北条攻め4
羽柴筑前の使者、羽柴秀長、黒田官兵衛の前にやや緊張した北条氏政、氏直親子、飄々とした幻庵が現れた。
「羽柴筑前守様の御使者、お二方、お役目大儀でございます。」
「羽柴筑前守の弟である羽柴美濃守秀長でございます。」
「黒田官兵衛孝高でございます。」
「おお、名高き、弟殿と軍師殿が参られたか!」
「拙者は北条幻庵と申す。」
「北条氏政じゃ」
「当主、北条氏直でございます。」
三人が性格を現すような挨拶をした。
「これは北条家を取り仕切るお三方がお会い下さり、誠に恐縮至極。
既に、山中城、八王子城を我が羽柴勢が落としました上は、和議に応じていただくがよろしかろうと罷り越しました。」
北条方の三人は八王子城の落城は知らず、衝撃を受けていたが、かろうじて冷静さを保っていた。
「して和議の条件は…」
幻庵が切り出した。
「北条家には、会津に移っていただく。」
「はて?会津は蘆名家がおるが?」
「すぐにとは申しません。この後、常陸と奥州攻めと仕置を行います。
その際に各大名の国替えを行います。
もちろん、北条殿にも兵を出していただきます。いかがでしょうか?」
「関東には誰が?」
「仕置の際に申し上げるが、上杉家ではない。」
幻庵は氏政に言った。
「大殿、この当たりが落とし所ですな。」
「御老体、お任せした。」
「では、御当主様。」
氏直が口を開いた。
「御使者の仰せ、全て承知したと羽柴筑前守様にお伝えしてくれ。」
「かしこまりました。」
こうして、北条家も羽柴筑前守の前にひれ伏した。
そしてその頃、筑前守は、京の都へ石田佐吉こと三成にある使命を与えて、戻らせていた。




