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豊臣幕府  作者: ヒデオ
12/30

真田動く2

昌幸率いる旧武田家臣団は、甲斐から駿河へと侵攻を開始した。その進路は、信玄が駿河へ侵攻したのと同じ進路であった。

信玄の西上作戦の時と違って、旧武田家臣団への備えがなかった為、二俣城ですら、苦労することなく落とすことができた為、浜松城へは昌幸は思ったより早く到着できた。

はずであった。

「間も無く、浜松城だ。既に浜松城を守るものはいない。我らがあの城を足がかりに西に出て無き武田家の名を見せつけてやろうぞ!」

昌幸は叫んだ。


しかしながら、昌幸は、浜松城に近づいて行くにつれて、様子がおかしいことに気づいた。

「なんだあの旗印は、徳川のものではないぞ。」

急いで昌幸、嫡男 信幸の兵を物見に出した。


しばらくすると、信幸が昌幸の元に急ぎ駆けつけてきた。

「父上、どうやら羽柴筑前守の兵が浜松城を占拠している模様です!」

「なに!羽柴筑前だと!

奴はまだ、尾張にいるのではないのか?

忍びのものはなにをしていた。」

唐沢玄蕃が申し訳なさそうに

「殿、誠に申し訳ありません。我らが探るより早くに浜松城に入城したようでございます。」

と詫びた。

「玄蕃、おったか。そなたがつかめなかったということは、羽柴筑前守の動きが素早かったということだな。

さすがに猿という異名を持ち、毛利と戦いながら素早く明智を討つ為に移動した男だ。

しかも相手は城攻めの名手。守るのも得意と見た。

うーむ、如何に浜松を攻めるか悩むところだな。」


昌幸も城攻めを得意としたが、大軍を率いての城攻めは経験はなかった。

「とりあえずは、浜松城の縄張り、備えを見て参ろう。」

昌幸は、夜陰に紛れて浜松城の周りを見渡して見て回った。

「うーむ、この城は隙が無い。どこにも死角がない。」

「父上、兵糧攻めは?」

「海に面しているからな。兵糧は海から運び込める。その前に、こちらに兵糧攻めできるだけの兵がいない。」

「亡き信玄公のように、城から釣り出しますか?」

「あれは、信玄公だから出来たのだ。吾では出来ん。筑前も引っ張りだされんだろうな。

とりあえず、陣に帰って策を練り直すとしよう。」


浜松城から外を眺めていた秀吉。

「真田め、この城を見て頭を抱えておったな。

さすが、奴も信玄の目と言われた男だ。

城の縄張り、備えを見抜いたと見える。

今後、どう出るか楽しみではあるな。」

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