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包丁を使わなくてもメシは美味い(友情。成人女性二人)

作者: 飛鳥井作太
掲載日:2021/07/11


「はーい、野菜蒸し出来たよー」

「ほーい。鍋敷きセットしてあるよー」

 日向が小鍋を持って来る。香織は、きちんと鍋敷きをローテーブルの真ん中にセットし、待機していた。その周りには、ポン酢や甘口醤油、塩、オリーブオイルなどが並べられており、もう一つの鍋敷きにはグラタン皿が鎮座している。

「よっしゃよっしゃ」

 日向が鍋を置き、食卓が整うと、二人は座って、それぞれの飲み物を手にした。日向はペールエール、香織はノンアルコールのゆずサワー。

「それでは」

「では」

「「かんぱーい!」」

 ごっごっごっ……

 ぷっはー!

「週末のこのひとときのためにがんばってる」

「同じくー」

「でも、あれだね!」

「?」

「料理下手でも、作ろうと思えば作れるね」

「簡単なものはねー」

 本日のメニューは、もやしとカットきのことオクラの蒸し野菜。ソーセージのチーズ焼き。

 オクラのへたは手でとり(産毛は、水で流すときに気持ち強めにごしごしやる程度)、ソーセージのチーズ焼きも、スーパーで半額だったソーセージをグラタン皿にそのままぶちいれ、こちらにもカットきのこをおまけに入れてチーズをかけ、トースターでチン。

 包丁ゼロメニューだ。

「料理下手が二人集まっても自炊つまみが出来る……」

「乾きものとカップ麺からだいぶん進化したよね、我々……」

 二人が同じマンションに越してから、毎週金曜日はどちらかの家で宅飲みをするようになった。

 ただ、二人とも料理は出来ないため、当初は乾きものとスーパーのお惣菜、〆にカップ麺だったのだが。

「味に飽きた……」

 ということで、包丁を使わない自炊をし始めたのだった。

「いやー、家事力アップで、生命力だいぶんだいぶんアップしたのでは?」

「これはつよつよですわ」

 酒(一人はノンアルだが)をちびちびやりながら、二人は悦に入る。

「寿命、延びたのでは?」

「これはだいぶん伸びてますわ」

 二人で、そんな下らない事を言い合うのが至福の時。

「料理が下手くそでも」

「どうにかなる!!」

 わははははははー!!

 二人の笑い声が響く。

 大したものは作れなくても。お洒落な高級惣菜が無くても。

 楽しければ万事オーケー。

 そんな二人の夜は、今日もるんるんと過ぎて行く。


 END.


友人との飲みはこう、大人の青春がある気がする…

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― 新着の感想 ―
[一言] 舞茸はよく見て選ぶと石突を落とさなくていいものが変えるので、包丁要らずで大好きです。
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