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第四話 最低な鍛冶屋と最悪な冒険者ギルド

 鍛冶屋にて兵士がひびが入り今にも折れそうな剣や穴の空いた鎧、凹んだ兜などを持ち込み修復の依頼をしていた。


「何時もの様に頼む。」


「任せい、このくらいなら問題なく直せるわい。」


「心強いな、では頼んだぞ。」


 兵士から鍛冶屋の主は預かった物を隅に置き、ドカッと椅子に座りタバコを吹かす。


「ふー、さて貧乏人が来るまで一眠りするか。 この前は修復に必要だからと勝手に鉄を使うなど意味のうつらんことをされたからな元の状態に戻せるなら鉄なぞ必要無いじゃろて。」


 ぐうぐうと鼻息を立て寝て起きると外はすっかり暗くなっていることに鍛冶屋の主は気付き、何時もなら修復の終わっている剣や鎧がそのままになっていることに驚き急いで修復作業へと取り掛かる。


「あの貧乏人が! サボりおったな!? これだから貧民街の奴は信用ならんのだ!! どう考えても間に合わん、なるべく速く終わらさなければ!!」


 とくに酷いひびの入った剣を手に取ると簡単に折れ短くなってしまうが、その長さのまま溶鉱炉へと入れハンマーで叩き水で冷やすのを繰り返し持ち込まれた時とは長さが半分になった剣を鞘へとしまう。


「ま、ばれんだろ。」


 更に穴の空いた鎧には裏側から平べったい鉄を接着剤でくっつけ時短して修復する。


「兜の凹みは、まあ石でも詰めて塞げば良いか。」


 マーカスが居た時は新品同様の出来で直されていた剣や鎧兜は見るも無惨な修復で全て悲惨なことになり朝を迎えると兵士が取りに来る。


「修復作業ならとうに終わっとるぞ。」


「流石仕事が早い……こんなだったか?」


 兵士は昨日に預けた状態とは何かが違うのを見て不信感を抱くも荷馬車へと詰めて城へと戻る。


「さて、速くこの場から離れんとな。」


 鍛冶屋の主はバレた事を想定し店をもぬけの殻にすると何処かへと去って行った。


 一方城では剣や鎧兜を身に着けた兵士達が一斉に違和感に気付く。


「なあ、こんなに剣短かったか?」


「それに頭重くねえか?」


「鎧もこれ鉄板貼り付けただけじゃないか?」


「流石に予算不足だったか? 安くて毎回新品同様にしてくれてたから頼んだが……」


「まあ何かの間違いだろ、今まで安く依頼してた分見た目はアレだが性能は変わらない筈だ。」


「だな。」


 兵士達は欠陥品を渡されたと思わず、やがて来るモンスターの群れに成す術無くやられる未来が来るとは誰も予想だにしていなかった。


 一方、冒険者ギルドでは備品の整理をする者が居なくなったせいか何処に何が置かれているか把握しておらず適当な物をそこら辺に放置し散らかっていた。


「おい依頼の整理はまだか!」


「探してますけど見つからないんですよ!」


「なあ速くしてくんねえかな? 依頼のモンスター討伐して来たってのに報酬が見当たらないとか抜かすなよ?」


「分かってるから、そう急かすな。」


「速くせんか! いったい何時まで待たす気だよ!!」


 冒険者ギルドには長蛇の列が出来、依頼を終えて戻って来た冒険者達が押し寄せており全てマーカスに任せて楽をしていた分、大変なことになっていた。


「はあ……マーカスが居た時の方が断然仕事が速くて良かったわね。」


「そうよね、居ないんじゃ此処の冒険者ギルドで依頼受ける意味なんて無いわよね。」


「行こっか、流石にユウフック王国の冒険者ギルドはこんな馬鹿げた仕事しないし、もしかしたらマーカスに会えるかもしれないしね。」


 二人の女性冒険者がギルドの対応に呆れ列から離れるとユウフック王国行きの馬車へと乗り込み着くまで互いに寄り添いながら眠りにつく。


「ねえ、リステル。」


「なに、シュゼッテ?」


「マーカスに会ったらさ、疲れてるだろうから癒やしてあげたいよね?」


「うん、何してあげよっか?」


「うーん、一緒にご飯食べたりお風呂入ったりしてその後は……だ、駄目よマーカスったら幾らあたし達双子だからって♡」


「シュゼッテ?」


「あーん♡ 想像しただけで胸がキュンキュンしてきた♡ そうよマーカスにはあたし達が必要なのよ♡ 双子姉妹のあたし達で挟んで気持ち良くなってそれから先は♡」


「ちょっと鼻血!? 鼻血出てるよ!?」


「大丈夫よリステル、あたしマーカスが沢山の女の子に囲まれてても愛する自信あるから♡」


「そんなこと聴いてないよ! 鼻血大丈夫なの!?」


「大丈夫よ、それに思ったんだけどマーカスなんて呼び捨てなんておこがましいと思わない?」


「それはあたしも前から思ってたけど……」


「じゃあ、これからはマーカス様と呼びましょう♡」


「賛成、マーカス様かぁ♡」


「ねえ今からでもキスの練習しとく?」


「うん、こうかな?」


 リステルとシュゼッテは二人して互いの舌を入れ合いにちゅにちゅと唾液の音を鳴らしマーカスを想像しながら瞼が重くなると口づけしたまま睡眠をとる。


 その頃、マーカスは眼を覚ますと寝ぼけていたのか寝返りをする際に手を伸ばした先には柔らかく弾力のある何かを触り何なのかを確かめるかの様に指を動かす。


(ん、何だか柔らかいな……それに形が元の形に戻る様に反発してる?)


「ん♡ にゃあ……♡」


 リビアの色っぽい声が聴こえ、今触っている物の正体が分かると慌てて手を離し起き上がる。


「わ、悪いリビア! わざとじゃないんだ信じてくれ!!」


「わざとでも良いよ♡ マーカスの手気持ち良かったし♡」


「リビア?」


 リビアは俺の手を掴むとそっと胸に当て触っても良いとアピールしてくる。


 心臓の鼓動が早くなるのを感じ、俺は気付くとリビアを押し倒し唇を奪っていた。


「ん♡」


「此処までされて、その先をしない男なんて居ないぞ?」


「良いよマーカスなら何をされても許せるから♡」


 朝を迎えた俺達は森の中で愛を育んだ。

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