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9.永遠にとけない恋の魔法


――――受験は、いよいよあしたが本番。

        そして・・受験が終わったら、

                天子は、聖夜に返事をしなければならない。




「うはーーっ キンチョーする!」

帰り道。門のところでさけぶのは、花音。

「だよなー。もう、あしたなのか・・」

棗もうなずく。

「ん? そーいえば天子は?」

聖夜が、天子がいないことに気づいた。

「あー なんかわすれものだとさ。

 門で待っといてって」

棗が言う。

「そーゆーことは、早く言ってよね!!」

花音は、門を指さして言った。

「もう、門通りすぎちゃったでしょッ(`´)」

「ごめんごめん」


3人は、門まで戻った。












「―――あった!」

天子は、机の中から、数学のノートを取りだした。

「はやく戻らなきゃ・・」


ガラッ


天子は、ノートを持って教室を出た。


「天子・・・!」


「・・・雅・・!!」


そこで、2人は、バッタリと会った。

雅は、すぐにそこを立ち去ろうとした。


「あっ・・雅っ 待って!!」


が、天子がよび止めた。


「今までウソをついててごめん・・

 でも、雅を苦しめたくて言ったんじゃないの・・・。

 雅に悪いって・・流衣くんに悪いって・・

 思っていても、やっぱり聖夜が好きで・・・

 とめられなかった・・」


(そんなの・・・知ってたよ!!

 2人は両想いだって・・

 私だけはずっと前から知ってたよ・・!!)


雅は くちびるをかみしめた。


(そう・・

  私だってちょっとひどかったんだよ・・・)


うつむく雅に、天子は続ける。


「本当にごめん・・・ 

 こんなことでゆるしてもらえるなんて思ってないけど・・

 あたし・・聖夜とはつきあったりとか、そんなことしないから・・・」


「・・・・・・・ゆるすわけ・・ないじゃない・・・」


「・・・本当にごめんなさい・・!!」


「なんで!? ゆるしてもらえると思ってないんでしょ?

 だったら・・・なんでそんなムダなことしようとするのよ!!」


「えっ・・」


「なんで・・両想いなのに・・・

 好き合ってるのに・・・ そんなこと言うの?

 天子のせいで、私はキズついたよ。

 でも・・

 そんなの、今度は水月くんをキズつけるだけじゃない!!」


天子は、雅の言葉にハッとした。


「だから・・つきあわないなんて言わないで・・

 もう、人をキズつけないで・・・」


「雅・・・」


「約束! 天子は水月くんとつきあって、幸せになるんだよ?」


「うんっ・・ ごめんね・・」


天子から、涙が出てきた。

天子に、そんな優しい言葉をかける雅の目にも、

うっすらと、涙がうかんでいた・・。


「じゃあね!」


雅は、走って行ってしまった。


(これで・・いいんだよね・・!)


雅は、泣いていたが、満足した顔だった。






「――――てーんこーーっっ」

天子は、涙をふいて声の方をふりむいた。

その声は、花音。

「みんな・・」

「おっせーよ! 帰ろーぜ!」

棗が、笑顔で言う。

「・・うんっ!」

天子は、3人の方へけよった。

「心配したぜ」

そう、聖夜は天子に笑って言った。

「ごめんね。ありがとっ!」


そんな2人を見て、花音と棗は顔を見あわせた。







―――――――――――――とうとう、受験が終わった。




「おわった・・」


天子は 制服も着替きがえずに、

ベッドに寝ころび 天井を見つめていた。


(・・って! ことは、返事・・!!///)



コンコン ”



「 ん? 」


天子は、窓の外から聞こえた音に、起き上った。

「せ、聖夜!!」

天子はいそいで窓をあけた。

「よぉ・・」

「よ・・よぉ・・」



し――――ん・・



「・・あのさ、受験終わったら返事聞かせてくれるって言ったよな?」


(きたっ!!///)


「は・はいっ!」

「それとさ、そろそろ気づいてくれてもいーんじゃねぇの?」


「 え? 」


そう言って、聖夜は天子の方に、手をさし出した。


「これ・・っ!」


そこで 天子の目にとびこんできたのは―――――――――――――


「なん・・で・・」


8年前、両親のおつやの日、泣いていた天子をなぐさめてくれた

男のコにあげたはずの・・・もう片方のリボン。

そして、それがのった聖夜の左手の黒いリング・・・・・


(・・もしかして・・・あの時の言葉・・!)


  


  “プレゼントあげるから泣くなよ”

 

                “プレゼントやるから泣くなよ”




―――どうして今まで気づかなかったんだろう・・



「・・あたしをなぐさめてくれた男のコは

              聖夜だったの・・・?」


「気づくのおせぇんだよ バーカ」


聖夜は天子に、優しく笑いかけた。
















    あたしの永遠の王子様は 聖夜だったんだ―――――――――――――――
















ポロッ・・







天子の目から、涙がこぼれた。






「なーに泣いてんだよっ」


聖夜はそう言って、ニカッと笑う。


「もうっ いつもいつもそーやって・・」


天子はムッとする。 

・・・が、少しずつ 笑顔がみ上げてきた。





「 聖夜大好き!! 」





2人は長い長いキスをした。






   永遠にとけない 恋の魔法にかかったように・・・――――――――








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