山賊達の蛮行
今回の話は人が死にます。年齢制限は行っていませんが自己判断で読んでください。
湖の近郊にあった村を出発して三日が経過した。 道中は野営を繰り返しながら日課のお祈りと、トラバスさんから教わった〈意識共有〉のスキルの練習を続けて、ようやくホルン一匹であれば〈意識共有〉を使いながら自分も行動できるようになってきた。
『凄いじゃないか、ラッキー君。 私が従魔一体を自在に操る域になるまで十日はかかっていたよ。 ワイルドウルフ達は連携する事で脅威的な力を発揮するから、フラットとも同時に出来るよう頑張ってくれ。』
休憩を終えて再び移動というタイミングで、従魔達が一斉に魔物を感知し知らせてくる。
『オークの群れだ!』
武装したオーク達はこちらに気づくと一斉に襲ってくる。 その数は五体いて俺とアルトも身構えようとするとトラバスさんが制する。
『二人とも、ここは私に任せてくれ! ラッキー君、〈意識共有〉のお手本を見せるのに丁度いいので戦い方を見ていてくれ!』
トラバスさんはトロンとザックスに〈意識共有〉を発動させると言葉を使わずに二匹を左右に展開してオークを挟み込む形にすると自身も正面からオークを迎え撃つ。 二匹のウルフは素早い動きでオーク達を翻弄しながら隙をついてオーク達にダメージを与えていく。 二匹のウルフに注意を向け、油断したオークはトラバスさんによって次々と倒されてしまう。 仲間がやられて逃げだそうとした最後のオークは背後からザックスに足を噛まれて倒れ込むと前からトロンにも襲われ、絶叫しながら命を落とす。
『凄い! こんな戦い方が出来るなんて!』
『これが〈意識共有〉を使った連携だよ。 自分のイメージで戦い方を展開していくのでセンスも問われるが間違いなく戦いやすくなると思うよ。』
『ありがとうございます。 俺もこの力を使いこなせるよう頑張ります。』
『このオーク達、私の〈タンク〉役として契約しようと思うんですがいただいても良いですか?』
『勿論構わないよ。 強い魔物を倒していければアルトさんはどんどん強くなれるのだね。 ところで気になったのだが、契約したゾンビ達は連れ歩いていなくてもいつでも呼び出せているのはどういう仕組みなんだい?』
『ネクロマンサーは地面のあるところであれば、いつでも契約したゾンビやスケルトンを地面から呼ぶ事が出来るんです。 ただし、ダンジョンや町中にある石畳のような場所だと召喚出来なくなるので、レイスやウィルオーウィスプのような浮遊しているタイプしか呼び出せなくなるんです。』
『なるほど、万能そうに見えて、意外なところで弱点もあったのか。 〈ネクロマンサー〉自体がなかなかいないジョブなので君といると毎回、勉強になるよ。』
翌日も〈ベルファス〉に向かって馬車で進んでいくと、大きな山が見えてきて山道を進む事になる。 しばらく進んでいくと従魔達が前方で何かが起きている事を警告してくる。
『大変だ! 山賊達に荷馬車が襲われている!』
馬車を御者のテナーに任せて、俺達が駆けつけると荷馬車の主人と思われる商人風の男性や同乗していた男の子二人は既に山賊達に殺されており、山賊に捕まったフードを被った女の子が一人泣き叫んでいる。
『お前達、なんて事を…絶対に許さないからな!』
『なんだ、このガキ。 お前もコイツらと一緒に地獄に送ってやるぜ。 一緒にいる女のガキはこの女と一緒に楽しんでやろうか!』
戦いは一方的な展開になり俺達の手によって山賊達は一人残らず倒れていく。 初めて人を殺めてしまったがコイツらは魔物よりも醜悪さに迷いが生じる事は起きなかった。
『ねぇ、もう大丈夫だよ。 安心して。』
アルトが女の子を介抱すると、ある事に気づく。
『そんな、奴隷の首輪をつけられている…それに、あなたハーフエルフなの?!』
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