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犬ぞりならぬ狼そり

 馬車での移動を続けていると、雪が降ってくる。 


 『この辺りまで来ると、年中雪が降るそうだよ。 あと何時間か進めば話していた湖に着くはずだ。』


 湖の前まで来ると、小さな村に到着する。 肉眼で見える距離にある湖は一面氷に覆われており、雪も吹雪いてくる。 


 『湖を迂回するとなると悪天候の中を半日以上かけての移動になる。 ラッキー君、この村では湖面を移動する際に犬ぞりを使って行き来する風習があるんだ。 この先は馬車での移動が出来なくなるので、この村で犬ぞりを購入して私と君のウルフ達に湖面の反対側まで引いてもらうという訳だ。』


 村の犬ぞり屋で四人が乗れるそりを購入すると馬繋場にお金を払い、二頭の馬と馬車を預かってもらう。


 『あとはテナーなんだが、リザードマンの特性で、寒い環境だと身体が固くなり動けなくなってしまうんだ。 アルトさんのハウスアンデットの力で、テナーを家の中で待機させてもらえるだろうか?』


 『分かりました。 確かに家の中なら暖も取れるし、食料の心配も無いですよね。 テナー、お疲れ様。 しばらく家の中で休んでいてね。』


 アルトは村外れで小さなサイズの家を呼び出すとテナーが入っていく。


 『ありがとう、アルトさん。 さて次はこの村の人達が身体を温める為に使っているという〈ハバネの実〉を購入しよう。』


 食料の補充を兼ねて購入した〈ハバネの実〉は口にすると辛さで舌が非常にヒリヒリするが一つの実で二時間は寒さが気にならなく程、身体が温まる効果があるそうだ。


 『ぐはっ、これは辛い!』


 『ほんと…舌が痛くなる。』


 『二人とも、早くこの水を飲んでくれ。 コルネさんにもすぐあげるよ。』


 『私は意外と大丈夫かも。 スラムで暮らしていた時に、空腹を紛らわすのに口にしていた野草のほうがキツかったので耐性がついたのかもしれません。』


 『これよりキツイとか、想像したくないぜ…大変だったんだな。』


 『それでは支度も整ったし、明日は湖面を渡るとしよう。 湖を越えれば目的地の〈ベルファス〉まですぐそこだ。』


 俺達の乗るそりは二人ずつ横に座れて二列になっている。 前列にはトラバスさんと俺が乗り、後列にはアルトとコルネが乗る。 そりを引くのは、俺の従魔のホルンとフラット、そしてトラバスさんの従魔のトロンとザックスが担当する。 四匹にはロープのついたハーネスを固定し、犬ぞりならぬ狼そりの準備完了だ。


 『よーし、出発だ! ホルン達、よろしく頼むぞ!!』


 『ウォーーーン!!』 


 ホルン達は力強く気合いの入った雄叫びをあげ、そりは勢いよく走り出す。


 『わわっ、トラバスさん。 そりってこんな速さで進むんですか!!』


 『本来なら犬が引くものをフレイムウルフ達が引いているからね。 皆んな振り落とされないよう、しっかりそりに掴まってくれ!』


 後列に座っているアルトとコルネは周りの景色を楽しんでいるようで仲良く話している。


 『うわーーーーっ!!』

 

 俺の絶叫だけが辺りに響きわたるのだった…


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