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音楽エッセイ『こんな音楽いかがでしょう?』  作者: Kobito


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第24回 クロスビー・スティルス&ナッシュへの評価を改めます

クロスビー・スティルス&ナッシュというのは、アメリカで1960年代後半から1970年代にかけて人気を博した、コーラス主体のロック・バンドで、バンド名の由来は、メンバーのデヴィッド・クロスビー、スティーヴン・スティルス、グラハム・ナッシュの三人の名前をそのまま付けたものです。


バーズ、バッファロー・スプリングフィールド、ホリーズという、当時すでに高い評価を得ていたバンドにそれぞれ所属していたとあって、フォークロック界隈では一種のスーパーグループと目される存在でした。


彼らの分厚く、さわやかなコーラスワークは、今でも洋楽ファンの人気が高いんですが、私はどうも、以前から彼らの音楽が好きになれなくて、そこまで人気が高い理由も、いまいちピンとこないまま、長年過ごして来ました。


彼らがクロスビー・スティルス&ナッシュ結成以前に所属していたバンドのうち、バーズとバッファロー・スプリングフィールドの音楽性は昔から大好きで、聴き返す事も多いのに、クロスビー・スティルス&ナッシュの音楽性には、すんなりと馴染めないところがあったんです。


理由を考えてみるに、まず、似たような分厚いコーラスワークが多用される事で、かえって単調に聴こえてしまう事や、楽器演奏の聴かせどころの乏しさが、物足りなさにつながっていた、という点が挙げられます。


特に、ファンの間では評価の高いコーラスワークですが、私には、あまりにそこが前面に出たミキシングがされていて、楽器演奏と調和していないようにも感じられたんです。


最初はCDで聴いて、後年LPからデジタル抽出した音源で聴いてみたりもしましたが、私の評価が変わる事はありませんでした。


でも、最近、彼らのファーストアルバム『Crosby, Stills,& Nash』(1969年)のハイレゾ音源(24bit192kHz)を手に入れて、聴いてみたところ、印象が全く異なる事に、驚きました。

CDやLPの盤起こしだと、もっさりとひと固まりに感じられたコーラスワークが、各人の声がきちんと聴き分けられる分離の良さで、クリーンに心地よく耳に響きます。

コーラスワークが明瞭になって音圧がほど良く分散されたことで、代わりに楽器演奏が前面に出て来て、楽曲全体に活気が生まれています。

これまで十分に聴き取れなかった、ドラムスやギター、ベース、キーボードのセンスの冴えが、音楽的な充実感となって心を躍らせてくれます。

(左右のチャンネルで奏でられるアコースティックギターの繊細な響きや、力強く、それでいて包み込むようなベースの音色が特に素晴らしい!「Wooden Ships」や「49 Bye-Byes」などエレキギターが活躍する曲では、ロックの迫力も存分に味わえます。)


こんなに濃厚で多様で美しい音楽だったのか、と、半ば愕然がくぜんとさせられました。


やっぱり、音楽を評価する際には、極力いい音で聴かなければ、正しい判断は、できないですね。


これまでの完全に誤った評価を反省しつつ、ここに撤回を宣言します。


『Crosby, Stills,& Nash』は、ロック史に残るにふさわしい、名盤中の名盤です。


ぜひ、機会があれば、ハイレゾ音源のクリアな音で、彼らの息の合った美声と、豊かなアイデアあふれる演奏の数々を、聴いてみて下さい。



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