第六話 双子姉妹と滅び行く王国
女の子達に癒やしてもらい今までの疲れが嘘の様に取れ、翌朝右側にはユフィ左側にはリビアが寝ており二人共裸で昨日抱いていたようだ。
「おはようマーカスおじさま♡」
「マーカス凄いね、メイドさん達とも愛を育んでぼく達の相手して凄い逞しいよ♡」
「そ、そうか? そろそろ、あの国の連中が来るかもしれないし旅に出るか。」
「マーカスおじさま、わたくしは立場上共に行くのは難しいです……」
「そんな悲しそうな顔しないでくれ、また会いに来るから。」
「はい♡」
「その前に朝ご飯くらいはご馳走になろうよ。」
「ああ、良い匂いがするしな。」
リビングへ向かうと料理店で働いていた時に嗅いだ肉の匂いが漂っていた。
「マーカス様、娘から話は伺っております。 貴方様なら娘を任せられます。 さ、ステーキを用意させていただきました。 どうぞ、お召し上がりください。」
「ステーキなんて初めて食べるな、あむ。」
俺は奴隷兵時代の名残でステーキを手掴みで食べると柔らかく衝撃を受ける。
「う、美味い! これが肉なのか!?」
「お肉は初めてなのですか?」
「普段何食べてたの?」
「奴隷兵時代は硬いパンと水しか食えてなかったな、後は奴隷制度が廃止されてからは休む暇すら無いくらいにあちこちで働かされてまともに暮らせる場所も食事すら出来ない日が続いていたからな。」
「なにそれ酷い……」
「もう戻る気は無いさ、今となっちゃあんな国滅んでしまえばいいと思えるくらいの仕打ちを受けて来たわけだしな。」
食事を終えた俺達は馬車を用意してもらい、リビアが馬を走らせユウフック王国の外へと出ると紅い髪で翠色の眼をした控えめな胸で剣を背中に携えた女性と翠色の髪で紅い眼をした控えめな胸で杖を持った女性が馬車を止める。
「ねえ、私達も乗せてくれないかな?」
「マーカス様、乗ってるよね?」
「君達は?」
「私はシュゼッテ、こっちの翠色の髪がリステルよ。」
「マーカス様と一緒に旅がしたいなって思って。」
「そう言うことなら、後ろに乗って良いよ。」
「「やった!」」
馬車へとシュゼッテとリステルが乗り込むと鼻息を荒くし俺の方へと近付いて来る。
「え、何? 君達誰?」
「やっぱり覚えてないかぁ。」
「マーカス様に助けられてるから恩返ししに来たんだけどなぁ。」
「恩返し?」
(全然覚えてない、こんな可愛い双子と出会ったことあったか?)
「私達マーカス様になら、どんな命令されても聴くよ♡」
「そうそう、嫌じゃなければキス……して良い?」
「別に嫌じゃないが、俺40代近いおっさんだぞ? 若い君達とじゃ年の差が……」
「もう、マーカス様ったら真面目なんだから♡」
「関係無いよ♡ 女の子は皆マーカス様みたいに頑張ってる男の人に尽くしたいと思ってるものなの♡」
双子姉妹に左右から耳元で囁かれ、頬にキスをされると両腕には柔らかな感触で挾まれ俺の胸元から二人の手が下半身へとなぞるように移動する。
「マーカス様、もうこんなにして♡」
「私達で沈めてあげる♡」
「あ、いや、リビア? 流石に馬車を任せてる間にこう言うことするのは。」
「いいよ、ぼくは馬車引いてるから二人共マーカスを癒やしてあげてね♪」
「許可出たね♡」
「マーカス様、私もう我慢出来ない♡」
双子姉妹はどうどうと服を脱ぎ裸になると甘い声を出し、俺は成すがままに二人の愛を受け入れる。
一方で精霊界では小精霊が大精霊へとマーカスにイレーネが麻痺の魔法を使い息の根を止めようとしていたことを報告していた。
「なんと浅ましい人間か! 我々精霊の力を使い恩人であるマーカス様にそのような仕打ちをするとは許せぬ!!」
「それだけではありません! ホロビーユック王国の奴らマーカスが死ぬことを皆で喜び宴までしてました!!」
「それは誠か!?」
「間違いありません!!」
「ゆ、許せぬ! 誰のおかげで魔法が使えるのか理解しておらぬ馬鹿には分からせる必要があるな!!」
「では、ホロビーユック王国から精霊達を呼び戻しマーカス様へ全ての魔力を注ぎましょうか。」
「うむ、そうしてくれ。 またマーカス様への不敬を働きかねんからな。」
その頃、ホロビーユック王国では教会の神父は街灯から魔力が消え去ったことを疑問に感じるが夜には元に戻るだろうとたかをくくる。
「魔力を感じなくなったが、一時的な故障だろう。」
「神父様大変です!!」
「どうかしたか?」
「何時もは水魔法で野菜に水をかけていたのですが、魔法が使えなくなってます!!」
「はあ? 魔法薬を飲めば良いだろ、そんな簡単なことも分からなくなったか?」
「飲みましたよ! それでも魔力が回復しないんですってば!!」
「一時的なものだろう、井戸から水を汲んでかけておきなさい。」
「あの井戸ですか……?」
「何だ? 何か不服か?」
「実は、あの井戸水は前々から虫が湧き汚い状態でして……」
「汚くとも水は水だろう、そんなことでいちいち報告するでない!!」
「わ、分かりました……」
一方、城内にはガメスがイレーネと共に帰って来ており城の兵士は笑いを堪えている。
「チッ、どいつもこいつも。」
「ガメスよ、よく戻って来た。 して、イレーネの頭はどうした?」
「フェンリルに魔法返されてこうなりました。」
「そいつは災難じゃったな、しかしあれほどの力を持ったガメスが何故フェンリル程度のモンスターに敗れたのか謎じゃな。」
「そいつはおそらく、マーカスの野郎が死に際に呪いか何かかけたんだろうぜ。」
「あ、あり得るわ! だってあいつの最後の顔見た? 私達を目の敵にしてるかの様な恨めしい顔付きだったもの!!」
「うむ、一度教会で呪いを解いてもらう他ないな。」
「くそっ、くたばった後でも迷惑かけやがって!」
マーカスは全く関係無いのだが、そこへ兵士が慌てて報告しに来る。
「た、大変です国王陛下! も、モンスターパニックが始まりました!!」
「何じゃ、何時ものことか。 モンスターが入って来れぬように街灯の効果が発揮されておるのじゃ、何を慌てる必要がある?」
「そ、それが……」
街灯の効果が無くなったせいでホロビーユック王国内にはモンスターの群れが溢れ食べ物は荒らされ家屋は壊され散々な現状を目の当たりにした国王は全兵力を使いモンスター退治を命ずる。
「ええい、何をしとる!! さっさとモンスターを討ち取らんか!!」
モンスターにはヘルハウンドやアルミラージ、ブラッドハウンドにスカイハンターと呼ばれる鳥のモンスターがちらほらと見え応戦する兵士達は手抜きとも呼べる武器や防具に兜を身に着け戦うも翻弄されホロビーユック王国は住民だけを残し廃墟と化してしまった。
「な、何をやっとるのだ貴様ら!! 何故魔法を使わぬ!? 少しの犠牲くらい気に止める必要もなかろう!!」
「そ、それが……」
「魔法が使えなくなっとるじゃと!?」
「イレーネもか!?」
「私も魔法が一切使えなくなってるわ!?」
「おかしい、こんな現状になるのは何かしらの力が働いてる可能性が高い……はっ!?」
「どうしたのガメス様?」
「イレーネ! オレ達はマーカスが食われたとこ見たか!?」
「見てないわ、まさか!?」
「調べるぞ、オレの感が正しければマーカスの仕業だ!」
「確かにあいつなら可能かも!!」
ガメスとイレーネは洞窟のダンジョンへと赴き確信する。
「やっぱりか、死体どころか血の跡すらねえ。」
「あいつ生きてるわね、こんな仕打ちしといて絶対許さないわ!!」