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豊臣幕府  作者: ヒデオ
7/30

小牧・長久手の戦術7

小牧山城の家康は、毎日、単調な楽田城の羽柴秀長、秀次との小競り合いにいささか飽きて来ていた。

「正信、敵は飽きもせずに毎日毎日同じように攻めては引きの繰り返しだ。なんとかこの状況を変えられんか?」

「殿、ここは我慢比べでございます。

下手に動けば、我らの負けでございます。

それとも一旦岐阜に引きますか。」

「岐阜に!あの三介殿の相手をするくらいなら、ここにいる方が良い。」

「殿、楽田城から敵が出て参りました。」

「またか。いつもどおりに相手をせよ。」

そう言って、本陣に腰を据えた家康であった。

いつもどおり前方に兵を出し、ある程度守れば敵は引く、今日もその繰り返しだと思うていささか眠気に襲われてきた。

ウトウトしていると、近侍の侍が焦って駆け込んで来た。

「殿!後方より敵襲!既に搦手門が破られました。」

ハッと目が覚めた家康。

次に駆け込んで来た近侍の侍。

「殿!前方の羽柴勢、大手門に迫っております。」

「何が起きたのだ。正信!」

「わかりませんが、後方から羽柴勢が攻めてきた由。我ら前後を挟み討たれたように城攻めされております。」

「後方から羽柴勢だと。いつの間に周りこんだのだ。」

「前方の羽柴勢は数は変わらない模様、また街道筋は物見を立てております故、周りこむなどできぬはず。」

「申し上げます。榊原様、石川様お討ち死に!」

「なに!康政と数正が!」

「本多平八郎様、銃撃を受けて、撤退とのこと。」

「忠勝が!直政はどうした。」

「殿、井伊直政、御前に!」

「いかん!殿、一旦、この城を捨て引きましょう。」

「正信、どこへ行くのだ。」

「ひとまず、岡崎へ。井伊殿、道案内を!」

乱戦の中を家康主従は城から脱出を試みる。

しかしながら、既に城は羽柴勢が乱入し、脱出は絶望的であった。

「羽柴秀吉、一体どのような策を用いたのか?」

「教えて進ぜよう!」

行くてに片足が不自由な武将が現れた。

「羽柴筑前守家臣、黒田官兵衛孝高と申す。

冥土の土産にお聞かせ申し上げる。

我ら船にて岡崎、浜松に中入り、岡崎、浜松は我が羽柴勢が落とし申した。

岡崎には我が主人がおりまする。」

「うーむ、船か…やるのー羽柴筑前守。

直政、帰る城が無くなったようだ。

もはやこれまで、いさぎよく腹を切る。

介錯を頼む。」

「殿、直政も後から参りまする。」

家康主従はその場で腹を切った。

呆然としていた本多正信。

「本多弥八郎殿、そなたの知恵は我が主人が認めてございます。我が主人に仕えるが良い。」

官兵衛の一言に正信はがっくりと膝をついた。

「かしこまりました。これよりは羽柴筑前守様にお仕え申し上げる。」

その時、大きな声が響いた。

「本多平八郎、討ち取ったり!」


「さて、戦さも終わったようだ。

岡崎の殿へ使者を出せ。」


こうして小牧・長久手の戦いは、秀吉 持ち味の起動力で肩がついたのであった。

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