トラバスからの指名依頼
翌日になり、俺はホルンと一緒に朝一番で冒険者ギルドに訪れ依頼書を確認していた。 アルトはまだしばらくの間はギルドに行くのが不安そうなので当面は俺が依頼を担当する。 例の連中は初めこそ、俺に対しても嫌がらせ行為をしようとするも、C級魔物のホルンが睨みつけてからは距離を置くようになっていた。
『おはようラッキー、アルトの様子はどう?』
受付嬢のメリーさんはすっかり仲良くなり、俺達の事を名前だけで呼んでくれるようになった。 アルトの事も変わらず気にしてくれている。
『おはようございます。 俺といる時は、すっかり元気に過ごしています。 今回はこの依頼をお願い出来ますか?』
『ごめん、ラッキー。 実はトラバスさんからあなたとアルトに指名依頼が来ていたの。 今回はそちらを優先してもらってもいいかな?』
『トラバスさんからですか! 分かりました、すぐに向かいますね。』
冒険者ギルドを出てアルトと合流すると依頼の報告を行う。
『トラバスさんからの指名依頼か。 ひょっとしたら、またワイルドウルフ関連の依頼かも知れないね。』
依頼書には遠方に行く事が記載されていて、前回もそうであったが食料等の物資は全てトラバスさんが用意してくれるらしい。 俺達はすぐにトラバスさんの屋敷に向かった。
『やあ、ラッキー君、アルトさん。 また来てくれて感謝しているよ。 なんとなく察してはいるだろうけど、ワイルドウルフの次なる進化に必要な〈氷狼石〉がみつかる場所が判明したんだ。 二人には私と一緒に北の森の奥にあるメロディ村を拠点として一度移動してもらい、近隣に生息するワイルドウルフを新たに〈テイム〉しようと思っている。 その後はさらに北に馬車で二週間の長い移動を行って雪と氷の都市として知られる〈ベルファス〉に向かおうと考えている。』
トラバスさんはそう言うと、地図を広げて〈メロディ村〉と〈ベルファス〉の位置を教えてくれる。
『結構な旅ですね。 依頼はもちろん受けようと思いますが宿の事や知り合いの仲間がいるので連絡だけさせてもらっても良いでしょうか?』
『もちろんだとも。 それとこのお金を渡すので〈ベルファス〉での防寒対策の用意をしっかり準備してくれ。』
トラバスさんの屋敷を一度出ると、俺とアルトは自分達が利用している宿をしばらく利用しない事をお知らせして次に向かったのはピア達〈カルテット〉の拠点の宿に向かった。 残念ながらダンジョン探索を続けているのか不在だった為、宿の人に伝言をお願いする。
『ねぇ、アルト。 〈ベルファス〉って都市だけど行った事はある?』
服屋で防寒用のコートやマフラー、手袋にフード付きの帽子と滑り止めの付いたブーツをそれぞれ購入してからトラバスさんの屋敷に向かって今は歩いている。
『もちろん、ある訳無いじゃない。 そもそもこの街より大きなところで活動した事事態(自体)が初めてだよ。 どうせ行くなら南で海のある街に行って見たかったなぁ。』
『それは良いね。 今回の長旅が終わったら考えてみてもいいかもね。』
トラバスさんの屋敷に着くと、馬車の準備が出来ていてリザードマンのテナーとフレイムウルフのトロンが今回も旅の共として加わる。
『では諸君、今回も目的を成功させるぞ!』
『おーーっ!!』
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