『ポイントカード』の効果
『そんな…神父様、嘘だろ。』
『ラッキーよ、私も今まで沢山の人々に神託を行ってきたが〈適正職業〉を持たない者が現れた事は一度も無い。私だけではなく、おそらく他の神職者達も同様だ。長い聖書の歴史の中で〈適正職業〉が無い者が書かれた記載は無いのだ。そして汝が授かったポイントカードという〈スキル〉に関してもどのような効果を秘めているのか誰も知らないであろう…』
『なぁ、ピア、オルガ、ハーモニー。〈適正職業〉が無くても俺とパーティを組んでくれるよな。ずっと昔から皆んなで約束していたんだから…』
『悪ぃ、ラッキー…それはちょっと無理な話だ…』
『ラッキー、分かっているだろう…冒険者向きの〈適正職業〉を授からなければ満足に武器を扱えないどころか経験値を貯めても新しい〈スキル〉が生えてこない。』
『最初はなんとかカバーできても、そのうち必ず確執が生まれてあなたの事を良く思わなくなってしまうと思うの…私はラッキーの事をそんな風に思いたくない。』
『ピア、オルガ、ハーモニーまで…そっか、そうだよな。俺も皆んなのお荷物になってまで冒険者になろうとは思わない…我儘を言ってすまなかった。』
『ラッキー、お前の分まで頑張って有名な冒険者になるから応援してくれよ!』
『あぁ、皆んなの活躍を楽しみにしているぜ!』
帰宅後、俺はそのまま皆んなに会おうとせず自宅に引き篭もっていた。三日後、ピア達三人は村を離れ冒険者ギルドのあるウィンの街に行く事になった。別れの挨拶でわざわざ俺の家にピア達が来てくれたのだが、俺は仮病を使って皆んなの顔を見ないまま別れてしまった。
翌日から俺は家業である実家の牧場の手伝いを始めた。〈適正職業〉が無いからといって何もせず生きていく事は出来ないからだ。
俺の親父、ドランはかつては冒険者の〈戦士〉として活躍していたらしいのだが俺が幼い頃に亡くなったお袋であるフルートの牧場で魔物から牛を守る依頼を受注。その時に魔物にやられて足を大怪我し冒険者を引退。その後、牛達を助けてもらったお袋が親父に惚れて猛アタックして二人は結婚。親父は牧場をお袋の両親から継ぎ、やがて俺が誕生したらしい。親父も〈牛飼い〉のスキルを持っている訳では無い為、最初は大変苦労したそうだが今では何とか仕事をこなしていると思う。
俺も親父みたく〈牛飼い〉をしながら歳をとっていくんだろうな…うちの牧場は牛を50頭飼育しており搾乳や肉にして生活している。慣れない仕事で失敗を繰り返し、親父に何度も怒鳴られ、ふらふらになりながらも一日の仕事から解放された時、何処からともなく不思議な声が聞こえてくる。
『ユニークスキル〈ポイントカード〉の〈テイマー〉のポイント獲得の条件を達成しました。牛50頭を飼育したポイント50ポイントを獲得しました。1000ポイントで目標達成となります。』
『なんだよ今の声…とりあえず今日は疲れたからもう眠ろう…』
翌日以降も仕事が終わると不思議な声が聞こえてきて昨日同様に毎日50ポイントが獲得したと通知があり。何もわからないまま20日が過ぎるといつもの通知に変化が起こった。
『おめでとうございます。〈テイマー〉のポイントカードの1000ポイント貯まりました。目標を達成した為、新たに
〈テイマー〉の〈適正職業〉が追加されました。また〈テイマー〉の特典として〈テイム〉のスキルが追加されました!』
この小説を読んで「続きが気になる」「面白い」と少しでも感じましたら、ブクマと↓の☆☆☆☆☆から評価頂けると嬉しいです。