氷雪のダンジョン
『それでは皆さん、〈ベルファス〉が誇る〈氷雪のダンジョン〉についてお話しさせていただきます。 こちらのダンジョンはフロアの階数ごとに冒険者ランクによる利用制限を設けています。 しかし、パーティ内に一人でもフロアを利用出来るランクの方がいれば何かあっても自己責任にはなりますが、ランクが要件を満たしていない方も同行できます。 地下1〜2階はEランク、地下3〜5階はDランク、地下6〜8階はCランク、地下9〜10階はBランク、それ以降の階に関しては全員Aランクで無ければ利用出来ません。』
『俺達の場合はトラバスさんがCランクだから理論上は地下6〜8階まで行けるんですね。』
『はい、ただし現れる魔物のランクも高くなりますのであまりおすすめ出来ません…先日も地方からダンジョンに挑んだパーティが消息を断っております。』
『ダンジョンで見つけたアイテムに関しては自分達の物にしても良いのでしょうか?』
『一部、例外もありますが基本的に問題ありません。 ただし売却する場合は冒険者ギルドで行わないと厳しい罰則を受ける事となります。 その他の注意点についてはルールブックを渡しますので、必ず確認してからダンジョンに行くようお願いします。』
ビオラさんはそう言うと、俺達にルールブックを渡してくれる。 冒険者ギルドを出るとダンジョン探索に備えて食料やポーションといった荷物を購入していく。
『パーティに正式に加わったので、コルネさんの武器も揃えないとね。 〈投擲〉のスキルを所持しているようだから遠距離攻撃用に、ナイフを複数と斥候の適正武器の弓矢を購入しておこう。 コルネさん、店の敷地で弓矢の試し打ちをやらせてもらえるようだから練習してみてくれ。』
適正武器の補正の効果なのか、的に向かって放った矢は全射命中する。
『初めて使ってみましたが、不思議と馴染む感じがします。 これならやれそうです。』
武器の購入が終わり、いよいよ明日からダンジョン探索を開始する事となった。 この日は久しぶりに飲食店でのご馳走を満喫して英気を養い明日に備えて早めに就寝する。 次の朝、事前の情報でダンジョン内の床が石造りだと判明した為、アルトはダンジョン近くの地面のある場所を探している。
『ここなら、召喚できそうね。 魔力を使いすぎないようバリトンとオークゾンビを二体だけ召喚しておくね。』
アルトはバリトン達を召喚するとフードを被せ、姿をわからなくしておく。
『流石にゾンビを連れて他の冒険者と遭遇したら間違えて攻撃されたら困ると思ってね。 私もこれで準備万端よ!』
氷雪のダンジョンに入ると情報通り、全ての内装が石造りとなっている。
『皆んな、聞いてくれ。 ダンジョンの中では至る所に罠が仕掛けられているが我々の中でコルネさんが〈罠感知〉のスキルを所持しているも、罠を解除出来るスキルとはまた別物なのだ。 そこで、前衛でオークゾンビ達に進んでもらい、〈罠感知〉の反応があれば、ワザと我々と距離をとり、オークゾンビ達に罠にかかってもらう事で危険を予防したいと思う。 アルトさん、気を悪くさせてしまうと思うが安全対策としてよろしく頼む。』
『分かりました、その作戦でいきましょう。 コルネ、反応があればすぐに教えてね。』
『任せてください。 それでは皆んな、頑張りましょう!』
『おーーっ!!』
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