Bランク冒険者への昇格
『さてと、これから町に結果を報告しに行く事になるけど、ラッキーくんの支配下に使えそうな魔物の死体は見つかったかしら?』
『はい。 スキルや魔法の威力が強く、原型がわからないものばかりでしたが、トレント10体とオーガ3体は身体が大きく判別しやすかったのでアンデットとして、契約しました。』
『まぁ、確かにね。 このメンバーで戦った事を考えれば当然の結果よね。 とりあえず、見つかっただけでもよしとしましょうか。』
マリンバさんの転移で、どこかの町の入り口に移動すると、人々がたくさん集まってきて大歓声で俺達を迎えてくれる。 事前に獣人が多く住む町とは聞いていたが、以前に出会った事がある、冒険者ギルドの受付嬢と同じ猫の獣人達の他にも、犬や狐、リスや羊の他、背中に翼のあるバードマンなどの姿が見えた。 スタンピード収束で沸く人々に揉みくちゃにされていると、どこかで聞いた事がある声がする。
『あれっ? もしかしてラッキー君じゃないのかい?』
声がしたほうを確認すると、そこにいたのはウィンからベネシャまでの道中を共にしたハープさんとリネットさんが驚きの表情を浮かべてこちらを見ている。
『ハープさんとリネットさんじゃないですか! お久しぶりです!』
『あら、ラッキー君。 この島に来るのは初めてだと思ったけど、知り合いがいたのかしら?』
『はい。 以前に交流のあった方達で、旅をしながら音楽と踊りで活動されているんです。』
『そうだったのね。 せっかく会えたのだから、お二人に声をかけて冒険者ギルドへの報告が終わってから、お話ししてみたらどうかしら?』
ハープさんとリネットさんに、声をかけると喜んで応じてくれて、一緒に冒険者ギルドに同行してもらう事になった。 冒険者ギルドに辿り着くと、ギルドのロビーで2人には待機していてもらい、マリンバさんと一緒にギルドマスターの部屋に案内される。
『マリンバ様、この度は上級の冒険者パーティがこぞって不在な時に、危険な依頼を解決していただきありがとうございました。 マリンバ様の実力は存じておりましたが、まさかAランクとBランクの従魔を引き連れたCランクの少年が同行して活躍していたとは思ってもみなかったです。 つきましては、町を救った英雄のひとりであるラッキー君には、Bランク冒険者への昇格とマリンバ様と同様に多額の報酬を差し上げたいと思います。 本来であれば、Aランクにしてもいいような活躍なのですが、ギルドの規則に従いBランクまでしかあげられない事をご了承下さい。』
その後のギルドマスターへの細かな手続きや報告は全て、マリンバさんが対応してくれる事になり、俺はジュピターにトラバスさん達の元に戻ってもらうと、ハープさん達が待つロビーへと向かった。
『まさか孤高の魔女がスタンピード討伐を引き受けた噂は知っていたけど、ラッキー君が一緒に戦っていたなんて夢にも思ってなかったよ。 アルトさん達はどうしたんだい?』
俺はここまでの経緯について2人に説明する。
『そんな事があったんだね。 君達と別れてから、この島で活動を続けていて正解だったよ。 君の話を聞いていると、新たに素晴らしい歌を作成するヒントになりそうだ。 そのうち、各地で君をモデルにしたドラゴン達を従えるテイマーの英雄譚が語り継がれると思うよ。』
『流石にそれは照れ臭いので、出来れば勘弁して欲しいのですが…そうだ! 実はハープさんとリネットさんにお願いがありまして。』
『あら、私で力になれる事があれば言ってくれて大丈夫よ。 町の皆んなや私達を救ってくれた英雄の頼みですもの。』
『実は2人には秘密にしていた事があるのですが、内緒にしてくれますか?』
『もちろんよ。 私もハープも信用を売りにして旅芸人の仕事を続けているのだから、人に言えない秘密は絶対に外に漏らさないと約束するわ。』
『ありがとうございます。 周りの人達に聞かれるとマズイ内容なので場所を変えていいですか?』
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