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第二話 多忙な毎日

 マーカスが裏切られる前に遡る、彼は多忙な毎日を過ごしていた。


 一流の料理店と名高いレストランにて厨房からガシャンと皿の割れる音が鳴る。


「うわ、やべ割っちまった。」


(またか、わざとじゃないのか?)


 俺は近くで皿を割った従業員に不信感を抱きながら食器を洗っていると案の定料理長がやってくる。


「おい今の音は何だ、てまた皿が割れてるじゃねえか!」


「料理長皿を割ったのは俺じゃ……」


「はあ!? 料理長こいつ貧民のくせにオレに罪着せる気ですよ!!」


「違っ!? うっ!!」


「うっせえよ、口答えすんなカス!! 割った皿の分給料から引いとくからな?」


 何度も事実を言おうとしたが何時も決めつけで犯人にされては殴られて、洗い残しのある従業員の尻拭いで二度手間の皿洗いをさせられて買い出しもろくにしない方が優遇される。


「料理長、今日の分の給料は?」


「あ? 何言ってんだ、ある訳ねえだろ皿割ったんだからよ!! また殴られてえのか?」


「いえ……」


 仕事を終え次の現場へ向かう、ケチール男爵の屋敷に上がり全ての部屋の掃除や洗濯などの家事全般をやりこなす。


「おい! こんなところにバケツなんて置くなよ、蹴飛ばしたじゃないか!!」


「さっき掃除したところを!?」


「全くこんな隅っこに置いたら見えねえだろ馬鹿か?」


 ケチール男爵の息子ハラワン・ケチール、毎回俺の邪魔をして遊んでいるとしか思えないくらい八つ当たりしてくる。


「またやったのか、私の可愛い息子が怪我でもしたらどう責任取るつもりだ貧乏人風情が!!」


 ケチール男爵からバシバシと棒で叩かれ痣が出来る。


「ふん、そこ拭き終わったら帰るがいい。 今回は小銅貨五枚分はやろう。」


 小銅貨五枚は掃除で濁った汚いバケツの中へと投下され、俺は中から広い上げると仕方なく雑巾で水気を拭き取り懐へ入れると汚れた床を綺麗に掃除する。


「はぁ、次は教会か……」


 教会に辿り着くと不機嫌そうな神父が待っており叱責される。


「何処で油を売っておった! 聖なる力を持った街灯のメンテナンスを頼もうと思ったらもう昼ではないか!! さっさと全ての街灯を調整してつ来ぬか馬鹿たれめが!!」


「はい……」

(他にも教会で働く者が居るのに何でさせないんだ?)


 街灯の調整を終える頃には辺りはすっかり暗くなっており次は冒険者ギルドでの雑用で、水晶玉の手入れや小道具など消耗品のリストを記載していくが無くなっている者もあり俺が真っ先に疑われた。


「なにい? リストと在庫が合わないだあ? てめえうちのギルドから盗み働いたな?」


「そんなことしませんよ!!」


「嘘吐くんじゃねえ!!」


「あがっ!?」


 顔面を蹴り上げられ、鼻から血が出るもギルドマスターの怒りは収まらず何度も殴られて気を失いそうになる。


「ったくよ、今回はこのくらいにしておくが次やたら承知しねえぞ!」


 冒険者ギルドから仕事を終え、外にはイレーネが待っていた。


「あ、マーカス仕事終わり?」


「ま、まあ……」


「じゃあさ、これからデートしない?」


「デート……」


「良いじゃない少しくらいカップルなんだしさ♡」


 イレーネに連れて行かれたのは高級な店で豪華な料理が次々と運ばれて来るが俺は食べず、イレーネだけは満足そうに食べ終え幸せな時間を過ごすもいざ帰りになるとイレーネは毎回自分だけ先に帰ってしまう。


「ご馳走様♡」


「あのさ、イレーネたまには……」


「えー、マーカス貴方まさか女の子に払わせる気?」


「そ、そうだよなごめん……」


「じゃあまたね♡」


 俺は仕方なく店側にツケてもらい、増えていく借金に困惑しながらも一日を終えようとした帰り道、ガメスとイレーネの二人に誘われ、こんな夜遅くに高報酬の依頼があると話され信じてしまったばかりに裏切られ殺されかけた。


「何時もなら先頭行くのに今日は珍しいな二人とも。」


「この辺でいいか。」


「うっ……!?」


 洞窟ダンジョンの奥深い場所で突然全身が痺れ、その場で倒れる。


「な……なに……を……? イレー……ネ……?」


「あんた本当に馬鹿ね、でも楽しかったわよ“恋人ごっこ”。」


「恋人……ごっこ……? なに……言って……」


「まだ分かんねーのかよ、こう言うことさ。」


 ガメスとイレーネは互いにキスをし動けない俺に見せつける。


「は……あ……?」


「だからー、あんたみたいなおっさんが私みたいな若い女の子と付き合える訳ないでしょ? それに大金貰えるのは間違ってないわよ、だって冒険者ギルドであんたにかけた保険金のことだし。 それに借金は心配しなくても代わりに払っておくわね。」


「じゃあな、おっさん。」


 この時、裏切られたと心の底から他人を恨み化けて出てやると考えヘルハウンドの群れに喰われると思い死を受け入れていたが獣人族の女の子に助けられた。


 ホロビーユック王国の人間は誰も貧民街の人間を誰も助けなかった、奴隷兵士時代ですら頑張ったところで報われなかった。


 鍛冶屋で働いていた時だって必要な鉄を使っただけで減給させられて、食べ物を買う金が無く地面に生えている雑草を食べるだけで道を歩く一般人にすら侮蔑の眼を送られる。


 こんな国、滅んでしまえば良いと心底思いながら眼を覚ますとリビアに膝枕をしてもらっており頭を優しく撫でられていた。


「あ、起きた? 本当に疲れが溜まってたみたいだね、まだ寝てて良いよ此処は安全だから♪」


「そうさせてもらうよ、正直心身共に疲れきってる。」


「うん、おやすみ。」


 俺は再び眼を瞑り重い身体を休ませるべくリビアに甘えて眠りにつく。


「マーカス、可愛い寝顔♪ 起きたら隣国のユウフック王国に行こうかな?」


 リビアはマーカスにもふもふとした体毛を当てながら撫でる。

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