ワイルドウルフの進化先
『ここが依頼主の屋敷かぁ、大きな庭もあって立派なところだね。』
『見てよ、ラッキー。 庭に魔物が放し飼いになっているよ。』
庭を覗くと見た事が無い色をした珍しいスライムがいたり、リザードマンが敷地の巡回をしている。
正門のベルを鳴らすと使用人が現れたので依頼書を見せると中に案内された。 応接室に入ると依頼主と思われる男性とホルンと同じワイルドウルフがいた。
『君達が依頼を受けてくれた冒険者さん達だね。 私はトラバス、庭の魔物を見て気づいたと思うが〈テイマー〉だ。 既に依頼目的は知っていると思うけど、私の隣りにいるワイルドウルフは、ある鉱石を使用すると実は進化する事が一部の〈テイマー〉に知られている話だ。 ここから馬車で三日程南東に向かった先にある鉱山で稀に見つかる〈炎狼石〉を使用する事でこの子を進化させるのが今回の目的だ。 君もワイルドウルフを連れているところを見ると、同じ目的ではないのかな?』
『初めまして、冒険者のラッキーといいます。 こちらは仲間のアルトと従魔のホルンです。 実はワイルドウルフが進化する事は、ここで話を聞くまで知りませんでした。 依頼書に魔物の進化と書かれていたので好奇心から依頼を受けようと思ったんです。』
『なんと、そうだったのか。 ある意味、君はついているのかも知れないな。 このワイルドウルフは〈炎狼石〉以外にも〈氷狼石〉〈影狼石〉を使う事で違った進化をする。 それだけではないぞ! 炎狼、氷狼、影狼が揃い三匹の絆が一つになった時に伝説の〈テイマー〉が使役していた魔物が誕生すると王都にある図書館に記されているんだ。 私も〈テイマー〉としてジョブを授かったからには伝説の魔物を使役するのが目標なのだよ、ラッキー君。』
『トラバスさん、俺もなんだか無性にワクワクしてきました! 是非とも俺達を同行させてください!』
こうして俺達はトラバスさんの馬車で目的の鉱石が眠る鉱山に向かう。 ちなみにトラバスさんは護衛のお供は自分の従魔達で、ワイルドウルフと庭の巡回をしていたリザードマンを御者を兼務させ同行させている。
『それにしても道中、全く魔物に遭遇しないで鉱山に着けるなんて順調ね。』
『それは違うぞ、アルトさん。 実は私のリザードマンは〈プレッシャー〉というスキルを持っていて弱い魔物を近づけさせない効果を持っているのだ!』
『という事はトラバスさんのリザードマンは相当強いという事なんですね。』
『鉱山に入れば〈プレッシャー〉があっても坑道が狭く、嫌でも魔物に会うだろうからその目で確かめてみてくれ。』
この鉱山は昔は鉄鉱石がよく取れたみたいで賑わっていたが、次第に採掘できる量が減少したのと魔物が段々住み着くようになり、現在は閉山している。
『それでは落石に備えてヘルメットと採掘用のツルハシを二人に渡しておく。 それでは〈炎狼石〉を求めて頑張っていくぞ!』
『オーーーッ!!』
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