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意識共有

 俺達は新たにメンバーに加えたワイルドウルフ二匹を引き連れ、実家に戻ると親父とテナーが食卓で仲良くくつろいでいた。


 『トラバスさん、こんな優秀なリザードマンは見た事が無い! 願わくば、ずっとウチで働いて欲しいくらいだよ。』


 親父の話によると、会話こそ通じないものの身振り手振りで仕事を伝えるとすぐに理解し、手際良く動いてくれるだけでなく、牛達もすぐにテナーに慣れたそうだ。


 『申し訳ありませんがテナーは私の大事なパートナーですので。』


 トラバスさんはやんわりとお断りする。


 『もちろんわかっておりますよ。 ところでワイルドウルフを新たに引き連れているところを見ると、ここでの目的は無事達成できたようですね。』


 『はい、明日の早朝に、次の目的地〈ベルファス〉に向けて出発しようと思います。 私達は早めに休ませていただきますので、ラッキー君と久しぶりの水入らずを満喫してください。』


 トラバスさんはそう言うと、アルトに目で合図しアルトも頷く。 トラバスさんの計らいで久しぶりに親父と時間を気にせず話が続いた。 実家で一緒に暮らしていた時でも物静かな親父とこんなに話をするなんて思いもよらなかった。 翌朝、出発の準備が整うと、親父はまた干し肉とチーズをいっぱい持たせてくれた。


 『ラッキー、お前達の旅が無事達成できるよう影ながら応援しているぞ! トラバスさん、アルトさん、コイツの事をどうかよろしくお願いします。』


 やめろよ、親父…俺は思わず感極まりそうになり、必死に涙を我慢する。 


 親父に見送られながら、俺達は馬車に乗るとメロディ村を出発する。


『地図によれば、このまま北上して進むと二日ほどで湖が見えてくるらしい。 その湖に面した村があるようなので、次の目的地としよう。』


 『ところでトラバスさん、新しい従魔達の名前を決めませんか? 今のままだと指示する時に不便ですよね。』


 『実は新しいワイルドウルフを使役する前提で君達を旅に誘ったので、私はすでに〈ザックス〉という名前に決めていたのだよ。』


 『そうだったんですね。 俺はなんてつけようかな?』


 『私も実はゴブリンメイジゾンビを呼ぶ時、長すぎて不便だったのよね。 私もゾンビ達に名前を決めようかな。』


 アルトと二人で試行錯誤した結果、俺のワイルドウルフの名前は〈フラット〉、アルトのゴブリンメイジゾンビの名前は〈バリトン〉に決まった。


 『よろしく頼むな、フラット、ザックス!』


 『ウォン!』


 しばらくして身体を外で伸ばす為、休憩を取ることきなり馬車を一度止める。 四匹の狼達は馬車から飛び出すと嬉しそうに外を走り回る。


 『既に二匹ともホルンやトロンとも仲良くなったみたいだね。 そうだ、ラッキー君。 いい機会だから〈テイマー〉のスキルを教えてあげよう。 いいかい、先ずはホルンに向かって強めの魔力を流してホルンと意識を共有する事を意識し集中してくれ。』


 俺はトラバスさんに言われた通りに離れた距離にいるホルンに魔力を流しながら意識を集中すると次第にホルンの視覚を通して見える景色が頭の中に浮かんでくる。


 『コツを掴んできたみたいだね。 今度は言葉に出さずに心の中でホルンに何か指示を出してみよう。』


 俺はホルンにこちらに戻ってくるよう指示を出すと、すぐに理解し俺の前に走ってくる。


 『はぁ、はぁ、なんとかできましたが凄く神経と魔力を使いますね…』


『今のが自分の従魔に使用出来る〈意識共有〉というスキルだよ。 従魔に言葉で指示出しをしていると、敵に行動を読まれてしまうだろう? このスキルはそういった事を予防したり、何かを捜索する時に離れていても従魔の視覚で見たものを確認出来る。 最初のうちは従魔に意識を飛ばす事で精一杯になるが、慣れてくると一度に複数の従魔でも行えたり、意識を共有してても普段通りに自分も動けるようになるから練習してみてくれ。』


 『そうなんですね…ちなみにトラバスさんは何処まで使いこなせているんですか?』


 『私でも三匹と意識を共有しながら動き回るのが精一杯だ。 実在したと言われる伝説の〈テイマー〉は五十できかない従魔でも余裕だったそうだ。』


 俺はその話を聞くとそのままダウンしてしまった…この人、凄すぎるよ。


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