、この雪の影響で、床が氷付いてまともに歩けないわ。 何とか対策しないと、魔物が現れた時に転びでもしたら恰好の餌食にされてしまう。』
『こういうのはどうだろう。 ホルン達の炎で床の表面の氷を少し溶かして固くなる前に、ガントルの〈土魔法〉で砂を生み出し床に撒けば足場が少しだけど安定しないかな? 砂くらいならアルトの魔力の消費も抑えられるし。』
『珍しくラッキーがまともな案を出すなんて! 何かの
前兆で無ければ良いけど…』
『アルト、流石に酷いよ。 ラッキーが真剣に考えてくれた案なんだから、ちゃんと評価してあげようよ。』
『確かにコルネの言う通りね、ごめんね…ラッキー。』
『別に気にしてないよ。 じゃあ、トラバスさん、アルト。 トロンとガントルの力を借りていいかな?』
『そうだね、やってみよう。 トロン、ホルンに合わせてあげてくれ。』
俺の提案通りに実験してみると、砂が氷の表面に吸収されたおかげで少しだけど歩きやすくなる。
『地道な作業になるけど、安全を優先するに越した事はない。 繰り返し行いながらゆっくり探索していこう。』
しばらく進むと、ホルン達が魔物の出現を知らせてくれる。 目の前に現れた魔物は1メートルくらいの雪だるまのような見た目をしている。
『あれは、ジャックフロスト。 可愛い見た目をしているけど、氷の魔法を使ってきたり増殖する厄介な相手だ!』
ジャックフロストはすぐさま増殖していき、連携しながら氷柱を自分の前から飛ばす氷の魔法で攻撃してくる。
『ガントル守って!』
ガントルが俺達の前に土壁を生み出し、氷柱を防ぐ。
『皆んな、一斉に攻撃だ。 数が増えすぎると手に負えなくなる。』
ホルン達の炎を浴びて小さくなっていくジャックフロスト達に俺達が追い討ちをかけ、全滅させる。
『なんとか片付いたみたいだね。 引き続き、足場に注意しながら先を進もう!』
地下四階は残念ながら宝箱を見つける事なく下に繋がる階段に到着、行動しづらい観点からも無理にフロア全体を探索しないで地下五階に進む事にした。
『何これ? いきなり目の前に大きな扉があるんだけど…』
扉の奥に魔物が潜んでいるらしく、ホルン達が緊張した様子で知らせてくる。
『おそらくフロアボスがこの階にはいるようだ。 今まで現れた魔物と違い間違いなく強敵のはずだ。 準備はいいかい?』
全員頷くと戦闘体制を整え、扉を開く。
『行くぞっ!!』
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