真田動く3
陣に戻った昌幸は、浜松城攻略について策を練っていた。
信幸が父の元へやってきた。
「父上、考えたのですが、一旦、筑前とは和議を結び、甲斐、信濃の地を安堵してもらい、北条、上杉を討つというのはいかがでしょうか?
北条、上杉とは徳川との間で沼田の地を巡り、我らは争いを繰り返しております。
沼田まで安堵してもらえるなら、筑前と戦う必要はないかと…」
「信幸、それは吾も考えた。
しかしながら、吾の中で戦わずして和議を結ぶというのが武将の血が納得出来んのだ。
なんとか筑前にひと泡吹かせてから和議を結びたいのだ。吾を高く売り込みたい。」
「父上、お気持ちは分かりますが、あの城を落とすのは容易ではないと父上が申したではありませんか。」
「わかっている。だが一つだけ手がないことはない。金堀衆に城の外から中へ穴を掘らせて我らの兵を潜りこませることは出来る。
まあ、大した兵は送りこませないないがな。
筑前に武田家は恐るべきお家だったと思いこませることぐらいはできるであろう。」
「金堀衆ですか…
まあやるだけやってみますか。」
「すぐに金堀衆を集めて我が本陣より遥か後ろから掘らせよ。
城までは、10日以内には到達するようにな。」
「かしこまりました。」
その頃、秀吉。
「真田め、全く動かんな。
武将達に伝えよ。むやみに討って出てはいかん。向こうの出方をしばらく待つとな。」
浜松城を巡る戦いは根比べとなってきた。




