危険な罠
『地下三階もダンジョンの構造的にはあまり変化無さそうだね。』
道なりにしばらく行くと道が三叉路に別れている。
『前方の道の奥に罠があるようです。』
コルネが罠の警告をすると同時に、ホルンとトロンも左右の道から魔物の反応がある事を知らせてくる。 更に自分達が進んできた道は壁が突然動き出し、来た道には戻れそうにない。
『しまった! まさか後方にも罠が発動するなんて…』
『どうやら左右から襲ってくる魔物を避ける為に前方の道に探索者を追い詰め、罠にかける作りのようだね。 Dランク適正の階層なので、ここは敢えて、左右の敵を迎え討とう!』
左右の道から現れた真っ白な羽虫の魔物は人の頭程の大きさで空を飛びながら、それぞれ十匹前後の数で襲ってくる。
『スノーモスの群れか。 奴らは粉雪のような見た目の毒の鱗粉を飛ばしてくる。 炎に弱いのでホルンとトロンで攻撃しよう!』
左右の道から迫るスノーモス達は炎のブレスに飲み込まれると、魔石だけを残して全て消滅する。
『ごめんなさい。 罠に気付けず、皆んなを危険な目に合わせてしまって…』
『そんな事は無いよ。 前方の罠に気づいてくれなければ敵の数の多さに前方の道に逃げていたかもしれない。
これだけ巧妙な仕掛けという事は危険な罠に違いない。 アルトさん、確認してもらえるかい?』
アルトが再びオークゾンビを罠のある道に進ませると、オークゾンビの真上から無数の氷柱が降り注ぎ、オークゾンビの頭を簡単に貫いてしまう。
『うわっ、今までの罠と違って探索者を完全に殺しにかかっているぜ! トラバスさんの言う通り、コルネがいなければ全滅だってあり得たかもしれない。 助かったよ。』
『ありがとう、皆んな。 引き続き集中して対応するね。』
念の為、前方の道の奥がどうなっているか再生したオークゾンビに確認させると行き止まりと判明する。
『どうやら左右どちらかの道が次の階層に繋がっていると推測される。 どちらを選ぼうか?』
話し合いの結果、右の道を選んで進んでいく。 しばらく進むと前方に何かがあるのを発見する。
『皆んな、見てくれ! 道の突き当たりに宝箱が置いてあるぞ!』
『罠の危険を考慮していつもの方法で中身を確認しよう!』
オークゾンビが宝箱を開けると、罠は仕掛けられておらず、中には手のひらサイズの透明な石の中に氷の結晶が閉じ込められたアイテムを回収してくる。
『何かの魔道具に違いない。 ラッキー君、〈鑑定〉をお願い出来るかい?』
俺は石に向かって〈鑑定〉を発動する。
『どうやら持ち主が使う魔力に反応して氷を生み出す魔道具のようです。 〈氷狼石〉ではなく残念です…』
『むしろ最初から魔道具が手に入るとは幸先いいんじゃないだろうか? これは期待が持てると私は思うよ。』
『そうだよ、ラッキー。 この後もガンガンお宝をゲットしていくよ!』
『そうだね、じゃあ後戻りして反対の道に向かおう!』
今度は左の道に向かって先を進むと、予想通りに下へと続く階段を見つけた。
『ダンジョンに入ってから、まともな休憩をしていなかったね。 下の階に行く前に食事も済ませておこう!』
一時間程、休憩を挟むと皆んなのやる気が高まり、地下四階に向かって探索を再開させる。
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