帰還
「――レイ、ヴェルニカよく帰ってきたな!」
「おう、オヤジ」
「二人とも無事でよかったわ」
「母様も待っててくれたのですね。ありがとうございます」
村入口に帰ってくるとクルーガーとモンシェリーが二人の無事を喜んだ。
本当に無事に帰ってこれたんだ……
「オニイチャン! オネェチャン!」
「おー。クー、ガー。ただいま!」
「クーちゃん。ガーちゃん」
ナオキとアイリの元へクーとガーが駆け寄ってきた。アイリは二人を抱きしめている。
帰ってきたことを喜んでくれる者がいることがこんなに嬉しいのだとナオキは改めて実感した。
「ナオキとアイリも無事によく帰ってきた。みんな心配してたんだ」
「クルーガーさん。心配をかけました」
ナオキとクルーガーはガッチリと握手を交わした。隣ではアイリとモンシェリーが抱きしめ合っている。
「それでは皆さん。私はこのへんで」
「エドガーさん。ありがとうございました」
魔王城からの帰りもエドガーの転移魔法でエルフの村まで送ってもらったのだ。
「ナオキさん。何かありましたらいつでも声を掛けてください」
「はい。その時はよろしくお願いします」
「チッ。今度は負けないからな」
「ンフフフ。もっと強くなったら相手をしてあげますよ」
レイもエドガーに声を掛けた。レイの顔にはうっすらと傷跡が残っている。
実は宴の時、酒に酔ったレイがエドガーを挑発し、決闘を申し込んだのだ。エドガーはこれを承諾し、二人は戦った。結果は――エドガーの圧勝だった。
余程悔しかったのだろう。レイはベルに回復をしてもらい何度もエドガーと再戦を行った。だがその全てで敗北をした。結果、回復をしていたベルの魔力が底をつき、満足に回復されなくなったレイがボコボコにされたところで二人の勝負は幕を閉じた。
今日になって、ベルがレイを回復させたが、またスグに決闘を申し込んではいけないと、動ける程度にしか回復をしなかったのだ。
「まったく、回復をする身にもなってくださいよ」
レイの横でベルは不満気な顔をしていた。
「アナタもこのような兄をもって苦労しますね。その気になったらゼヒ魔王軍へ来てください。アナタの回復魔法をお兄さんの為に使うだけでは宝の持ち腐れですよ」
「ありがとうございます。でもやっぱり、私は兄さまが心配なんで」
「そうですか、それは残念です。今回我々は振られてばかりですねぇ」
「ふふふ。すいません」
「ではみなさん。またお会いしましょう」
エドガーは転移魔法を使い、消えてしまった。
「……魔王軍っていうからもっとヤバい連中の集まりかと思ってたけど、話してみるとなんか親しみやすいし、良い人たちだったな」
「そうだな。初めて会った連中だけど、どの魔王軍もあんな感じだったらいいな」
人間の生活から離れなければ気付かなかっただろう。今でも人間たちは魔王は悪だと認識し、滅ぼそうとしているのだから。
やっぱり、世界を見て回らないと分からないことばっかりだな。もっといろんなことを知りたい。
今回の魔王と会ったことは貴重な体験だった。ナオキの人生観をひっくり返してしまうほどに。
「ナオキさん、みんなレイさんの家へ行くみたいですよ」
アイリがクーとガーと手を繋ぎながらやってきた。
「オニイチャン、イクゾ」
「イクゾ、イクゾ」
「おう。今行く」
そういえば魔王様が妙なことをアイリに聞いてたな……
「――そこの娘」
「は、はい」
「お前の両親はどこで何をしている?」
宴のさ中、魔王はアイリに声を掛けた。魔王とアイリの間にはナオキが座っている。レイはエドガーと何度目かの決闘を行い、ベルはレイを止めようとしていた。他の魔物たちはレイとエドガーの決闘に夢中だ。
「あの……」
「なんだ? 話せんのか?」
「いえ、両親は……もうこの世にはいません」
「!? それは二人ともか?」
「はい」
「何があった?」
「父は私が幼いころに亡くなったと母から聞いてます。母は私が7歳のころに、住んでいた村が襲われてその時に……」
「襲ったのは魔物か?」
「いえ、人間です」
「そうか……辛い過去を思い出させてしまった。すまん」
「そんな、大丈夫です」
二人の会話はそこで終わってしまった。
あの時魔王はなんでアイリの両親のことを聞いたんだろう……世間話にしては唐突だったけど。
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また暫く休みます。
続きを執筆予定ですが、時間がかかるかもしれません。




