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コルネの過去

 『どうやら、これを使えば首輪を外せるはずだ。 これでよし。』


 殺されていた商人風の男は奴隷を扱う商人で攫ってきた子供達を販売する為、街へ移動する途中に山賊達に殺されたようだ。 運悪く、巻き込まれた二人の男の子達も既に亡くなっていた。 トラバスさんは壊れた荷馬車から奴隷の首輪を外す為の支配の指輪を見つけ、唯一の生き残りだった少女につけられた奴隷の首輪を外すと怒りの表情を浮かべ小剣で真っ二つにする。 奴隷の首輪をつけられた者は支配の指輪の魔力の力で命令に服従させられてしまうのだ。


 『安心してくれ、私達は旅の冒険者だ。 このまま、放っておく事等できないし、君のいた町まで送り届けるつもりだ。』


 泣き止んだ少女は悲しそうな表情のまま、首を横に振る。


 『無いの…私に帰る場所なんて。 私は孤児だからスラムで物乞いをしたり盗みをして生きてきたの。 奴隷商人に目をつけられたのは、きっと人の物を奪ってきた罰だと思うの。 それにこの尖った耳のせいで誰からも嫌われて過ごした。 私なんてこのまま生きていたって…』


 『そんな事は無い。 確かに盗みを行う事は良くない事だと思うが生きる為にどうしょうも無かった事だろう? 奴隷商人に連れ去られた事が罰というのなら、これで罪は無くなったと思うよ。 それに本当に死にたいと思っていたのなら山賊に殺されそうになった時にあんな風に助けを求めていないはずだ。 不安かもしれないが私達は君をどうにか助けてあげたい!』


 横で少女を介抱していたアルトが少女の目を見て話かける。


 『私ね、この人達に会うまで自分のジョブが〈ネクロマンサー〉という事であなたと同じで周りから疎外されていたの。 人を信じる事はとても勇気のいる事だと思うけど、悲しいだけの人生なんてあんまりだから、あなたに幸せになって欲しいと思う。』


 『そうだよ。 俺達は君の事を決して悪く言ったりしないし、君が安心して暮らしていける手助けをしたいだけなんだ。 こんな魔物も現れる山道を抜けて安心できる場所がみつかるまで俺達と一緒においでよ。』


 『…わかった、あなた達を信用してみる。 私はコルネ、よろしくお願いします。』


 『俺はラッキー、こちらはトラバスさんとアルト。 周りのウルフやリザードマンは俺とトラバスさんの従魔だから襲って来たりはしないから安心してくれ。』


 『さあ、お腹も空いているだろう。私達の馬車に乗ってくれ。 温かい食べ物はすぐに用意出来ず、申し訳無いが干し肉やチーズが残っているからいっぱい食べてくれ。』


 悲劇の死を遂げた男の子達の遺体を埋葬して皆んなで祈りを捧げると再び山の麓を目指して出発する。 ここからは俺達の旅にコルネが加わる事になった。 まだ不安そうな表情を浮かべながら食事をしているが、安心してもらえるよう少しずつ仲良くなれればいいな。 この日は山の途中で野営をして次の日も昼頃まで山道を進む。


 『どうやら麓まで来たみたいだ。 今度は山道を二日ほど降っていけば、この山ともおさらば出来る。 諸君、もうひと頑張りだ!』


『おーーっ!!』


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