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7.はぐらかしたらゆるさねぇ


「「告白された!?」」

お昼休みの保健室に、花音と棗の声がひびく。

「・・・・・・うん・・・」

天子は、顔を赤くしてうなずく。

「だれに!?」

花音が、目をかがやかせ 天子を見る。

「・・・・・・・・流衣くんと・・・聖夜・・///」

2月だから 寒くてしょうがない、ということで、

暖房のきいた保健室であたたまろうと来た 天子・花音・棗の3人だったが、

それどころではなくなった。

( でも!! さすがに 聖夜にキスされたことは2人にも言えないッッ!/// )

「キャ~♡ ついに天子と聖夜は一歩大人のカンケーになるのね!」

花音はもう、目がキラキラ♢♦

「え? 天子には選択権せんたくけんナシ? てか流衣は(゜o゜?」 

棗が笑って言う。

「え~~っ!? 天子は聖夜にしたんだよね??」

花音は、かってに聖夜と決める。。

「え゛ッッ!!? いや あの・・」


「えーー! 天子はオレだろ!!」











「「・・・・は?」」














「・・・・え(^.^?」







バシバシバシバシッ    ・・・・・バシィッ!!










天子と花音は、近くにあったまくら毛布もうふ

包帯ほうたいから救急箱、タオルと、あらゆる物で棗をたたいた。



「・・ゴメンナサイ・・・・・」


2人にたたかれまくった棗は、ゆかでのびている。





「で、天子は聖夜なんだよねー?」

そしてまた、花音はキラキラの目に戻る。

「ちょっ・・」

「だよなー。てか もうふだんからラブラブだし・・けど、流衣はどーすんの」

棗は、おどろくスピードで生き返っていた。。

「ちょっと・・」

「あー・・そだねー・・・でもやっぱ天子は聖夜だよ!」


「ねぇってば!!」


ビクッ


「な、どしたの天子 イキナリ大きな声出して」

花音も棗も、おどろいている。

「・・あたしまだ聖夜には返事してないの!!」







「「えぇ~~~~~~~!!?」」







花音と棗は、目を丸くした。。

「告られたのが学園祭なんでしょ? ってコトは・・11月じゃん!

 今2月なのに ずっと返事なしで

 フツーに学校来て話してるなんて 聖夜かわいそー」


がんっ!


天子のココロに、『かわいそー』の岩が落ちてきた。。


「だよなー!

 受験なのに気になって勉強どころじゃねぇよなー」


どごっ!!


今度は、『勉強どころじゃない』の岩。。。


「「高校おちたりして!!」」

花音と棗はそろって言った。

「うそ~~~~~~っ!!☠」

天子は、2人のトドメの言葉に頭をかかえた。

「どーしよーーっ(;_;)」

「ジョーダン ジョーダン♫

 てか、まずは返事だよ! ・・そーだッ☆

 もーすぐ・・ってか明日だし、バレンタインに返事したらいーんじゃない?」

花音が提案。

「おっ いーじゃん!」

棗も、それに賛成。

「 えッ!? 」


花音と棗は、2人でかってに話を進める。


「よーしっ! 返事はバレンタインに決定~!!」

「さっそく放課後チョコ買いに行こーー(>_<)/」

「え、えっ、えぇ~~~~~~ッッ!!?」




――――――放課後・・




(ど・どーしよ~!!

 ぜんっぜん決まんないよーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!)


チョコレ-トの専門店で、たくさんのチョコにかこまれ、まよう天子。

「もぉ~~ 天子ナニやってんの?」

花音はそんな天子に、あきれ顔。

「聖夜のチョコなんかテキトーにどれでもいーじゃん」

「や、棗・・それはちょっとかなしーよ・・・(-_-)丿」

花音と棗は、あいかわらずゴチャゴチャやっている。


(いっぱいあってどれがいいのかわかんないってのもあるけど・・・)


天子は、あの学園祭のときの、雅の顔がわすれられなかった。

すごく・・おこっていた・・・。


(・・・雅・・・・)



「天子、それにするの?」

「え?」

花音にかれ、天子はハッとした。

天子の手には いつのまにか、ハート型で、シンプルなチョコが。

「・・・・・」

「天子・・・?」



(キモチが入ってないなら、大丈夫かな・・・・)


「・・うん、コレにする」

天子たちは 会計をすませ、店を出た。




――――――天子の部屋・・





「はぁ~~っ さむっ」

天子はうつぶせでベッドに寝ころび、目の前に買ったチョコをならべた。

「これがおとーさんの分、これが一応 棗の義理ギリチョコ、

 これは・・・・・・」


(聖夜・・・)




・・天子はなんとなく、窓の外を見た。

「うっわぁーーーー!!」

どおりで寒いはずだ。外は雪が降っていた。

「あしたは雪がもったりするのかな・・」





          ------次の日------





学校についた天子は口をあんぐりとあけている。


そこには・・・


“本日 大雪のため休校になりました。 桜城学園長”


という張り紙が、どーんと張ってあった。。


「ひどいよー なんでおしえてくれないのー!?」

天子はケータイで花音と電話。

「うわーん さみしー 誰もいないよー」

『は? 天子いま学校? 連絡網れんらくもうまわらなかった?』

『えー 天子の前って聖夜じゃね?』

花音の家には棗が来ていたらしく、電話のむこうから声がきこえた。

『オレ 聖夜にまわしたけど?』

「えーー!! そんなの聞いてな・・」


ブツッ   ・・ピ――――――――――――


「え゛っ・・」


天子のケータイは いきなり、バッテリー切れになった。








「ハハーン それって聞いてないってゆーかぁ♡」

花音と棗は、顔を見あわせた。

「よしっ オレらも学校行くぞ!!」

2人は家を出た。








「えーん 遊んでやるーーー!」

天子はヤケになって、校庭の雪で 大きな雪玉をつくりはじめた。




―――――屋上から、聖夜が見下ろしているなんて気づかずに・・・




「やったー! かんせ~~!!」

天子は雪だるまを作り上げた。

「あ、顔がない・・コレでいっか!」

葉っぱや木の枝をひろって、雪だるまにつけていく。

「目、鼻・・ 口は―――・・・」

今度は スクバから、昨日買った聖夜のチョコを取り出し、箱から出した。

「これ!」


(やっぱり・・ 雅をキズつけたままじゃ・・・・・

              このチョコは聖夜にはあげられない・・・)






天子が チョコを雪だるまにつけたその時――――――――――――






がばっ

       ・・・誰かに後ろからだきつかれた。。


「てーんこ! チョコちょーだい♡」

聞き覚えのあるその声に、天子がふりむくと・・






「聖夜・・・ ドサクサにまぎれてヘンなとこさわるなーーッ!!///」






ドカッ!!


天子は聖夜のあごを、下からグーでなぐった。。





「ごっ・・」





ドサッ・・


聖夜は、そのまま後ろにたおれた。






「ヘンタイ! チョコなんかあげない!!」

天子は手を腰にあてて、言う。


「オレどこも触ったつもりないんだけど・・・(-_-泣)」


そんな聖夜の声は 完全ムシして、ずんずん歩いていく天子。


「・・待てよ! チョコちょーだい!!」

聖夜は起き上がって言った。


「あげないって言ったじゃん!!」

「なんで?」

「・・・・・・・」


(・・・言えるわけ・・・・・ないでしょ・・)


だまりこんだ天子に、首をかしげる聖夜。


「これ・・天子の?」

聖夜は、雪だるまについているチョコを指さして言った。

「じゃー オレこれもらう」

聖夜は、雪だるまからチョコをとった。

「だっ・だめ!!」

「・・なんでだよ?」



(本当は・・キモチなんてこめるつもりなかった・・

   でも・・こんなに、あたしの心は聖夜でいっぱいなんだもん・・・

                  こんなの、キモチが入ってるのと同じだよ・・)



「天子?」



(雅に悪い・・・)



「おい、なんか言えよ!」


バッ


天子は、聖夜の手からチョコを取り上げた。


「・・とにかく! 聖夜にはあげない!!」

その言葉に、聖夜はムッとし、

天子のチョコを持った手をつかんで引っ張った。

「キャッ・・」





パキッ・・





「 バ―――カ 」


聖夜はチョコを一口食べた。


(なっ・・)


「バカー! なにかってに食べてんのよーー!」



どご――――!



「ぐっ・・・」

天子は、雪だるまの頭を聖夜にぶつけた。

「つめてっ おまえ・・ふざけんな!」

「うっさい ダメって言ったのに・・・聖夜のバカ―――!」

天子は地面に積もった雪を、次々と聖夜になげつけた。

「つめてぇっ やめろ!!」

「だって聖夜が悪いんじゃん! かってに食べるから!!」

天子は一度、手をとめてビシッと言った。













「じゃあ なんでオレにはチョコくれないんだよ・・」













(・・聖夜・・・?)



「・・・せ、聖夜は他のコからいっぱいもらえるからいいじゃん!」


(そうだよ!

 たくさんのチョコの中の一つのあたしのチョコなんか、

 あってもなくてもいいじゃない。)


「なんだよソレ・・数なんかカンケーねぇよ!!

 オレは、天子のチョコ以外いらねぇし!」


(う゛っ・・)


「な、なんで・・あたしのがほしいのよ!!」


「はぁ? そんなん決まってんじゃん。

 言っただろ? オレ、天子が好きだって」



(ずるい・・・ずるいよ聖夜・・

          どうしてそんなこと・・・こんな時に言うの・・?)




「天子・・。

 オレ、ほしいのは天子のチョコだけだぜ?」


「 ばかっ!! 」




ダッ・・



天子は走り出した。

















(あたしだって・・聖夜が好きだよ・・・

        素直になりたい。好きって・・ 言っちゃいたい。

                       でも・・・ ダメなんだよ・・・・)








ぽろっ・・



天子の目から、涙がこぼれた。




























「―――――待てよッ!!」




グイッ!



追いかけてきた聖夜が、天子のうでをつかんだ。




「なんで、泣くんだよ・・・」



聖夜は、困った顔をする。


「オレの・・せい?」


「・・・」


「オレが・・ 好きとか言ったから?」


「・・・・ちがう・・聖夜のせいじゃないよ・・・っ」


天子は、うつむいたまま言った。


(あたしのせいだよ・・・)



「・・あのさ・・・天子、オレのことキライ?

 こんな時に悪いんだけど、

 返事くれねーと どうしたらいいかわかんねぇよ・・」


聖夜は、天子をまっすぐ見つめて言った。


「・・オレ・・・本気なんだぜ?」







天子は、うつむいていた顔をあげた。




(・・・そうだ・・・・

      あたしはいつも・・聖夜から目をそらして・・・

  

 わかんないフリしてたんだね・・

             ごめん・・聖夜・・・・・)







「・・ちゃんと考えるから・・・

   返事はもうちょっと待って・・・」


「オレ・・待つのは得意だけど もうそーゆーのやめたんだ」


「あ・・そ、そーだよね・・・」


(もうこんなに待たせたんだもんね・・・)











「でも・・受験が終わるまでならまってもいい・・・

 そのかわり! はぐらかしたらゆるさねぇ!!」










「うん・・!!」





(あたし・・もう逃げない・・・

   今度はちゃんとまっすぐに 雅のことも聖夜のことも

                     考えるよ――――――・・)










「天子ーっ 聖夜ーーっ」


「え・・ 花音っ、棗!!」



その声に天子がふりむくと、花音と棗がこっちに走って来ていた。


「あれっ?

 なーんだ、フツーじゃん」


「 ?? 」

花音の言葉に、天子は首をかしげる。

「なんだよ、どーゆー意味だよそれ」

そう言って、聖夜は顔をしかめる。

「べっつに~」

すると、棗がベーッと舌を出す。


「あらっ!? あなたたち何してるの?」


「えっ?」


「わっ、センセー!」


たまたま通りかかったのは、保健の先生。


「本当にいるんだ? まちがえて学校来ちゃうコ」


「だって聖夜が悪いんだよ!

 連絡網まわしてくれな・・モガッ」


天子が言いかけた時、

花音が天子の口をふさいだ。


「それより! センセー さみーよぉ」


そして、棗が寒さアピールでカバー。


「~~ぷはっ! もー!! 2人ともなんなのよッ(`´)」


やっと解放された天子は、2人にもんくを言う。


「あなたたち、保健室でみかん食べる?」

先生が、保健室の方を指さして言う。

「マジー!? 食う!」

棗はテンションが上がる。

「センセー やさしー! ありがとー♡」

花音も、よろこんでいる。


「天子ー、聖夜ーーっ 行くよ~!!」


花音と棗は、そう言いながら走っていく。


「おいっ おまえら待てよーっ!」


聖夜が2人を追いかける。




「・・・・」


天子は、そんな聖夜のうしろ姿すがたを見つめていた。



「天子ーーっ 早く~~!!」


花音がこっちに手をふる。


「うんっ 今行く~!」








    “はぐらかしたらゆるさねぇ”





  ・・・うん

 

          ちゃんと考えるよ・・―――――――――――――――――――












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