第8話 お嬢様
「今日あいつがさぁ、──────────」
「へぇ〜、─────────」
健二と話している耀大と3人で下校中だ
鈴木 耀大、健二とクラスの出し物が同じ係で仲良くなり一緒に帰ることになった、そして・・・
「そういえばよ、耀大も冒険者になるんだろ?」
「そうだな、もう少しで16になるからね」
そう、耀大は冒険者になるらしく既になっている健二に色々聞いていたのも仲良くなった理解だろう
え、買い出しはどうなったんだって?
それね〜......、学校に帰って委員長に会ってさ
「はい、買い出し行ってきたよ」
「ありがとう、どれどれ〜......、ず、随分露出が高いやつだね、これは宮田くんの癖が出てるのかな?」
うっ、ここはどう答えるのがベストだ?!
「そ、それは〜......、こ、これしかなかったんだよ、そう!だから仕方なくそれを買ってきただけ!」
「ふーん、これしかねぇ〜、......まぁいいでしょう、それより領収書ある?」
ん?領収書?...あっ、ないや
「それが〜、かくかくしかじかでして〜」
そうして、何があったかを説明した
「そう、宮田くんは私たちが一生懸命に作業している間、女の子をナンパしていたなんてね〜」
ぐっ、結果的にそうかもしれん!
「でも、しっかりお使いはできたからいいでしょう......」
なでなで、なでなで
......ん?何が起きてる?
「忘れちゃった?帰ってきたらヨシヨシしてあげるっていうの?」
なでなで、なでなで
そうだったーーーー!!!
てことはいま俺は委員長にヨシヨシされているのか?!!すごくね?!
なでなで、なでなで
あー、やばい、なんかほわほわする〜
おれ、何かに目覚めそうです
ポフッ、たゆんっ
ん?なんだろ、この顔に感じる柔らかく弾力のあるのは?
「宮田くん、そこまでは許してないわよ?」
......まさか、
がばっ!
たゆんっ
あ、あ、やっちまったーーーー!
ヨシヨシが気持ち良すぎて委員長の胸にうずくまってたよーーー!!!
「え、え、えっと〜、これは〜」
「そんなに私の胸が好きなの?」
はい、好きです!大好きです!!
「まぁ、そうですね、委員長の胸のためなら自分、死ねます!!」
「そ、そんなに?!少し人より大きいだけだよ?」
「何を言ってるんだ!!委員長、クラスの男子は
皆、その胸を見ると元気が湧いてくるんだ!つまり、なくてはならない存在なんだ!!」
ふぅ、言い切ってやったぞ!!
「え、えーーー、...じゃあこれまで告白してくれた子も皆、私の胸が目当てだったのかな?」
告白?......彼氏持ち???
「い、委員長って......彼氏いるの?」
「んー、......どうだと思う?」
えー、居たらやだなぁ、てか居たらヨシヨシなんてしてくれないよね?!
「い、居ないといいなぁって思います」
「へぇ〜、居ない方がいいんだ〜?」
そんなに下から覗かないで!!谷間が見えてますよーーー!!!!
「はひぃ!!!」
あ、噛んだ
「そっか、ふーん...、あっ、そうだ、このメイド服とりあえず私が預かっておくね、それじゃあね」
え、なんだったの?!てかそれ持って帰るつもり?
「はぁ......、てか委員長!」
「ん?」
「委員長は顔もすごく綺麗で俺はタイプですよ!!!」
うん、委員長が胸だけなわけないじゃん!
「へ?!...あ、ありがとう」
......てな感じだったわけよ!
いやぁ〜、いま思い出してもいい時間を過ごせたなぁ
「おーい、照一〜?生きてるか〜?」
「ん?なに?」
「いや、ずっと呼んでんのに反応ねーんだもん」
「あー、すまんすまん、それでなんだ?」
「だからよー、耀大に冒険者として言っておきたいことはないのかってこと」
「なんだろー、最初が肝心とか?」
「最初が肝心?」
「ほら、やっぱりモンスターって言っても生き物じゃん?だから、殺すことを躊躇っているとこっちがやられるぞって話しよ」
「なるほど、健二よりためになったかも」
「はぁ?!俺だって色々教えてやったじゃんかよ!」
「例えば?」
「それはほら、受付の人が美人とか、可愛い子を助けるなんてイベントはないぞとか、ダンジョンでナンパしようものなら殺されるぞとか」
「お前、女の話ししかしてねーじゃん」
「大切だろ?!」
「俺はもっと基本的なことを聞きたかったんだけどな」
どうやら、耀大はずっとこんな感じのことを聞かされていたらしいな、お気の毒に
「駅まで着いたけど耀大もこっち側なのか?」
「そうだな、同じ方向だな」
「そっか」
3人で駅のホームに向かっている時、横にあるカフェを見ると、そこには見知った顔の人がいた
「あっ、すまん、ちょっと用事思い出したから2人で帰ってくれ」
そう言い、俺はその場を離れた
「あ、おい!...あいつ、急になんだよー」
「そうだね、じゃあ2人で帰ろっか」
そう言いつつ、耀大は照一がカフェへ入っていく姿を横目で見ていた
カフェへと入り、見知った顔の人に近づき
トントン
「藤崎さん、まだいたんですか?」
そう、先程知り合った藤崎さんだった
「え?!...宮田さん?どうして?」
「 いや、外から藤崎さんが見えて、なんでまだいるのか気になってね」
藤崎さんは先程までの制服姿ではなく、私服へと変わっていた
「あー、そうなんですね、ですがなんでもないですよ、ただ何となく居るだけです」
「そうですか?わざわざ私服着替えて?」
「え、いや、これは〜......、そう、気分です!」
気分ねぇ、何となく訳がありそうなんだよなぁ
「サングラスとマスクもですか?」
「あっ、こ、これは日焼け対策です!」
「ふーん、......うそですよね?」
「う、うそじゃないですよ?!」
うん、目がとても泳いでらっしゃる
「なにかあったんですか?」
「なにもないですよー?!」
「教えてください、先程お世話になったのでお返しでも出来ればと思うんですよ」
「そんな、お礼とかいらないですよ」
「なにか困ってるんじゃないですか?」
「......、わかりました、話します」
うん、やっぱり何かあったんだね
「実は、見ちゃったんです」
なるほど、見たのか!
「なにをです?」
「学校の帰り道でたまたま路地裏から喧騒の声が聞こえてきて、気になってしまい見に行ったら、5、6人が女性を攫うところを目撃してしまい、さらにこちらに気づかれて向かって来て、私、慌てて逃げ出して先程のデパートに駆け込みました」
えーーー、思ったより重い話だったんだけど?!
え、なんか好きな人を尾行したいとかなのかと思ったんだけど?!
「そっか、それで変装を?」
「はい、これでいいかなって思ったんですけど外に出るのが怖くて......」
「警察には?」
「はい、一応しました」
「なら、警察に送ってもらえば良かったのでは?」
「そうなんですが、事情があって警察には通報だけしといたんです」
「そう、親とかに向かいに来てもらったら?」
「それも考えたんですけど巻き込みたくなて、心配もかけたくないですし、なのでどうしようもなくて......」
まぁ、気持ちはわかるけどもね、1人でも帰れないって言うし、ここは俺が男になってあげますか!
「じゃあ送りましょうか?」
「え、でも、そんな迷惑かけれませんよ」
「さっきのお礼もありますし、しかも困ってる女の子をほっとけないですよ」
これ言ってて恥ずかしい〜
「いいんですか?」
「いいんですよ、ほら、行きましょ」
電車に乗り、10分くらいで着いた駅を降りて、徒歩5分くらいの所の見たからに高級マンションの前にいた
「えっと、もしかしてなんですけど、ここですか?」
「もしかしなくても、ここですよ」
まじかぁー、これに住んでんの?!やばくないですかねー!!
「ぱ、パネェっすね」
「そうでしょうか?」
え、もしかしてどこかのお嬢様だったりします?
「......まぁ、無事にここまで来れましたね」
「はい、ありがとうございます......、あのー、もし良かったら、夕食でもどうですか?」
「え、親とかに許可取らなくて大丈夫ですか?」
「はい、あすかと私の2人暮しなので許可とかいらないですよ」
2人でここに?!
「てか、そのあすかさんって人に許可は貰わなくていいんですか?!」
「あ、それは心配しなくていいですよ、......夕食だめ、ですか?」
そんな悲しい顔しないでーー!!!
「全然大丈夫です!!お言葉に甘えてご馳走になります!」
「よかった!じゃあ行きましょう」
そうして俺は初めて高級マンションに足を踏み入れてしまった
ピンポーンッ
......ガチャ
「おかえりなさいませ、ルイ様!遅かったので心配しましたよ!」
えっと、なんだろう、メイドみたいな女性がお出迎えしてくれたよ?!
「あすか、ただいま......、友達連れてきたわ、あとこれをあすかにあげるわ、今度着てね」
あれ、俺って友達だったんだ、まぁ全然いいけどね!
てか今のやつってさっき買ってたコスプレだよね?着させるの?!
「あ、ありがとうございます、ってそうではなく、男ではないですか!......ルイ様はもう彼氏をお作りに?!」
「違うわよ、いま友達って言ったでしょ?!」
「あ、そうでしたね、失礼しました、とりあえず中へどうぞ」
うわぁ、緊張する〜、お金持ちの家だよ!どんなだろうね!
「お、お邪魔します」
「あすか、彼の分の夕食も用意してもらえるかしら?」
「わかりました、...もしかして私の分を彼にあげるということでしょうか?」
「なんでそうなるのよ!いつも多めに作ってるんだからそれをよそえばいいでしょ!」
「あ、そうですね!かしこまりました、ではダイニングでお待ちください」
そう言ってあすかさんはキッチンへと向った、それに続いて俺達も向かう
「ごめんね、彼女どこか抜けてるのよ」
「でもあれくらいがいいんじゃない?接しやすいでしょ?」
敬語はエレベーターに乗っている時にお互い辞め
ることにした、同い年だしね
「まぁ、そうね、それより食べれない物とかあるかしら?」
「んー、あっても頑張る!」
女子の前では見栄を張りたいお年頃です!
「そう?無理しないでね」
「お待たせしました、どうぞ」
あすかさんは俺と藤崎さん、そして自分のところに料理を置いた
「こ、これは!!......和食だ!!」
そう、出てきたのはごく一般的な夕食だった
「そうよ、嫌だった?」
「いや、そうじゃなくて、もっとコースとかなのかと思ったから」
「あー、実家ではそういうのもあったけど、あすかにそんな料理作れないわよ」
「すみません、ルイ様の期待に応えられなくて」
「何言ってるの?いつも美味しいじゃない」
あ、ほんとだ、美味しい
「あすかさん、美味しいですよ!」
「そうですか?なら良かったです」
どれも美味しいぞ、お、この白いスープはお味噌汁かな?
ゴクゴク
「うっ」
な、なんだこれ、喉を通った直後に逆流しだしてくる、そしてこのざらざらとした食感、さらにしょっぱい!それも痛いほどだ!
「お、お...、ゲホゲホ」
ふぅ、危うく吐くところだった
「ちょ、大丈夫?!あすか、これなに入ってるのよ!!」
「えとえとー、たしかこれは白味噌です」
それだけでここまで行くのか?!
「これ塩でしょうが!あすか塩どんだけ入れてる
のよ!!!」
「す、すみませんー!また失敗しましたー」
「宮田くん、大丈夫?」
「だ、大丈夫、でもなんでこんなことに?」
「あすかはたまに失敗作を作るのよ、しかも気付かずにね、だから食べるまで基本的に分からないのよ」
おいおい、なんだそのロシアンルーレットは!!
「そ、それは怖いな」
落ち着いた後、夕食をすませると
「そういえば、こんな時間だけど宮田くんは家に連絡しなくて大丈夫なの?」
高級そうな時計を見ると、時刻は9時に迫っていた
「大丈夫だよ、いま一人暮らしだから」
「そうなの?じゃあ全然自分でやってるの?」
「そうなるな」
「宮田くんって思ったよりすごいのね」
え、なんか俺の評価上がった?
「そうですね、宮田さんは凄いですね、ルイ様はほとんどなにもできませんからね」
「そ、そんなことないわよ!例えばほら、食器洗いとかできるじゃない!」
あー、よく小学生の親の手伝いベスト3くらいに出てくるやつだぁ
「じゃあこの家のことはほとんどをあすかさんがやってるってこと?」
「当たり前じゃない、私の傍付きよ?」
つまりお世話係?
「なんでなの?」
「なんでって私がお嬢様だからよ?」
「そうですね、ルイ様は藤崎家当主の娘だからですね」
なんだそりゃ、てか藤崎家ってなんだよ
「あれ、宮田くん、藤崎に聞き覚えないかしら?」
聞き覚えって言われてもなぁ、藤崎、ふじさき、......ん?FUGISAKI?、まさか!!!
「もしかして、あの?!」
「多分それよ」
「あの『FUGISAKI、交通事故致しません』のCMでお馴染みの大手企業の?」
「そうよ、それよそれ」
まじかぁ、それはやばいって、日本車の代表じゃんかよ、それの社長の娘ってさぁ
「なんでこんなとこにいるの?」
「え、なんとなくダンジョンに行きたかったのよ」
そんな理由でこんなダンジョン都市に来ますかね?!普通、お金持ちは来ませんって
「お嬢様っていうのはやりたい放題なのかね」
「まぁ、そんなもんよ」
それから少し雑談をし、帰ることにした
「それじゃあ今日はお邪魔したな、夕食ご馳走さん」
「楽しかったわ、......もし良かったらまた会ってくれない?」
美少女にそんなこと言われて断れてる訳ないっちゅうに
「おう、また会おうぜ、それじゃあな!」
「ええ、またね」