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アルトの悲しみ

 『あら、二人とも随分と久しぶりね。 依頼は無事に達成出来たのかしら? …ってホルンちゃんの様子が変わってるんだけど!』


 冒険者ギルドのカウンターに行くと、メリーさんが俺達を迎えてくれる。 ホルンの姿を見て周りの冒険者達も驚いている。 トラバスさんに聞いた話だが、フレイムウルフと言えばなんとCランク相当の強さを秘めているそうでEランクの俺が本来なら連れ歩ける魔物では無いのだ。


 『久しぶりです、メリーさん。 依頼主のトラバスさんから貰った依頼の報告内容と依頼達成のサインです。 ホルンの事も書かれています。 それと鉱山で討伐した魔物の素材です。』


 『どれどれ…ってまさか鉱山にアンフィスバエナが住み着いていたですって! まぁ、今のホルンちゃんと同じCランクの魔物だけど、同行していたトラバスさんもCランクの冒険者だし、まぁ安心か。 あなた達、相変わらず無茶な事をしているわねぇ…』


 『メリーさん、トラバスさんってCランクの冒険者だったんですか?!』


 『知らなかったの? この辺の田舎ではソロで活動している冒険者の中では間違いなくトップクラスの実力の人なのよ。 ランクこそCランクのままでいるけど、実力的にはBでも通じる人だと思うわ。』


 『そうだったんですね。 確かに連れてるリザードマンも強かったし、知識も凄い方だったよね。』


 アルトも頷き返す。


 『今回は依頼達成の報酬を直接、依頼主から貰っているみたいだから依頼達成の冒険者ポイントの追加とアンフィスバエナの素材を査定するわね。 それとラッキー君、今回の依頼達成報告を受けて今日からDランクに昇格しました。 おめでとうございます。 それとホルンちゃんの従魔のカードも一緒に更新します。 同一個体ではあるけど、種類が変わってしまったので新たな登録として銀貨二枚をいただきます。』


『よし! ようやくアルトのランクに追いついたぞ!』


 『私は別に気にしてなかったけど、男の子ってそういうのこだわるんだね。』


 ギルドカードの更新と素材買取りの手続きを待っていると陰からヒソヒソと俺達の事を見て話すパーティがいた。


 『アイツがアルトと組んでる物好きか。』


『よく〈ネクロマンサー〉なんかと冒険出来るよな。』


 その後もワザと聞こえる声で悪口を言う連中。 頭にきた俺は、ソイツらのところに向かおうとするとアルトが俺の手を強く掴んで止めようとする。


 『お願い…私は気にしてないから騒ぎを起こさないで…』


 今にも泣き出しそうな顔をしてアルトは俺を掴んで離さない。


 『…わかったよ。 熱くなってごめん。』


 やり場のない怒りを何とか抑えているとメリーさんに呼ばれる。


 『お待たせしたね。 …何かあったの? 二人ともすごい顔しているけど、ひょっとしてアルトちゃん、また嫌がらせを受けているの?』


 『ごめんね、ラッキー。 少し疲れたみたいだから手続きをお願いしていいかな。 …今日は先に帰るね。』


 アルトが冒険者ギルドを出ると俺は先程の話をメリーさんに伝える。


 『話は分かりました。 あの連中は以前、アルトちゃんとパーティを組んでた連中なんだけどアルトちゃんのジョブを悪く言ってパーティを追放した最低な連中なのよ。  本当は私もペナルティを与えてやりたいんだけど、被害者のアルトちゃんがおおごとにしたくないからと止められていてね…』


 『なんて酷い連中だ!』


 『前にあなた達が連行したネクロマンサーの男性がいたでしょ? 捕まった時の聴取であの人も周りに随分と冷たい扱いを受けてたみたいなの。 あの人もここで冒険者をしていた時は元々は悪い人では無かったんだけど、世の中には人を偏見で見下す酷い連中がどうしてもいるからアルトちゃんの事はあなたが支えてあげて欲しいの。』


 『分かりました。 俺は絶対アルトを守ってみせます!』


 『ラッキー君、よろしくね。 でも冒険者同士の揉め事は強いペナルティが課せられるから絶対にしないでね。』


 俺は新しいギルドカードと報酬を受け取るとモヤモヤする気持ちを抑えながら冒険者ギルドを出た。


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