下水のボス
『俺は〈斬撃〉、そしてホルンは〈威嚇〉か。 それぞれスキルの効果を見てみるか。』
〈斬撃〉
剣を振りかざした時に真空の刃を放って離れた敵に攻撃する事が出来る。
〈威嚇〉
正面にいる敵の集団を対象に精神的に弱気にさせて攻撃力を下げる。
今まで遠距離攻撃が出来なかったから空を飛ぶ敵や敵の魔法職への牽制が出来るのはありがたい! ホルンのデバフ効果も今後の戦闘で重宝しそうだ。
『良いスキルが手に入ったみたいだね。 私も頑張らないと。』
アルトが意気込んでいるとホルンの身体がビクッと震えて俺達に警戒の唸り声を上げる。
『アルト何か危険な敵がいるようだ! 戦闘に備えてくれ!』
俺達が戦闘体制で身構えていると、通路の奥から俺達の二倍はある大きさの巨大なキラーラットが現れた。 ちなみに通常のキラーラットは五〇センチにも満たない存在だ。
『アイツがキラーラットが増え出した原因に違いない! 皆んな、行くぞ!!』
俺は〈斬撃〉、ホルンは〈威嚇〉、アルトもウィルオーウィスプに呼びかけて電撃で攻撃を仕掛ける。
俺とアルトの攻撃はいずれもジャイアント・ラットの左前足に直撃。 激しい叫び声をあげているところを見ると深傷を与える事が出来たようだ。 激しくこちらを睨んだジャイアント・ラットが俺に向かって右前足でを爪で切り裂きにきたが動きも鈍くなっており、ぬかるむ足場でもなんとか回避できた。 ホルンのデバフも効いているようだ。 パワーでは圧倒的に相手に分がある為、ホルンにはジャイアント・ラットの周りで回避に専念してもらい注意を惹きつけてもらいつつ、俺とアルトの遠距離攻撃でダメージを刻んでいく。
『ギャーーーッ!!』
怒り狂ったジャイアント・ラットは再び俺に向かって巨大な身体で体当たりを仕掛けてくる。 ヤバイ! 回避できそうに無い!!
『ゴブリンスケルトン、キラーラットゾンビ達! ラッキーを守って!!』
アルトの魔力にゴブリンスケルトンと複数のキラーラットゾンビ達が俺の前で一つの塊になって俺への直撃を寸前でそらして根こそぎ倒されていくも、勢い余ったジャイアント・ラットは前のめりに倒れ込む。
『今だ!!』
俺とホルンは無防備になったジャイアント・ラットに渾身の力を込めて攻撃し、ついにジャイアント・ラットはそのまま動かなくなった。 ホッとしたのも束の間、アルトの様子を見ると倒れ込んで肩で息をしている。
『アルト! 大丈夫か!!』
俺とホルンが駆けつけると苦しそうにはしているが笑顔を見せる。
『大丈夫だよ。 ラッキーを守るのに必死で一度に複数の召喚をしたから魔力がギリギリになって疲れただけだよ。 でも助ける事が出来て良かった…』
『アルトに守られていなかったら正直やられていたよ。 助けてくれて本当にありがとう!! ねえ、アルト。 これからも俺とパーティを組んでくれないかな? 俺はアルトにならお互いに信頼してやっていけると思うんだ!』
『嬉しい…ラッキー、ありがとう。 これからもよろしくね。』
涙を流しながらもアルトは笑顔を見せてくれた。
『よーし、じゃあギルドに戻って依頼の報告をしたらパーティ結成のお祝いだ!!』
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