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湖に潜む者

 『ラッキー、そろそろ暗くなってきたから起きてよ。 野営の準備をしないと!』


 トラバスさんから〈意識共有〉を学んだ後、疲れ切って馬車の中で寝てしまっていたようだ。 湖近くの村までは距離があと一日くらいかかる為、今晩はこの場所で野営をするらしい。


 『ごめん、アルト。 そんなに長く寝てしまっていたんだね。 俺は何をすればいい?』


 『トラバスさんが夕食を用意してくれているから、ラッキーは夜中に使う焚き火用の木の枝を集めてきてよ。 私はさっき、水の魔道具で今晩のシチュー作りで魔力を使ったので少し休憩するね。』


 『了解! ホルン、フラット。 一緒に手伝ってくれ。』


 『ウォン!』


 新たに俺の従魔になったワイルドウルフのフラットはホルンに比べると陽気な性格ではしゃぎすぎる時があり、ホルンが先輩として注意してくれている。 俺は二匹と共に木の枝を集めて戻るとシチューのいい香りがしてくる。


 『お帰りラッキー君、ちょうどシチューが出来上がったところだから温かいうちに皆んなで食べよう! 昼は寝てしまっていたからお腹が空いただろう?』


 トラバスさんのシチューは一言で言うととにかく美味い! 俺は夢中になって食べ続ける。


 『美味しい! ラッキーのお父さんにもらったお肉、口の中でとろけるよ。』


 『アルトさんが頑張ってシチューに使う水を用意してくれたからね、腕によりをかけて作ったよ。 冒険者の中には携帯食で簡単に食事を済ませる人も多いけど、長旅を続ける為には、しっかり栄養を取らないといけないよ。』


 従魔達も実家から貰った干し肉に夢中になって食べている。 食事を済ませて後片付けを済ませると三組に別れて見張りと就寝を交代で行う。 組み合わせは俺はホルン、フラットと組み、アルトはトラバスさんの従魔のトロンとザックスと組む。 そして、トラバスさんはテナーと組む事になった。 まだ初夏という事もあり、見張りの際には身体が冷えるも前回の鉱山に向かった時の野営に比べると気温もいくらか暖かいし、いざとなればモフモフ達に温めてもらおう。 この日は魔物の襲撃もなく無事に野営をする事が出来た。


 『おはよう、ラッキー君、アルトさん。 夕べはしっかり休めたかい?』


 朝方の見張りをしていたトラバスさんが朝食の支度を既に用意してくれている。 俺達、この人がいない時の冒険時に、きちんと同じ事ができるか心配になるぜ。 朝食を食べ終わり、野営の後片付けを済ませると道中はテナーのスキルの効果もあり何事も無く進んでいく。 俺は空き時間にメロディ村の神父さんからいただいた聖母様の像に祈りを捧げてみると、教会同様に〈プリースト〉のポイントが20ポイント獲得出来る事がわかった。


 『ラッキー君が信心深いとは意外だね。 聖母様の像まで持参しているなんて思ってなかったよ。』


 『ジョブやスキルのおかげで冒険者になれましたので感謝の気持ちをお伝えしているだけですよ。』


 『そうだね。 そういう気持ちを持ち続けるのは大事な事だと思うよ。 よければ私にもお祈りさせてくれるかい?』


 トラバスさんが祈り出すと、横でアルトも一緒に参加している。 日が暮れはじめた頃になると、ようやく目的地の村に到着する。 メロディ村の時と同様に村の外に馬車と従魔達を待機させ、村人に声をかけると村長の家に案内してもらえた。


 『冒険者の皆さんでしたか、このような小さな村に何かご用でしたか?』


 村長さんが尋ねてくる。


『実は北の〈ベルファス〉まで行くために移動中でして、もしよければ一泊だけ村の中で休ませていただきたかったのですが。』


 『そうでしたか、人が住まなくなった古い家でよければ使っても構いませんが、一つだけ我々の願いを叶えていただけませんか?』


 村長が言うには、最近夜になると湖のほうから女の鳴き声が夜な夜な続いて気味が悪いと村人達から苦情が寄せられているらしい。 魔物だった場合、村長や村人では対処が出来ずに困っていた為、調査してもらいたいそうだ。


 『分かりました、それでは早速向かいます。』


 こうして俺達は湖から聞こえる鳴き声の調査に向かう事になった。

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