雪と氷の都市〈ベルファス〉
スノータイガー達との死闘を制するも、フラットの負傷でこの日の移動は中止し、ハウスアンデットを召喚し全員休む事となった。 スノータイガーの毛皮や牙は冒険者ギルドで高値で買取りして貰えるらしく、一匹は素材として解体し、残りの二匹はアルトが契約してゾンビにする。
『テナー、フラットがこの通りしばらく安静させる事になった。 すまないが面倒を見てやってくれ。』
ハウスアンデットの中で待機しているテナーにトラバスさんが指示する。
『トラバスさん、ありがとうございます。 それにしてもテナーを見てるとリザードマンって、もの凄く賢い種族なんですね。』
『ラッキー君、テナーとは私が十八の時に〈テイム〉してから四年の付き合いになるのだけど初めから何でも出来た訳では無いんだ。 気性が荒く、魔物との戦いが始まりと歯止めが効かず随分と苦労したものだ。 根気強く愛情を注いで絆を築いてきた結果、今に繋がっているんだよ。』
『そうだったんですね。 絆か…俺もトラバスさんみたいにホルン達ともっともっと向き合って、絆を築いていけるよう頑張ります! 勿論、アルトやトラバスさん、コルネ達ともね。』
皆んなも俺の発言に笑顔で頷き返す。 アクシデントこそあり、予定が一日ずれ込みはしたが、三日後には最終目的地であった〈ベルファス〉に辿り着いた。
『ここが〈ベルファス〉か! 大きな建物がいっぱいあるぞ、道も全て石畳になっている。』
『歴史的建造物やインフラの整備もそうだけど、自然とも調和した造りになっているよね。 気候の影響もあり、タイミングがよければダイヤモンドダストやオーロラも見れて観光地としても人気が高い。 私も初めて訪れたけど素敵な都市だね。』
俺達は先ず、ダンジョン探索に向けて冒険者ギルドで情報収集する事にした。
『冒険者ギルドへようこそ! あら皆さん、初めて見る方ばかりですね。 私、受付嬢をしていますビオラと申します。 今日はどのようなご用でした?』
『ベルファスのダンジョン探索を希望してまして探索の手続きと情報収集をしたくて来ました。 それと、彼女の冒険者登録と新たに加わった従魔達の登録もお願いします。』
『かしこまりました。 では、あなたの冒険者登録から行っていきましょう。 早速ですが、こちらの水晶に手を触れてください。』
コルネが水晶に触れるとジョブなどの情報が表示される。
コルネ 女 14才
ジョブ 〈斥候〉
スキル一覧 〈罠感知〉〈投擲〉
犯罪歴 あり
コルネの犯罪歴にありの表示が反応し、俺達に緊張が走る。
『過去に犯罪歴が表示されました。 内容次第では登録を受け付ける事が出来ない場合があります。 こちらは嘘を見抜く事が出来る魔道具です。 あなたが思い当たる犯罪を正直に教えてください。』
『私はかつてスラムで孤児として暮らしていました。 小さな子供に仕事など見つからず、その日の食べる物に毎日困っていて物乞いだけでは収入がほとんどなく、人の物を盗み食いつないでいました。 もし、罪に問われるようでしたら私は素直に受けたいと思っています。』
『どうやら他に隠している事も無く、真実を話してくれたようですね。 このようなケースの場合は特例ですが情状酌量として認めらます。 今後の活動では罪を繰り返さないよう頑張ってくださいね。』
『良かったね、コルネ。』
安心して涙を浮かべるコルネをアルトが抱きしめる。 その後、俺とトラバスさんのフラット(登録の為、一度同行中)とザックスの登録を済ませると、ダンジョンについての説明が始まる。
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