マリンバからの提案
『貴様何者だ? 突然、主人達の家に現れるとは! 私が排除してやろうか?』
『ジュピター待ってくれ! 驚きはしたけど、以前にお世話になった大切な人なんだ。 攻撃しないでくれ。』
『マリンバさん、せっかく来てくれましたので良かったらお茶でもどうですか? ジュピターも、食後のデザートを出すからテーブルに座って。』
『ほう、デザートか。 主人にも命令されているし、大人しくするしかあるまい。 アルトよ、早く準備してくれ!』
アルトの機転もあり、ジュピターはそう言うと、足早にテーブル席に座る。
『ありがとう、ラッキー君。 流石に私でも、サンダードラゴンを1人で相手にするのは出来れば避けたいわ。 お言葉に甘えて、私も席につかせていただくかしら。』
ジュピターがデザートを食べて、機嫌が良くなったので、マリンバさんと会話の続きをする。
『えーと、確か新しい加護の話の途中だったですよね。』
『ええ。 その加護のおかげで、今まで人間が取得出来なかった雷魔法をラッキー君は覚えたでしょう? お礼をするから、私にも是非教えてくれないかしら?』
『それは全然構いませんよ。 実は、一緒に行動していた方が負傷してしまい、しばらく時間もありすので。』
『知っているわ。 あの優秀なテイマーの男性がいたからこそ、ラッキー君はここまで、成長出来たのでしょうから。』
『ところで、俺のスレイプニルが使える転移は、過去に行った事がある場所にしか移動出来ないのですが、マリンバさんはどうして、この場所にピンポイントで来れたのですか?』
『それはね、魔道具を通して見た場所でもイメージを強く働かせれば転移が可能になるのよ。 私からの報酬の話に移るけど、これなんてどうかしら?』
そう言うと、マリンバさんは透明な瓶に入った液体を3本用意する。
『マリンバさん?! これって、まさかエリクサーでは!』
『正解よ、アルトちゃん。 素材さえ集めれば、私はいくらでもエリクサーを作る事が出来るのよ。 手持ち分が3本あったので全て渡すけど、これがあれば、あのテイマーさんもすぐに元気になって、旅をすぐに再開出来るでしょう?』
『売れば白金貨数十枚はする貴重なアイテムをこんなに…』
価値を知っていたアルトは思わず絶句している。
『それとね、ラッキー君も雷魔法を覚えた事で、二属性の魔法が使えるようになったでしょう? せっかくだから、私のとっておきのスキルを対価として教えてあげるわ。』
『トラバスさんを治すアイテムだけじゃなく、スキルまで教えてくれるんですか?! ありがとうございます。 それって一体どのようなスキル何ですか?』
『私が戦闘で十八番にしている〈二重魔法〉と呼ばれるスキルで、異なる二つの属性の魔法を組み合わせて強力な魔法を発動させる事が出来る代物よ。』
『是非とも教えてください! ただ、エリクサーでトラバスさんがすぐに元気になれば、旅をすぐに再開出来るから、マリンバさんに教えてもらう暇が無くなりそうだな。』
『それなら大丈夫じゃないかしら? ラッキー君が私と〈二重魔法〉を特訓している期間に、トラバスさんという方には事情を説明して、自分が騎乗する為の魔物を見つけてテイムしていて貰っていれば良いのではないかしら。』
『それは良いかも知れませんね。 早速、エリクサーを持って相談してきます。』
俺はひとまずトラバスさんの屋敷に向かう事にした。
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