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モンスターハウス

 『話には聞いていたけど、ずいぶんと古い宿だね…アルトさん、何か幽霊の気配を感じるかい?』


 『今のところは特に、ひょっとしたら外観を気味悪がって悪い噂に繋がっただけかもしれません。』


 宿場町なのに、この宿だけ離れた辺鄙な場所にある。 建物は薄汚れて壁の一部は剥がれ、木の枝がたくさん絡みついている。


 『とりあえず、中に入ろうぜ。 お腹も空いたし、寒いから早く暖を取りたい。』


 俺の提案に皆、頷く。 中に入ると初老の男女が出迎えてくれる。


 『すいません、二人部屋を二つと、従魔も一緒に泊まりたいのですが?』


 『これはこれは、寒い中よくいらしてくれました。 従魔達は馬車の馬と一緒に馬小屋で預からせていただく扱いになりますが大丈夫ですか?』


 『分かりました。 テナー、トロン達を誘導してくれ。』


 宿の男性に案内されテナー達が移動する。 トロンに心を開きはじめていたコルネさんは残念そうな顔をする。


 『こちらのふた部屋を使ってください。 夕食の準備が出来ましたら、お呼びいたします。』


 とりあえず、案内された二階の一室に四人で集まる。


 『外観が古いから、中も隙間風とかで寒くないか心配したけど大丈夫そうで良かったぜ。』


 『ほんと、身体を洗えるお湯も後から用意してもらえるみたいだし、ようやく汚れを落とせるわ。 そう言えば、コルネさんは神託の儀は受けた事があるの?』


 『はい。 本当は教会で身寄りの無い子供達を受け入れてくれると聞き行ったのですが、子供の数が多く経営が大変みたいで受け入れてもらえなかったんです。 神託はその時に行ってくれました。 私が授かったジョブは〈斥候〉でスキルは〈罠感知〉です。 それと…私の事を呼ぶ時はコルネで構いません。』


 『じゃあ、俺達の事も呼び捨てで呼んでくれ。 ちなみにコルネは歳はいくつなの?』


 『こらっ、ラッキーったら。 女性の年齢を聞くのは失礼でしょ!』


 『ごめん、悪気は無かったんだけど気になって。』


 『別に気にしませんよ。 私は14才です。』


 会話をしていくうちにコルネは少しずつだが、打ち解けてきたように思う。 しばらくして食事に呼ばれると皆は一息つく。 夜が更けて男女別れてそれぞれの部屋で休んでいると、隣りの部屋からアルトとコルネがドアを叩いて俺達の部屋に入ってくる。

 

 『ラッキー、トラバスさん、すぐに起きて! 宿、全体から強い死霊の気配が漂っているの。 ひょっとしたらモンスターハウスかもしれない!』


 『モンスターハウス?』


 『そうよ。 建物事体が死霊となって中に入った人から生気を奪いつくし養分として取り込んでしまう。 あの使用人達は死霊に憑依されていたんだわ。 私とした事が気づけなかったなんて…すぐにここから出よう!』


 『ごめんなさい…私の〈罠感知〉も反応しませんでした。』


 アルトとコルネは悔しそうな顔をする。 俺とトラバスさんは慌てて着替えて荷物をまとめていると、部屋の気温が一気に下がり部屋の天井や壁からレイス達が襲ってくる。


 『ラッキー、流石に私だけでは対処しきれない! 〈光魔法〉を使って手伝って!』


 『〈光魔法〉? ラッキー君、魔法が使えたのかい?』


  『後から説明しますので、トラバスさんとコルネは俺とアルトの間に入ってください。 行くぞ! 〈ライトアロー〉』


 『ファゴットさん、力を貸してください。 〈ダークアロー〉』


 俺とアルトの魔法でレイス達は消滅していく。 


 『今のうちに一階に降りるよ!』


 部屋を抜けて下に行く階段に向かうと目の前の床からどす黒い何かが姿を見せる。


 『あいつはレヴァナント! ゾンビなんかと違って高い知性を備えている、皆んな下がって!』


 レヴァナントは指で合図を出すとレヴァナントの周りから今度は奥の部屋からグールが三体現れる。


 『ラッキー、行くよ!』


 『おう、任せてくれ!』


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