下水の探索
目的地の下水の前に着くと、午前中に行ったゴミ捨て場に負けず劣らずの強烈な悪臭が漂ってきた。 嗅覚が人間より優れているホルンにとって、今日は厄日だろうなゴメンよ…備え付けのハシゴを降りて地下に行くと辺りは真っ暗だ。 俺はギルドから借りたランタンに火をつけるとアルトも横で何かを唱えはじめる。
『我が魔力に反応し力を貸してください。 ウィルオーウィスプ!』
すると俺達の周りにバチッバチッと触れると感電しそうな光の塊が現れる。
『アルトさん、これも死霊なの?』
『アルトでいいよ。 そのかわり、私もラッキーと呼ぶね。 ウィルオーウィスプは死者の魂と言われているの。 ランタンの灯りだけだと万が一、魔物との戦いなどで火が消えてしまったら私とラッキーは真っ暗なところで魔物に襲われてしまうでしょう? それにこの子は灯りとしてだけではなく、相手に感電させる攻撃も出来るのよ。』
『なるほど、凄いな。 じゃあ早速、探索を始めよう』
下水を進むにあたり隊列順は〈気配察知〉が使えるホルンを先頭、物理攻撃に弱いアルトが真ん中、後ろからの襲撃に備えて俺が殿とアルトを守る形で探索する事にした。
『アルト、他にはどんな死霊を呼び出せるの?』
初めて見る力に俺はワクワクが止まらない。
『あなた…普通は怖がるものだと思っていたけど変わってるんだね。 まだ大した経験を積んでいないからサイズの小さいゴブリンスケルトンやこれから討伐するキラーラットを倒した後にゾンビとして戦わせるくらいしか出来ないの。 今のところはウィルオーウィスプが私の切り札よ。』
『そうなんだ。 実は俺、魔物と戦う前に言うけど、周りに秘密にしてるんだけど〈戦士〉のスキルが使えるんだ。』
『えっ? それってダブルジョブ持ちって事! 何で秘密にって…そうだよね。 権力者とかに目をつけられたら大変か。 私も一度、珍しい力だからと目をつけられたけど気味悪がられて追い出されたんだけれどね。』
『そう、だからアルトの事を信用して話をしたから内緒にしてくれよ。』
『…わかった。 じゃあ私からも約束。 私がゾンビなどを召喚して戦ってもラッキーが気味悪がったりしないようなら絶対に秘密を守ると約束する。』
『わかった、じゃあ約束だ。』
しばらく探索をしているとホルンが警戒する。
『正面からだけみたいだな。 アルト、ランタンを渡すから後ろに下がって。 俺とホルンで迎え討つ!』
現れたキラーラットは十匹以上いたが俺の〈連続斬り〉とホルンによって一瞬で勝利。 その後も同様にキラーラットが現れるたびに俺達が倒してアルトが魔石を回収していると俺とホルンの身体が突然、光り出す。
『魔物をいっぱい討伐した事で何かのスキルを覚えたみたいね。 冒険者カードを見てみるといいよ。』
『どれどれ。』
〈隠蔽〉を一度、解除すると冒険者カードに俺とホルンに新しいスキルが書かれていた。
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