12.交通事故
―――AM8:10・・
ピピピピピピピ・・・
「う~・・ん・・・」
目覚まし時計の音が、天子の部屋になりひびく。
天子は、ふとんにもぐったまま、時計に手をのばす。
ピピピピ カチッ――――――
(・・あれ?)
なぜか、天子の手が時計にとどく前に、目覚ましがとまった。
おそるおそる、天子がふとんから顔を出してみると・・
「オハヨッ 天子♡」
天子の横には、ひじをついて寝ころぶ聖夜がいた。。。
「・・・キャアアアアッ!!?」
おどろきのあまり、天子はベッドから転げ落ちた。。
「うぉっ Σ(・Δ・;) 天子 大丈夫か!?」
それを見た聖夜もおどろく。
「だ、大丈夫・・って、そうじゃなくて!! なんでいるの!?
てか、いつからいたの!!?///」
「んー・・7時半?」
聖夜はサラッと言う。
(・・ん? ちょっとまって!
あたしこんなカッコで寝てたし・・やだ、何もしてないよね!?)
6月下旬とはいえ、もう夏。
天子は、キャミソールにルームウェアのショートパンツという、
なんともはずかしいカッコをしていた。
じとぉ~~・・・
「な、なんだよ・・」
天子は、疑いの目で聖夜を見ていた。
「あのなぁ、オレが、天子の寝込みをおそうよーな男に見えるか?」
(いや、どこからどー見ても、そうとしか見えないんですけど!?)
「そりゃぁ、天子がんなエロいカッコで寝てたらおそいたくなるけどさー」
(あ、あやしい!!)
「だから、なにもしてねーってば! そんな目で見んなよ(`´;!!」
聖夜はあわてて言った。
「・・・それより、聖夜?」
「 何? 」
「着替えるから出てって?」
天子はつくった笑顔で言う。
「あー・・それならオレはここにい・・」
「出てって。・・ね?」
天子はさっきから、表情を少しもゆがませず、笑顔。
それが、なんともコワイ。
「・・・ハイ」
「それでよしっ!」
天子は満足そうに言った。
聖夜はしぶしぶ窓から出ていった。
――――――――――――――・・・
天子と聖夜は今、水族館『アクアランド』にいる。
今日は日曜日で、もともと2人はデートする予定だったのだ。
「なぁ、まず何から見る?」
「え~っとー・・」
フラッ
天子は足元がふらつき、たおれそうになった。
「きゃっ・・」
ポスッ
「天子? 大丈夫か(・・;)?」
が、聖夜がだきとめた。
「・・うん、大丈夫!」
(あれ・・? おかしいな・・ちょっとダルい・・・??)
「天子?」
「えっ 何?」
天子は聖夜の言葉を聞き返した。
「いや・・ホントに大丈夫なのか?」
「うん、ヘーキ!」
(たぶん ひとごみによっただけだよねっ!)
天子はそう思い、あまり気にしなかった。
「わあっ ねぇ見て見て! カワイー♡」
「天子っ アイツ見ろよ!」
「えっ? わっ 落ちちゃったッΣ(・Δ・;) 」
2人が見ているのはペンギン。
聖夜が指さすのは、氷ですべって水の中に落ちた、ペンギンの子供。
「ドジだなーアイツ、天子みてぇ」
「なっ・・!! あたしあんなにドジじゃないもんっっ」
「ただのドジじゃねーよ。“ドジでカワイイ”とこが似てるっつってんの!」
聖夜は、そんなはずかしいセリフを、サラッと言った。
「ッ!?/// ・・・もうっ バカ!!」
天子はほっぺを赤くして言う。
「あははっ テレた天子もカワイイぜっ♡」
「も~~っ/// またあたしのことからかうつもりなんでしょ!
今日はそうはいかないんだからねっ!!」
「ふ~ん?」
そう言って、聖夜はニヤニヤ。
「もう聖夜のジョーダンにはだまされないっっ」
「はぁ? 今のはジョーダンじゃねーし」
「っ!!///」
天子の顔が、ボッと熱くなる。
「・・・クッ・・」
すると、聖夜は笑いをこらえはじめた。
「~~~っ/// もーっ 聖夜~ッ╬」
「マジマジ! ジョーダンじゃないってのはホントだから」
「・・・///」
―――ざわざわ・・・
「・・あれ? 人の声がいっぱい聞こえるのに、ここ人少ないね?」
天子は首をかしげる。
「天子、あっちの方から声するし・・なんかあってんじゃね?」
「ねぇ 行ってみようよっ!」
「いーぜっ!」
聖夜はそう言って、ニカッと笑った。
――――――――――――ザッバーーンッ
ワーーーッ
ザワザワ・・・
「わぁっ イルカのショーがあってたんだ!!」
「すわって見るか?」
「うんっ!」
2人は、ベンチにすわった。
ザッバーン!!
イルカがジャンプするたびに、水しぶきがとぶ。
「つめたっΣ(>Δ<) 」
「ははっ ホラ!」
聖夜は笑って、天子にハンカチをさしだす。
「ありがとっ」
天子も笑う。
『では、次は会場のみなさんに手伝ってもらいましょう!』
ショーをしている女の人が、マイクを使ってい言う。
『そうですねぇ・・
じゃあ、そこのかわいいおじょうさん! 前に出てきてくださ~い♪』
女の人が指さすのは・・
「あ・あたし!?」
天子だった。。
「ホラ 行ってこいよっ」
「う・うんっ」
聖夜に言われ、天子は前に出た。
『ではおじょうさん! 右手をあげて、合図してくださいね~』
「はっ、はい!」
『さんはいっ♪』
スッ
天子は言われた通り、右手をあげた。
バッッシャーーーン!!
「ひえっΣ(・Δ・;) 」
イルカたちがいっせいにジャンプして、すごい水しぶきがとんできた。
そのため、天子の服はかなりぬれてしまった。。
『あらあら、これはイルカのショーというより、
セクシーなおじょうさんのできあがりですね~(^○^;)』
「 どっ 」
わははは・・・
女の人の声で、会場に笑い声が。
「ちょっ・・///」
(もうイヤ―――――――――――――ッ!!!)
―――――――・・・
「楽しかったな、天子♪」
「・・・」
もうすっか夕方になり、2人はアクアランドを出た。
「おい、天子?」
「へ? 何・・?」
(あれれ・・? なんかボーっとする・・)
フッ・・
聖夜は、天子の様子をおかしく思い、天子のおでこに触れた。
「聖夜ぁ・・?」
「おまえ・・カゼひいてんじゃねぇの?」
「え・・?」
天子のおでこは、ふつうにくらべるととても熱かった。
「・・くしゅっ」
「ったく、あんなカッコでエアコンなんかつけて寝てるから・・」
聖夜はあたりを見回し、公園を見つけた。
「―――よしっ、ここで待ってろ!」
聖夜は、天子をベンチにすわらせた。
「近くの薬局で熱冷ましとか買ってくるかんな!」
そう言って、聖夜は走っていった。
「はぁ・・あたし、ほんとバカだな・・」
(聖夜にめいわくかけちゃった・・・)
天子はうとうとしはじめた・・。
「・・・天子」
「あ・・聖夜・・・」
天子が目をあけると、聖夜が優しく笑っていた。
「聖夜・・ごめんね、めいわくばっかりかけて・・」
「なーに言ってんだよ」
聖夜はそう言って、天子のおでこに熱冷まシートをはる。
「天子、ひどくなる前に帰ろう」
「うん・・」
聖夜が天子に手をさし出す。
天子がその手をとろうとした瞬間・・・
フッ・・・
聖夜の姿が消えた。
「えっ・・聖夜?」
返事はない。
「聖夜・・聖夜・・・!?」
「・・さんっ 春咲さん!」
むこうから、だれかが走ってくる。
「聖夜っ!!」
天子は、必死になってその人をだきしめた。
「よかった・・どこにいっちゃったかと思った・・・」
「春咲さん?」
天子はゆっくり目を開けた。
「・・・流衣・・くん・・?」
天子はハッとした。。
「わっ! ご・ごめんなさいっ!!」
あわてて、天子は流衣からはなれる。
(ってことは・・ さっきのは夢か・・・)
「あっ、せ、聖夜は・・?」
天子がそう訊くと、流衣はだまりこんでしまった。
「流衣くん・・?」
「春咲さん、落ち着いて聞いてね・・?」
流衣は、静かに話し始めた・・。
「聖夜は、薬局に行く途中・・
交通事故にあって、意識がもどらないんだ・・・」
え・・・―――――――――――――!?