俺だけまさかの無職判定!
不定期投稿になりますが良ければ読んでください。
俺の名はラッキー。冒険者を目指している。今日は待ちに待った10才になった者が教会で神からのギフトとして『適正職業』と『スキル』を授かる大事な日だ。
『適正職業』が無いと例えばだが〈戦士〉や〈騎士〕といった職業でなければ剣や槍などの武器を扱う力が授からず、一般職である〈農家〉や〈商人〉などでも、仕事の効率が悪くなるため才能無しだと扱われて職業に就く事も難しいと言われている。
俺と同じメロディ村に住んでいる友人であるピア、オルガ、ハーモニーの三人と幼い頃から神託を授かったらパーティを組んで冒険者になる事だけを夢見ていた。
冒険者というのはダンジョンで宝をゲットしたり、魔物を退治して稼ぐ職業で、村暮らしの俺達にとって家業である農家や猟師を継ぐのを避け、華やかな暮らしをする為に冒険者を目指していた訳だ。
『なぁ、ラッキー。お前は絶対〈戦士〉の適性を授かるんじゃないかな。俺達の中で一番体格に恵まれているからな。』
神託を授かるため、四人で教会を目指して歩いている時にメンバーの中で一番背丈が低いピアが話かけてくる。
『そう言うピアは素早くて手先が器用だから〈斥候〉かもしれないぜ。オルガは身体が丈夫だから〈タンク〉、ハーモニーは希望していた魔法職を授かればバランスの良いパーティになりそうだよな。』
俺達はそんな話をしながら村唯一の教会に着くと、既に神託を授かった同い年であるモブとエアの二人組が教会から出て来て話をしているのが聞こえてくる。
『ちくしょー! 俺は絶対〈騎士〉を授かってこんな田舎暮らしをおさらばしようと思っていたのに、親父と同じ〈農民〉かよ…』
『お前はまだ良いよな…俺なんて〈漁師〉だぜ。こんな山の中にある村だと働けないから一人で海沿いの街まで出稼ぎしなくちゃいけないんだぜ…』
トボトボとすれ違うモブ達を見てメンバー中で紅一点のハーモニーが緊張した顔でボソボソと『どうか冒険者になれますように。』と祈り始める。
やべー、俺まで緊張してくるじゃないか…うぅっ。
教会に入ると他には神託を受ける人は見当たらず。ピア、オルガ、ハーモニー、俺の順番に神託を受ける事になった。
『じゃあ行ってくるぜ!』
俺やハーモニーとは反して自信に満ちた表情でピアが神父様の元に行く。
『汝、ピアに授けられた『適性職業』は〈斥候〉、『スキル』は〈索敵〉です。』
『やったぜー! 神父様ありがとうございます。オルガ、次はお前の番だぜ!』
『神父様、よろしくお願いします。』
物静かなオルガが続いて神父様の元へ行く。
『汝、オルガに授けられた『適正職業』は〈戦士〉、『スキル』は〈パリィ〉です。』
『神父様、ありがとうございます。』
笑顔で戻ってくるオルガに続いてハーモニーも神父様の元に向かうと神父様の前で頭を下げるとブツブツと祈り始める。
『汝、ハーモニーに授けられた『適正職業』は〈魔法使い〉、『スキル』は〈火魔法〉と〈風魔法〉です。』
『うおーーーっ!すげーぜ、ハーモニー!!』
俺達は興奮して思わず叫ぶと『すっごく嬉しい…』とハーモニーは涙ぐむ。
『私も二属性持ちの〈魔法使い〉が現れるのは十年ぶりに見ました。神様に感謝するのです。』
神父様の言葉に何度も感謝するハーモニー。一般的にピアやオルガのような〈斥候〉や〈戦士〉などの〈スキル〉は魔物を倒し、経験値を積む事で職業に合った新しい〈スキル〉を身につけていくが、〈魔法使い〉が覚える六大属性である火、水、風、土、光、闇の属性魔法は経験値を積んでも最初に授かった属性魔法しか覚える事が出来ないと言われている。二属性以上の使い手は滅多に現れないと言われている。
いよいよ次は俺の番か…誰かと被ってもいいから冒険者になる為の何かしらの職業が授かりますように…
『神父様、よろしくお願いします。』
神父様は俺の神託を確認すると『そんな馬鹿な…』と小さく呟き、俺にだけ二回目の神託の儀を行う。
緊張しながら結果を待つ俺に神父様は俺の目をはっきりと見ながら静かに神託の結果を伝えてくる。
『汝、ラッキーの〈適正職業〉はありません。授かったのはポイントカードという〈スキル〉だけです!』
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