北条攻め1
小田原城では、羽柴秀吉との敵対関係が明らかになってから、北条氏政、氏直親子に風間出羽守配下の乱破(忍び)達より、羽柴勢の動きが盛んに知らされてきた。
氏政、氏直は、一族の長老、幻庵や一族の者と共に前後策を協議していた。
「もはや徳川家は滅亡。旧武田家家臣も真田安房守(昌幸)を旗頭にまとまり、上杉家も羽柴勢に合力し小田原に押し寄せてくるとのこと。
羽柴勢は西国は四国、九州以外は平定して、この小田原には8万という大軍で押し寄せてくる。
今までの武田、上杉が攻めよせた数とは桁違い。」
氏直が説明をした。
「たとえ何万の兵が来ようともこの小田原城はびくともしないぞ。」
氏政が力強く言い放った。
「大殿、小田原城にこもって戦うとして、援軍はどこから来るのかな?」
幻庵がとぼけた口調で聞き返す。
「御老体、え、援軍は…」
「大殿、援軍の見込みなく、籠るつもりでしたか?」
「では、御老体は戦わず、和議を結べということでしょうか。」
「それも生き残る為には仕方ないであろう。
しかしながら、羽柴筑前守、北条家には厳しい処置をとるであろう。」
「どういうことでございますか?」
「筑前守の狙いはこの関東の地。なぜなら…
幻庵は、一族の者に筑前守の狙いを伝えた。」
「御老体、それが誠なら、この北条家は!」
「関東にとどまれるかどうかもわからん。
ただ、戦うにしても、これまでの戦い方では負けるだけ。
関東から離れるか?戦うか?
どちらを選ぶか、お屋形様、大殿、いかがなさいます?」
「御老体、しばし考えさせてくれ!」
「考えられる刻は、後3日ですな。」
「わ、わかった。3日後に評定を開く。
皆、どちらを選ぶにしても策を考えてくれ!」
「かしこまりました。」




