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崩れ遺跡2

やっぱりハイファンは厳しい世界だなぁ



 遺跡探索の基本そのいちぃー。

 遺跡とはいえここは地下、有毒なガスや密閉された空間による空気の淀みなどにやられないよう、常に気を付け何らかの防毒手段を持ちましょう。


 とはいえここはコラビスの最上層崩れ遺跡、昔の文明に使われていたレンガや岩、建物の壁などが崩れて地下になってしまった場所なのだ。

 なので実際の所風通しはよかったりして、ここの遺跡にいる間はその基本をそんなに気にする必要は無い。

 はずなのだが……


 とりあえず一眠りして目を覚ますまで軽く過ごして見たけれど、明らかに空気は淀んでたし、何よりももうホコリが積もってる時点で空気の通りは悪いよなぁ。

 テントの中にある中型空気清浄用の採古物を背負っていくのは大変だし、小型のは持ってないから今回は大人しくマスクをして探索するとしますか。


「わおぉっ?!」


 テント出ていきなりつまづくとは……びっくりしたなぁ。

 ってん?

 なんだコイツは。

 ちっちゃい……マモノ?


「きゅあっ!」


 あらかわいい、指で摘んでごめんなさいね。

 とはいえマモノだしなぁ……でもまだこれくらい小さいなら……


「きゅい?」


 育成、出来るんじゃないか?


 掌に置いてやった事で首を傾げている、まん丸灰色ふわふわボディに目だけ光っている、ちっちゃい足が4本飛び出たつまづいた先に居たマモノを眺め、僕はそう考える。

 このコラビスでは大小はあるもののマモノと呼ばれる生き物がいる。そしてマモノは基本同種以外のマモノ含む全ての生物に襲いかかる。

 更にそのマモノの中でも主級と言われる、変異やら戦い抜いた歴戦のすごくつよいマモノは巣を持ち、そこを根城としていたりするので注意が必要だ。

 そして僕の考える育成というのは、そんなマモノの中でもまだ小さく、無差別に相手を襲わない幼体のマモノに自分を親と認識させ、探索に役立つよう育てる事である。


 見た感じは育っても大型にはなりそうにないし、それなら消費も増えないし育ててみてもいいかもなぁ。

 欲を言うなら飛行型だと探索範囲広がって嬉しかったんだけれども、まぁ幼体を見つけれる事なんて一生に一回あるかないかだし。

 ここで切り捨てるって選択肢は無いわな。


「あった、お食べ」


「きゅきゅう!」


 というかかわいいなこいつ。

 器用にも前足で摘んで口に運んでるし、めっちゃ目がニコーってしてるよ。

 前にマモノ持ちのヒトが「かわいいマモノは本当に癒されるから、探索中にも心に余裕できるよ」って言ってたけど、これは間違いないわ。

 ってんお!?

 いきなりほっぺスリスリしてくれた!

 すっごい懐っこいなぁ。

 よし、君に決めた!これからよろしく。


「きゅおっ!」


 僕のその考えを理解したのかしてないのか、片前足をぴょいっと上げた後、ウエストポーチの中に潜り込み、そこでお腹いっぱいになったのか寝息を立てて寝始める。


 んまぁそこは安全だろうし、このまま寝かせておこうかな。

 さて、探索を再開しますか……にしても。


「このエリアは、凄いな」


 この遺跡、殆どは崩れ遺跡の名前の通り崩れた建物の建材で出来た場所だけれど、ここまで建物や街並みが残った状態で埋まってる場所は他に無いんじゃなかろうか?

 光水の街灯も正常に動いているし。

 という事はあれに気をつけなくてはなりませんな。


 遺跡探索の基本そのにぃー。

 我々が探索しているのは過去の遺跡です。

 周りの建物や構造をしっかりと観察し、罠が無いか見極めて進みましょう。


 と、言う事で改めてこの場所を考察してみよう。

 まず街灯があり、一応は黒レンガで舗装された道路の左右に、これまた黒レンガで作られたドアがなかったりあったりする縦長の家があるという……

 うむ、間違いなく街ですね。

 その中でもレンガ製じゃない一枚岩みたいな高い建物が柱になってここを支えてるみたいだ。

 ならば罠は気にする必要は無さそうだけれども────


 ペチッ!


 っとぉ、やっぱりいなすったか……!ケモノ!


 身体能力にものを言わせ、音が聞こえた瞬間咄嗟に街灯の上に飛び乗った僕は、建物の影から出てきたこちらを見る目と口がぽっかりと真っ黒な穴のようになった亀のようなヒトを睨みつけながら警戒心を高める。


 そう、この遺跡にはマモノ以外にもケモノと呼ばれるヤツらがいるのだ。


 そしてコイツらは昔の文明のヒトや探索者がこのコラビスで死に、体が腐ったりしてない無事な内に何かの影響を受けると生まれる化け物なのである。

 ちなみにその何かは未だに不明だ。

 更に厄介な事に、こいつらはマモノと違い同じケモノでなければどんな生き物でも襲いかかってくる上に、完全に空間が繋がってない、もしくは数百メートル程距離を取らない限りずっと追いかけてくる。

 そしてその強さはケモノとして行きた年月に比例すると言われており────


「こぉおぁぁぁぁぁ……!」


 うおっ、なんちゅージャンプ。

 反射的に仰け反らなかったら上半身消し飛んでたぞ……


「これが……パワータイプか」


 初めてケモノに挑むならオススメされるタイプだけど、こんなんオススメするとか馬鹿なんじゃないの?


 20mくらいは高さのありそうな天井に勢いそのまま突き刺さり、自力で脱出して目の前に着地したそのケモノを前に、僕はそう思わざるを得ないのだった。


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