5.学園祭 ~☆ドンカンな人魚姫☆~
秋になり、桜城学園では 学園祭の準備が始まった。
・・・しかし 天子にとっては、フクザツな気分になる季節。
(はあぁ・・・・ やっぱこの季節になると 思い出しちゃうなぁ・・・
流衣くんに "キス" されたことっ・・///)
天子は、廊下を歩きながら
またしても 頭の中でごちゃごちゃと考えこんでいる。
あれから、流衣とは 一度も会ってない。
と、いっても 2人の時間があわず、なかなか見かけないだけ。
なにより、聖夜を好きなことに 気づいてしまった天子に、
流衣を追いかけまわす理由も ないワケで。
3-星の教室の、ドアの前まで 来たときだった。
「あれ? 天子じゃんっ! ひさしぶり~(^^♪」
後ろから聞こえた、その なつかしい声にふりむくと・・・
「み、雅!! わぁっ、ほんとひさしぶりっ 会えてうれしい~~(^O^)」
天子に声をかけたのは、雅だった。
「ねぇねぇっ 天子ってば、流衣くんと "キス" までしちゃったって本当!?」
・・見事な不意打ち。。。
「・・・ええぇえぇぇ!!? そ・そんなコトだれがッッ・・///」
天子の顔が、ボッと赤くなった。
「もぉ~~ 言ってよね♡ で、もう "カレカノ" なの!?」
「ち・ちがうよッ/// つきあってないし、キスなんて・・・っ///」
ワクワクと、目を輝かせる雅に、あわてて言う天子。
「え~~? お化け屋敷で、2人を見た人が キスしてるよーに見えたって!
キスまでしたのに、つきあってないの?」
「~~~~~~っ/// それは、その・・
あたし、怖くて 流衣くんにだきついちゃって、
すごく顔近かったから・・/// そう見えたんじゃない?(^^)))」
天子は、なんとか ごまかそうと、ウソをついた。
「なーんだそうなの~? ざんねーん(-o-) まぁ、おたがいがんばろーねっ♫」
それだけ言って、雅は立ち去る・・
「・・・雅っ あのね!!」
前に、天子が引き止めた。
「なーにっ? 天子♪」
笑顔でふりむく雅に、天子は 何も言えなくなった・・・。
「・・・・やっぱ なんでもないっ バイバイ(^o^♪」
「バイバーイ(^o^)丿」
『 ごめん、雅・・ あたし 聖夜が好きなの 』
その、たった一言が・・・・・・・・
天子には とても言えなかった。
( 雅・・・ ごめんね・・・・・)
---------------------ガラッ
「あーっ 天子おそーい! じゃあ、始めよ~(^.^)/~~~」
天子が教室の中に入ると、
花音が 小さなダンボール箱を高く上にあげて言った。
「・・・なにをするの??」
天子は、それを不思議そうに見る。
「今から、劇の役を くじで決めるの!」
そう、今年 3-星では、文化祭で
劇【人魚姫】をオリジナルですることになったのだ。
--------------------そして・・・
「みんなくじ引いたー?」
ザワザワ・・
「てーんこっ なんの役だった??」
花音がテンション高め↑↑で訊いてきた。
「・・・・うそ・・ あたし "人魚姫" !!?」
その おどろく天子の声に気づいたクラスメイトの男子が、さわぎだした。
「姫は春咲!! 王子は誰だ!?」
「春咲とチューする相手は誰だっ!?」
「え゛っ!!?」
(キキキキキキスーーーーーーー!!?///)
・・・しかし、誰も名乗りでない。
「・・・? いねーのか??」
「そーいや くじ1枚あまってんな・・ まだ引いてねーヤツは・・・・」
男子の1人が、そう言ったその時。
ガラッ・・
教室のドアが開いて、聖夜が入ってきた。
「おっ 聖夜はまだだったな、ほらよっ♪」
箱を持っていた男子が、聖夜に 1枚しか残っていないくじを引かせる。
ガサ・・
聖夜が、くじを開く。
「オレ・・・王子?」
「「「おぉーーーーーーーーっっ!!」」」
ザワザワ・・・・
「春咲のチューの相手は 聖夜だーーっ!!」
「ヒューヒュー♪」
クラスの男子たちが天子と聖夜をからかう。
「キ・キスって言ったって、フリだけじゃん!///
そもそも、人魚姫ってキスシーンなんてあった!?」
天子は顔を赤くして言う。
「オリジナル人魚姫だから、あるんだよ~(^○^♪」
男子たちのかわりに、花音がこたえた。
「よ~しっ! 練習すっぞー(>_<)/」
「やっぱメインの "ラブシーン" からだよな~(TvT)」
1人の男子が、ニヤッと笑って言った。
「さーんせーい♫」
男子たちが、また さわぎだした。
「うるさーい!」
「早く はじめよ(`^´)!!」
女子たちが怒鳴る。
「はーーい・・」
男子たちは、しぶしぶ黙った。
☆★☆★☆★☆★☆★ 練習 スタート! ☆★☆★☆★☆★☆★
「僕をたすけてくれたのは・・君なんだろ?」
聖夜が、台本を読みはじめた。
「・・・」
天子には、まだセリフがない。
「どうして何も言わないんだ?」
「・・・」
「そうか・・。 言えないならムリに言わなくていい」
『立ち去って行く王子を、人魚姫がうしろからだき止める!』
実行委員が、2人に指示をだす。
ギュッ・・
天子は、指示どおりに 聖夜をだきしめる。。
(きゃあぁあぁぁ!!/// し・心臓バクハツしそうだよぉッ(>_<)///)
『王子はふりかえり、正面から姫をだきしめる!!」』
聖夜も、指示にしたがう。
『2人は見つめ合い、王子のセリフのあとに いよいよ"キスシーン"!!!』
「僕は君が好きだ」
ガラッ!!
王子〔聖夜〕が、人魚姫〔天子〕にキスしようとした時だった。
教室のドアが開き、体育館に行っていた実行委員の1人が 顔を出した。
「衣装がそろったから、それぞれ取りに来いって!」
と、手早く用件を言う。
「そっかー。 じゃ、みんな行こーぜ~」
みんなは、教室を出て 体育館に、衣装を取りに行った。
----------------------・・帰り道☆
「衣装すごかったね~! 特に、人魚姫と王子のが!!」
花音は、あいかわらず テンションが高い。
「ほんとに人魚姫があたしでいいのかなぁ・・?」
そんな花音に、天子は苦笑い。
「なーに言ってんの! 聖夜王子ともおにあいだったじゃ~ん♥」
「そ・そんなコトないッッ!!///」
天子は顔を赤くして言った。
「それに! 聖夜だって天子が姫でうれしかったはず!!」
「ええぇ!!? そんなワケないじゃん! ありえない!!」
天子は、花音の突然の言葉を 全力で否定した。
「・・あんた ほんっとドンカンねー」
「なにそれー! どーゆー意味?」
「バカはわからなくていーの!」
「ひっどーい!!」
そんなことを話しているうちに、2人が別れる曲がり角まで来た。
「じゃーね~(^-^)丿」
「うん バイバーイ(^o^)丿」
花音と別れ、天子1人で歩きだした。